ファルージャで傭兵取材したときのことを書く
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 13:47:51.77ID:C5uBl+N30
ダニエルはNATO編入経験があると言った。そのときにボスニアにいたらしい
ダ「俺たちはもっぱら施設守備だったけど、悲惨な結果に終わったらしいな」
俺「自分が参加した戦争の結末に興味はないの?」
ダ「あまりない。それに、あの戦争は俺たちに勝ち負けがあったわけじゃない」
ダ「カレッジの講義はやめて、銃の話をしよう。その方が面白い」
俺「ソーリィ」
ダ「気に負うなよ記者さん」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 13:53:56.94ID:C5uBl+N30
話はデズモンドの機関銃へ
俺「その機関銃はどれくらいの威力が?」
デ「90ヤード先の砂壁を粉々にして、1000ヤード先の人間をクソに出来る。凄く強いよ」
俺「やっぱりよく言うように、そういう機関銃って弾をばら撒いて敵を遠ざける役なの?」
デ「とんでもない。こいつは狙って撃つよ。ぶっぱなしたら当たらないからね」
俺「一発づつ?」
デ「ある程度連射しないとボルトのバックタイミング(訳し方がよく分からん)がずれちゃうんだ
だから2~6発ごとに分けて撃つ。ダダダダ、ダダダ――こんなふうにね」
口真似を交えて説明するデズモンド。顔は見えない
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 13:56:05.96ID:QSUrHvLb0
おもしろい
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 13:57:47.28ID:xwDbPbzQ0
小説読んでる感じで読みやすい
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:00:25.75ID:C5uBl+N30
俺「その銃の弾が人に当たるとどうなる? 銃創ってやつに?」
デ「いいや。エネルギーがでかすぎて入口も出口もぐちゃぐちゃに掻き回されちゃうよ」
俺「それって必殺ってこと?」
デ「どうだろう。俺はこいつで撃たれたことがないから、わからないよ
でも今まで俺がこいつで撃ってきた目標は、どれもこれもバラバラになってしまったんだ
それくらい強い銃なんだよ」
俺「うわあ、そりゃ怖い」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:06:51.96ID:C5uBl+N30
ここで俺たちの車両の基本構成について話す
一般的なGMC社製のバンで、乗り心地もいい
ただ高度に装甲化、武装化されていて、運転は難しいらしい
ダニエルとマシュビルはパワーウインドウを空けて、そこから銃を出して外を狙っている体勢
フォスターは鼻歌を歌いながらハンドルを握っている。砂漠なのにあまり揺れないのはこの人のお陰だった
足の下にはクーラーボックスや水のタンクがあり、車尾には燃料などを満載したポリタンクが括られている
側面(ウインドウの上らへん)には偽装用のシートのようなものが丸くまとめられていて、
いかにも軍隊が使っているような仕様となっていた
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:12:06.09ID:C5uBl+N30
マッシュビルが持っているのはベルギー製の汎用機関銃
本人はエムエージーと呼んでいたが、正式名は分からなかった
俺「そいつはどんな銃?」
マ「私のお気に入りだよ。普通のライフルより沢山撃てる」
マ「私達は軍隊ではないから狙う必要があって、その機会はとても少ないけどね」
俺「単発で撃ってあたる?」
マ「もちろん。とても可愛い奴なんだ」
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:43:54.10ID:NZ0kFT11O
やっぱり倍率高くなくても当てられるんかね
それってレーザードットが写るやつですよね?
