今までで1番嫌いになった女に告白した話
のび太「山口さ、お前のこと好きだって」
チワ「えっ⁉︎」
のび太「よかったなw」
チワ「えっ、ちょ、意味わかんない…」
のび太「昨日あいつと一緒に帰ってさ…」
チワ「ほんと好きだねwホモみたいww」
のび太「うっさいwそれで聞いたら好きだって」
チワ「いやいやいやいやww」
のび太「もう告れよw」
チワ「いや、絶対嘘でしょ?」
のび太「いや、マジだってwイワンコフとか
ケンヂに聞いてみろってw」
チワ「だってあいつらじゃ、信憑性薄いもん…」
そう思ってしまった。
のび太「じゃあクロヒョウは?クロヒョウに聞けよ」
チワ「クロヒョウ君が言うんだったらほんとうだw」
なんだよそのVIP待遇。
チワ「いやでも、信じない!!」
のび太「なんでだよww」
チワ「直接言われるまで信じない!」
のび太「じゃあまた聞いてスクショおくってやるよw」
チワ「やめて(ー ー;)」
こんなやりとりが続いた。そして俺は切り出した。
のび太「じゃあもし、好きって言われたらどうすんの?」
チワ「わかんない…」
のび太「なんで?」
チワ「だって、もしここで付き合ったらせっかく仲良くなれた
みんながバラバラになっちゃうかもしれないじゃん」
俺はこの一言で変わった。こんな状況でも人のことを考えれる
やつがいるのか。やっぱりチワはすげー。
やっと気づいた。俺はチワのことが好きだ。
これは紛れもない事実だ。そう確信した。
到底このとき、「そんなこと気にしないで、付き合っちゃえよ」
とは思わなかった。
嘘をつきたくなかったので、山口には正直なことをいった。
のび太「今ちょっといい?」
LINEでそういうと返信はすぐにかえってきたとき。
山口「うん。なに?」
のび太「おれ、サキのこと好きっていってたじゃん?」
山口「うん」
のび太「それ嘘で本当は俺、チワが好きなんだ」
山口「そっか」
のび太「そーいうことだから」
山口「りょうかい、そんな気してたよw」
のび太「なんで?w」
山口「雰囲気でわかるw」
意外とズキズキした感じではなかった。
相手が山口ってのもあって俺は安心して言えたんだと思う。
普通に考えてこんなこと言っちゃったら先に告白されて
付き合われるとかもと思うけど、俺はそんなことを考えない
ほど、こいつがそんなことするはずない、当たり前と言い切るほど
俺は山口を信用していた。
最後に
「結果、どっちが付き合うことになるとしても
絶対にギスギスしないようにしよう」と決めた。
次の日、俺はチワと山口と一緒に帰る約束をした。
帰り道、ギスギスしないと決めてもなんだかぎこちない会話。
いつも元気なチワもこの日に限って全然元気がなかった。
のび太「中間の勉強してる?」
山口「いや、全然…」
のび太「チワは?」
チワ「あたしも…」
こんなどよーんとした空気だった。このままだとやばいと思い、
のび太「お前ら頭悪いからちゃんと勉強しないと高校いけないぞww」
山口「大丈夫…チワよりは頭いいから」
チワ「は?wそれはないww一学期の期末平均の何割かいってみぃ!」
山口「8割3分ぐらい…」
チワ「ほらっ!あたしより悪い!!w」
山口「じゃあお前は?」
チワ「8割5分…」
のび太「あんまりかわんねぇよww」
チワ「いやいやww2分って結構でかいよ?w
だいたいどっちにしろ負けてr…」
すっと後ろにいって、こんなやりとりをしている
2人の背中をみておもった。
やっぱ俺は邪魔なのかなぁ…
そんなことを考えながら二人のあとを追いかけて行った。
いつも通り、山口とは別れてチワと2人で電車に乗った。
その過程が楽しいじゃないの
のび太「なんでもない」
チワ「ふーん、まぁいいけど」
なんか俺はちょっとだけ拗ねていた。
構ってちゃんってこともあったし、2人の会話に
入りたくても入れないもどかしさを気づいて欲しかった。
そんな中、やけになって
のび太「これ、山口とのLINEなんだけど、
チワが好きっていってるだろ?」
とLINEを見せてしまった。
チワ「いやいや、冗談でしょw」
と何度冗談じゃないといっても聞かない。
なんで”山口が自分のことを好き”っていう物的証拠があるのに素直に聞き入れないんだろう。
さっさと告って付き合えよ。
と、もうヤケクソになっていた。
いつしか俺はチワを応援するという名目から、自分のこのモヤモヤした感じを取り除くためにさっさと2人をくっつけることしか考えていた。
やり方もどんどんエスカレートして、LINEのグループで2人が喋るような会話にもっていって、直ぐに抜けるという処方をとっていた。
だから、こっからはチワをホームまで送るってことはしなかったし、LINEも少なくなった。授業中も喋らないようにした。
結果は…最悪だった。平均の8割5分。過去最低だった。
でも親は最近の俺の状況を察してくれたのか、何も言わなかった。
中間テストが終わるとまた文化祭の準備が始まった。
俺は今こんな状況だけど、なにより文化祭の準備を楽しみしていた。
”またみんなと一緒に帰ったり、喋ったり出来る”
そう思うと、気分も明るくなれた。
はじめの方はチワと山口と俺は若干喋りずらくなっていたけど、
そこはイワンコフが頑張ってくれた。
帰る時にはもうみんな、ギャーギャーウァーウァー騒ぎまくってた。
”なんだかんだいってこのメンバーが1番楽しいよな”
”この文化祭の練習のために勉強頑張ったわw”
とか自分たちを自画自賛しまくってたww
俺たちのクラブはみんなで集団下校するという謎のしきたりがあった。
俺は最近全くクラブに行っていなかったので
少しクラブの奴らと溝ができているとこの時の俺は思っていた。
無言で追い越そうとすると、
クラブのやつ「よっ、お前久しぶりに見たなw」
のび太「ほんとだなw…」
なんかこの一言が嫌味っぽく聞こえた。
クラブのやつ「集団下校の時ときに帰れてるじゃんww」
遠回しに行ってるのがムカついたので
のび太「何がいいたいの?」
と結構強めに言った。
クラブのやつ「いやいやww何が言いたいのってwwなにきれてんの?ww」
といってたので無視して、先に歩いていた。
このまま歩くとあいつらと一緒の電車に乗ると思い、
チワ「ちょっとスーパー寄っていい?」
山口「あー、俺も買いたいもんあるからいいよ、いこ」
と、俺に気を使ってスーパーに入ってくれた。
チワ「こっちのことはいいからクラブ行きなよ」
のび太「いいよ、今は文化祭に集中したいし。」
山口「いや、でもそろそろ顔だしとけよ…見た感じやばかったし」
のび太「まぁ気にすんなってwクラブサボるために文化祭行ってるとかは
さすがに思ってないだろうしw」
チワ「でも、明日は行きなよ。部活」
のび太「明日ない。」
チワ「じゃあ明後日」
のび太「……文化祭…近いし…終わってからいくよ…」
そういうと山口は何か言いたそうな顔をしていたがいわなかった。
チワも言わなかった。
2人とも喋ろうとしなかった。
でも俺は無言でチワを見送りに行こうとしたら、
チワ「来なくていい」
のび太「なんで?」
チワ「別に意味はないないけど」
のび太「わかった、じゃ」
と言ってホームまでは行かずに普通に帰った。
でも家に帰ると急に喧嘩別れみたいでいやだなと思い、
のび太「俺やっぱ明日部活いくよ」
とLINEをしたが、結局LINEは既読がついたままかえってくることはなかったた。
部活に行こうとしていると山口に引きとめられて
山口「なんか昨日変なグループに誘われたんだけど…」
と言われた。少し気になって、
のび太「なにそれどんなグループ?」
山口「グループ名は3ー○(俺のクラス)っていうグループ名なんだけど、メンバーが変でBOSSとマサオと野球部とイケメンとか、あと男子いろいろ」
嫌な予感がした。
山口「なにかなー?って興味本位で入ってみたらいきなり、
BOSS「最近Yうざくない?」
っていう愚痴から始まったんだ。」
山口「多分Y(その時クラスでも結構嫌われていたやつ)のことだと思うんだけど、いろいろ悪口とか黙って聞いてたら変なとこがあったんだ」
のび太「なに?」
山口「なんか話してるうちに
マサオ「特にチワと絡んでる時とかすげぇうざすぎる、見ててイライラするわ」とか言ってんだよ。
で、あいつ絡んでるっけなーって思いつつもチワの悪口言ってたから気分悪くなって退会したんだけどね。」
山口は自分はイジメられてることはわかってるけど
それを隠そうとしてるとおもった。
でも実際は違った。
本当に山口は気づいていなかった。
そこで、俺は言ってしまった。
のび太「山口…それお前のことだ」
山口「え?」
のび太「そのYはお前のことらしい。」
山口「そうなんだ…まぁそんな気はしてた…」
のび太「ごめん…黙ってて」
山口「なんでお前が謝るんだよ」