俺が見たのは、なんか狙撃用のスコープのような黒色の十字レクティルが浮かんでました
うまく説明できなくてすみません
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:14:03.75ID:eXNfR0f/O
すごく面白いな、話が新鮮だ
訳し方も分かりやすくて読みやすいわ
これだけ英語できるなら世界が広がるんだろうな
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:15:08.94ID:C5uBl+N30
マシュビルの例にもれず、他の傭兵達も自分の銃に何らかの愛着を持っていた
俺の勝手なイメージだが、西洋人は「所詮道具」のようなドライな感情が主だと思っていたが
少なくとも彼らはとても自分のライフルを信頼し、大切に扱っていた
そのことをデズモンドに話すと、彼はこう言った
デ「ダニエルみたいに借り物じゃなければ、自腹だからね、こういう物は」
納得した。それなら大切にするのも頷ける
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:21:32.97ID:C5uBl+N30
ちなみに、彼らの英語は単語だけとか文法めちゃめちゃだったりとか
とても生活感溢れるものでした。トーイックの成績なんて現地では意味を持たないと思います
大切なのは伝える気持ちと聴きとる気持ち、だと勝手に俺は思っています
ライフルの値段について聞いてみた
俺「どれくらいするの?」
ダ「フロリダのガンショップの大体半分くらいで買える」
俺はガンショップと言う単語に理解が及ばず、しばらく考え込んだ
俺「ごめん、俺の国にはガンショップがないんですが、ドル相場でどれくらいか教えてくれますか?」
ダ「つまりな、俺たちは社内価格で買えるんだ
だから普通高い自転車ぐらいするところを、その半分で買えるってことだ」
俺「へえー。そんなもんなんだ」
デ「アメリカじゃ安いガン(ここでは拳銃の意)なんて600ドル出せば買えるよ」
すごい世の中だな、と思った
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:28:12.42ID:C5uBl+N30
俺「買った銃は家に持って帰れる?」
デ「許可証もらわなきゃだめだけど、持って帰れるやつもあるよ
全部が全部じゃないけどね。スペックダウンさせないと駄目な奴もある」
マ「私は完全にだめだね。実家がドルトムントだ」
俺「じゃあ辞めるときはどうする? 置いていくの?」
デ「いいや。買い取ってもらったり、後輩にあげたりするんだ」
ダ「引退した奴からもらった銃は運がついてて死なないってジンクスがある。だからみんな欲しがる」
俺「なるほど」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:34:18.89ID:C5uBl+N30
その他にも、沢山の装備を教えてもらった
カークが背負っていたSR-16なる高級なM4や、タリバーンの兵士から奪った武器の数々など
哨戒先の砂漠で特別サービスということで
コルト社製のM4をセミオートで少し撃たせてもらったが、案外反動は軽いものだった
世間で言う肩が外れるような強烈性はなく、平手で肩をパンパン、と叩いたような衝撃だ
デ「誰でも撃てるのがM4のウリだけど、誰も完全にコントロール出来ないのもウリなんだ」
デズモンドの皮肉で、装備については締めくくろうと思う
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:35:28.62ID:C5uBl+N30
ここまで装備についてまだ質問あればどうぞ
ない場合は指示通り次の項目について話そうと思います
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:38:51.65ID:hP8DD7OVi
俺はBW社に支給されていたもの、例えば米軍の簡易乾燥食セットなどしか口にしなかったので
食べ比べは行いませんでした。そんな暇なかったという方が正しいかもしれません
役に立てず、なんかすみません
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:48:30.58ID:r7qKSlGU0
下請けとか正規がやらない様な小さい案件?
それろも給料とか保険の出処が違うだけで同じ業務してるの?
BWの場合は米軍寄りの依頼を受けていたようなのでどうとも言えませんが
大体そのような捉え方でいいと思います
基本的には施設の守備や道路の守備、要人保護や地域監視、指名手配狩りなどです
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:39:49.79ID:C5uBl+N30
ないようですので
次いきます
・他の会社や多国籍軍との連携について
これは初日の夕方、イギリス軍の機動部隊が駐屯地入りした際に出た話を皮切りとする
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:43:38.44ID:C5uBl+N30
日が落ちるスピードは早かった
カ「イギリス軍が入るから道開けろ、そのバンどけ」
カークの指示でテキパキ動くNE68チーム
俺は見てるだけ
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:48:43.18ID:C5uBl+N30
少数規模といえる部隊だった
小さな戦車に装甲車、武装した兵士。皆疲れた表情だ
彼らはどこから来たのかとカークに聞いた
カ「俺も分からないけど、戦闘があったならそれはバグダードだろう
彼らは仕掛け爆弾と戦ってきたか、ただの移動かのどちらかだ」
頷く俺
カ「どちらにしても、俺たちの持てるスペースが狭くなるのは変わらない
少し移動しよう」
全員がそれに賛成し、移動が開始された
企業ブースから2分ほどチームの車を走らせて、駐車場の辺りで円陣を作った
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 14:54:25.54ID:C5uBl+N30
駐車場には他の企業の社員達もいて、その人達も加わってみんなで雑談のようなものをした
韓国系やグルジア系の社員もいて、みな英語が堪能でユーモラスだった
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:01:57.29ID:C5uBl+N30
俺は疑問をカークにぶつけた
俺「こうやって他企業とも合同で作戦をするの?」
カ「いいや。それは殆どない。場合によっては同じ区域で戦うかもしれないけど、
俺たちは社員だから、互いの利益を尊重し合わなければならない
だから共闘は避けるんだ。それぞれの任務があるだろう?
でも、他企業からの補給などは頻繁に受けるよ。積極的でないのは戦闘だけだ」
俺「他企業と共闘するとどんな問題が? 具体的にお願いします」
カ「様々だけど、一番怖いのは同士討ちだね
俺たちが使うようなバンは、敵性武装勢力も使う場合がある
味方かどうか確かめるために、多国籍軍の作戦運営本部に確認をとるとしよう
すると俺たちは、その報告が届く前に殺されてしまうんだそのバンの乗員によってね」
俺「……」
カ「みんな敵が怖い。いつ撃たれるか分からないから、先手を打ちたがる
そうすると、同士討ちがどうしても発生してしまうんだよ」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:07:35.05ID:C5uBl+N30
同士討ちは、一般的にブルー・オン・ブルー・ファイアと呼ばれる
戦争では様々な状況下でこれが発生して、俺たちを悩ませるんだとカークは言った
近距離における砲撃支援の要請も危ないし、もっと危ないのはガンシップや攻撃機による空爆なのだそうだ
カ「多くの場合同士討ちは、司令部の部隊状況の把握不全が原因なんだ
司令部だって人間で運営されているわけだし、そこにミスが生まれるのは仕方のないことなんだよ」
俺「なるほど」
カ「戦争には仕方のないことがつきものだよ。それは事故の大多数を占める」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:12:24.50ID:C5uBl+N30
俺「攻撃機と言いましたが、やっぱり多国籍軍とも連携を?」
カ「そうだねー。割と多国籍軍にはお世話になっているよ
多くの企業と違って、彼らが追うのは利益じゃなく被害の抑制だからね」
カ「正規軍は投入する兵隊の数も限られている。だから守れる範囲も制限させるんだ」
カ「そこで俺たちだよ。俺たちが彼らの背中を持つ」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:15:04.09ID:DOzv+auf0
PMCも航空支援の要請ができるのか
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:16:05.78ID:eXNfR0f/O
そうなると後方支援中心になるから、安全かつ実戦に近い形で新装備のテストもできるわけだ
俺もそういうことなのだと思います
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:18:12.59ID:C5uBl+N30
カ「アメリカ軍の兵站システムは優秀だけれど、それを扱う部隊の行動が杜撰なんだ
あの軍隊は官僚が勝手に部隊を編成してしまうから、結局頭だけの能なしが部隊を持ってしまうことも
少なからずある」
カ「そうなると、いくら既存の運用指示書の出来がよくても
うまく生かし切ることが出来ない
カ「それでね、記者さん。この話の面白いところは、
それで苦労するのはそのクソッタレ士官じゃなく、前線にいる兵隊達というところなんだ」
俺「あなたはそれで苦い思いを?」
カ「うん。湾岸にいたときに散々な目にあったよ。戦争は勝ったけどね」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 15:25:02.28ID:C5uBl+N30
カ「だから脆弱なシステムを保護する役目がいる
それが俺たちってことだよ」
俺「なるほど」
カークは素人の俺でも分かるように、優しく説明してくれた
今回の取材で一番お世話になったのはカークだ。彼は書類もすべて揃えてくれた
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