のび太「ずっと知ってたのに、黙っててごめん」
山口「もう…いいよ…」
帰りも一緒に帰ったけど、山口の気分はどん底だった。
話しかけても「うん…」「あぁ…」とかしかいわなかった。
そこからだった。
いつもの様にワチャワチャと
騒ぐだけのグループじゃなくなっていったのは。
それから山口はちょっとずつだけど、騒ぐことをあまりしなくなった。
「チワちゃんチワちゃん!!」とチワに無駄絡みすることや、
「チワは俺のもの!」と肩を組んで帰ることも少なくなった。
俺は理由を知っているのでなんとも言えなかった。
チワはというと自分からなぜだか山口と関わらなくなってきた。
チワは基本、ぐちぐちと文句をいったりするやつや
女々しいやつは大嫌いだった。
BOSSに嫌われてると知った山口は
山口「あぁ、人に好かれるにはどーしたらいいんだろ」
山口「なんでこんな風になっちゃったんかな?」
と自分を責めたりしてとにかくうじうじしてたからだろう。
それでチワが嫌気をさしたらしい。
山口も無理もないと思う。
誰かにぶつけたい気持ちがあっても仕方ない。
そう思って俺は山口と2人で話すことや、
LINEすることを多くした。
時には自分の愚痴もいったりしてたから俺たちの関係は
深くなるにつれてどっちも暗くなっていった。
最初はみんな(チワは出てここなかった)励ましあっていたが、
それが毎日続くとみんなも嫌気をさして、
俺と山口が2人で喋っているのをみんなが
見てるという体制に変わっていた。
そしてついに
”チワさんが退会しました。”
と出た。
のび太「なんでグループ抜けたんだ?」と聞くと、
チワ「もう嫌。山口うざすぎ、毎日愚痴ばっか。女々しすぎる」
のび太「いや、しゃーないだろあんな状況なんだし。」
チワ「じゃあとりあえず終わったら言って。また入るから。」
のび太「わかった。」
と言って、愉快な仲間たちのグループに戻ると、
山口「なんでチワ退会したの?」
と聞かれた。でも正直には言えず、
のび太「わかんない…まぁいいや、続けて」
とそのまま続けさせた。
そして、終わるとチワを誘ってチワがまたグループに入る。
愚痴が始まるとこういうケースになることが多かった。
俺が中間テスト中に描いていた文化祭ライフとまるで違った。
また騒ぎあったり、一緒に並んで帰ったり、
マクドでたむろったりするんだろうなぁと思っていた俺の期待は
すっかりと消え去ってしまっていた。
山口は戦意喪失。
イワンコフは心配はするもどうしたらいいか
わからずただただ話を聞くだけ。
ケンヂはいつの間にか、自分も嫌われていると過剰に思い込み
俺たちの愚痴すらもイケメンにこぼしていたらしい。
クロヒョウはちゃんと考えてくれているが
思ったことをあんまり言わない。
チワは俺たちとの関係をちょっとずつ切り離そうとして、
自然と女子に溶け込もうとしていた。
チワだけはちゃんと自分の状況をわかって
どうするべきかを考えていた。
でも俺はそんなみんなが、だんだん離れていくみんなが
嫌で嫌で仕方なかった。
そう決意をして、今思っていることをLINEで全部書いた。
夢中だったからあんまり詳しい内容は覚えていなかった。
”このメンバーが好きだってこと。”
”前の状態に戻したいこと。”
”イジメに立ち向かうこと。”
とか今このグループに置かれている状況を
もう一度話した上で俺がどうしたいかを伝えた。
しかもチワの気持ちを無視した行動だった。
けど俺はそんなことも忘れるぐらいの正義感と義務感、
そして仲間を思ったいわば”愛”に近いものと自分に言い訳をし、
こじつけて、あたかも自分はヒーローであるかのように思ってたかもしれない。
ただ、このグループが壊れることだけは許せなかった。
クラブ以外で本気で語り合える初めての友達。
”いろいろあったけど結局はやっぱこのメンバーだよね”と言っていた
あの時のようにいつまでも笑いあえる関係に戻そう。
ケンヂ「俺もやっぱりこのままじゃ嫌だ。
やっぱこのメンバーが好きだから壊したくない。」
イワンコフ「俺もだ。このままバラバラになるのだけは嫌だ。」
こう二人は返してくれた。
しばらくして、
山口「俺も。このメンバーが仲悪くなるのは死んでも嫌だ。
こんな状況になった原因は俺だ。ごめんな。
偉そうだけど、これからは協力して立ち向かって行こう。」
ケンヂ「お前のせいじゃねぇよ!きにすんなって!!
みんなで乗り越えていこーぜ!!」
と、なんだかこの雰囲気に酔ってきたのか
みんなかっこいいセリフばっか言っていた。
盛り上がっている中で、やはりチワは出てこなかった。
そこにあるのは”既読5”という文字だけだった。
1番届いて欲しい人に届かなかった。そう俺は落胆した。
ケンヂ「のっびっ太~~!」
イワンコフ「なんか昨日カッコつけやがった奴きたーww」
のび太「うっさいwww」
と、いつも通りの雰囲気に戻ってた。
山口「いやーほんとでも良かった。」
と心底安心する山口。
クロヒョウもなにも言わずに普通に喋っているが、
喜んでくれてるみたいだ。
そう話しているなか俺はチワが気がかかりで仕方なかった。
授業が始まる5分前、
俺は席に戻って次の授業の用意をしていたら、チワが入ってきた。
期待はしなかった。
俺はいつものように何一つ変わらなかった顔をされると思っていた。
チワ「かっこつけすぎ!!うざすぎ!!
気持ち悪い!!なにあれ!!通知うるさい!!
せっかく気持ちよく寝てたのに!!」
のび太「ごめん…」
チワ「休日ぐらいゆっくり寝さして!!」
のび太「はい…」
そういうと席に着き、一つ呼吸をおいて
チワ「でも…良かった。ありがと」
この言葉は今でも鮮明に覚えてる。
急にきたのでキョトンとしたいた。
そして、急にこみ上げてくる笑い。
チワ「殺すぞ。」
のび太「すいません。ww」
すると
山口「チワちゃぁぁぁーーん♡」
イワンコフ「おいこら、のび太。なにチワとイチャついとんじゃ。」
チワ「山口、ガチキモい。」
山口「(´・_・`)」
のび太「いや、別にイチャついてな…」
いつの間にかいつもの俺たちに戻っていた。
俺はここぞとばかりに
のび太「いろいろあったけどやっぱこのメンバーだよな」
というと、
山口「そーだけどそれにお前は入ってないぞ。」
チワ「うん、少なくとものび太はない。」
ケンヂ「ざwwwまwwwあww」
クロヒョウ「お前はないな。」
イワンコフ「おいおい、お前らやめt…確かにないな。」
のび太「なんだよそれwwww……」
文化祭まであと10日ほど。
俺たちはまた”チワちゃんと愉快な仲間たち”に戻った。
でも俺はやらなきゃいけないことがあった。
俺たちをここまで追い詰めた奴ら。
俺は許せなかった。
マサオ「おぉーーのび太!なんでいんの?」
のび太「いや、ちょっと早く行こうと思って。」
何食わぬ顔のマサオ。
BOSSを止められなかったことはまだ許そう。
さすがにそこまで期待していなかった。
でも加勢して追い打ちをかけたことが許せなかった。
チワ、山口、双方を傷つけたのだ。
マサオ「?うーん…あぁーー!あったあった!
BOSSが『グループを作ってそこに山口を入れて、
叩きまくろうぜ』みたいなこと言ってそんなことになった。」
のび太「お前ら最低だな。」
冗談っぽく、冷たく言った。
でもマサオは
マサオ「いやいやww俺はやり過ぎかなーって思ったよ?
思ったけど、BOSSが…」
こいつはどこまでクズなんだと思い、
のび太「頼むからもうやめてくれ」
とだけ言ってこの話を終わらせた。
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