ファルージャで傭兵取材したときのことを書く
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:20:27.40ID:C5uBl+N30
大学ジャーナリズム専攻して入社
殊の外世間狭い業界なのでその他のことは言えない
写真も何枚かあるが、これは俺名義ではなく
会社名義なのでちょっとうpれない
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:23:51.83ID:C5uBl+N30
おれはCNNやBBSの記者団と一緒にナジャフのキャンプに赴いた
これだけでも特定されそうだが頑張る
従軍取材ではなく現地取材だったため、軍隊についての知識は乏しい
その日はUSM第1偵大の近くを通ってPMCの駐屯地を訪問する予定だった
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:25:38.29ID:C5uBl+N30
そこで俺は5日にわたって
ブラックウォーター社と呼ばれる大手の社員を取材した
その時のことを書こうと思う
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:28:57.21ID:C5uBl+N30
駐屯地は各軍企合同だったのだが、
やけに同じマークつけた傭兵さんが多いな、と不自然に感じた
あとで聞いた話だが
傭兵市場の相場なぞよく分からないが、BW社は当時かなりのシェアを持っていたらしく
別に大人数で駐屯地占拠してても不思議ではないとのこと
駐車場には装甲車やピックアップが駐車していて、
車両管理はスマイルセーヴ社という会社の社員が多かった
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:32:46.92ID:C5uBl+N30
まず幹部の詰所へ挨拶
笑顔が素敵な年配のオペレータに「今日はよろしく」と伝える
その後、自由取材許可をいただいて駐屯地をうろうろした
軍隊と違い規制もゆるく、社員たちもフランクだった
まず俺が興味を持ったのが
デズモンドと呼ばれていた走破チームの機関銃手だった
上半身裸でゲイのものまねをして近づいてくれた
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:34:27.94ID:C5uBl+N30
おれ「どこの出身ですか?」
デズモンド「モンタナ。だからおれのニックネームはモンタナガール。よろしく」
そういう軽い流れで取材を受けてもらった
戦場にいる人間のイメージと違って、相当なユーモアを持った男だと感じた
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:38:35.57ID:NPpgelYYi
知らん。俺は当時のことしか分からん
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:39:52.00ID:yeQIxauj0
>>10
BEだかXEだか忘れたけど名前変えた
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:38:50.66ID:C5uBl+N30
まず、傭兵になった経緯を聞いた
デズモンド「海兵隊の軽装甲部隊にいたが、イラクが嫌になったので辞めた」
じゃあまたなぜイラクに来たのか、と聞く
デズモンド「最初は自分でも気が触れたかと思ったが、なぜかイラクが頭から離れなかった
ハジと戦うのはウンザリだと思って辞めたけど、なぜか急にもう一度赴いてみたくなったんだ」
デズモンド苦笑い
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:42:04.70ID:C5uBl+N30
その後軍の再入隊は面倒だと思ってBW社に入社したという
俺「ここで困ることは?」
デ「女と話せないこと。思うようにマスを掻けない」
俺苦笑い
デ「本当なんだよ。あとは弾が詰まることかな、弾詰まりって分かる?」
俺「わかります。砂塵がどうとか」
デ「そうそう。乾いたガンオイルより厄介だよ」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:46:46.01ID:C5uBl+N30
いま取材手記を読みなおして書いているが、ところどころ汚れてて読み取りにくい
多少内容とぶかも。ゴミンニ
俺「どういう銃を撃つんです?」
デ「あれだよ」
サバーの屋根にくっついてるでかい機関銃を指さすデズモンド
デ「フィフティーって呼ぶんだ。うちのリーダーは“ニガーのチ〇ポ”とも呼ぶ」
デ「あれがないと俺たちは仕事が出来ないんだ。だからあれを担当する俺は
うちの大統領の演説内容を書くライターと同じくらい偉いんだ」
俺たち大笑い
デ「でもよく弾づまりを起こすよ。反動式(恐らく銃の機構)がそれを引き起こしている」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:49:45.69ID:C5uBl+N30
俺「軍にいた頃もあれを?」
デ「うん。あれがついた軽戦車が相棒だった。沢山タイヤがついてるやつだよ、分かるかい?」
俺は資料の中からLAV25(軽戦車というのか)と米兵が写った写真を取り出す
俺「こいつ?」
デ「そう。それだよ、それに乗っていた」
もっと笑顔になるデズモンド
テンポよく話は続く
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 10:55:18.38ID:C5uBl+N30
俺「イラクでは、あんたは何が怖い?」
デ「待ち伏せ攻撃と仕掛け爆弾(地雷のようなもの。米兵はIEDと呼ぶ)だね。チビるよ」
俺「ここに来てからは既に攻撃にあったんですか?」
デ「何度も。俺らはバスラ地区から物資を輸送する米軍補給隊を警護する役目なんだけれど、
ハジ(中東人の蔑称)の奴らもやっぱり高性能な装備が欲しい。だから補給路を狙ってくる」
デ「そういう脅威から補給隊を護るのが俺らさ」
俺「砂漠で死ぬことについて疑問はないですか?」
デ「それが仕事だからね、どこだろうと俺は命をかけるよ」
デズモンド終始爽やかな笑顔
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:00:32.37ID:C5uBl+N30
俺「ここに楽しみはありますか?」
デ「仕事内容にはないけれど、娯楽なら他の要素にある」
俺「それは何ですか?」
デ「古巣(ここでは米海兵隊)の連中とカードゲームするのさ。俺の美味い民生レーションを奴らは欲しがる」
デ「日本製も食べるよ。保存食、あんたらはこういうの作るの上手いよね」
俺「どうも」 ←ちょっと嬉しくなってにやける
デ「文明圏は遠いから娯楽らしい娯楽はないね。それが現状だよ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:07:29.86ID:C5uBl+N30
ここでデズモンドを呼ぶ声が聞こえて、数人の男達が俺を囲んだ
デズモンドが所属するBW社走破班NE68(班コード)のチームメイトだそうだ
アイアムカーク、とマジックで書いたベースボールキャップを被るアフリカ系の男性がカーク
同じくアフリカ系の剽軽な顔つきをしたライフルマンがフォスター
ごつい機関銃を担いだゲルマン系の男がマッシュビル
アルメニア系の髭が似合うライフルマンがダニエル
名前は聞かなかったが他にも精強そうな男たちが数人
カ「あんたが噂の記者さん? 待ってたよ」
彼らはみんな優しく、俺を歓迎してくれた
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:12:57.04ID:C5uBl+N30
班コードのNE68は、
ノヴェンバー・エコー・シックス・エイト
と読むらしい。カークが自己紹介でついでにと説明する
ダ「珍しいことだ。日本人は平和が好きと聞いているけど、こんな所に来る奴もいるとは」
俺「それが俺の仕事です」
デ「でも記者さん、きっと記事はボツになるよ。俺らが汚い言葉で飾るからね」
皆笑う
フ「さあさあ、カフェNE68を開店させよう。ファルージャが一望出来る特等席も用意するぞ」
こうして取材場所は地べたから装甲バンの屋根の上へ
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:18:32.44ID:C5uBl+N30
二台の装甲バンを並べて、屋根の上に武器ケースを渡してスペースを確保する
俺はまず車に乗り込み、中央の銃座から屋根に這い出る形となった
デズモンドは所定の位置である銃座に座る
チームリーダーはカークだそうだ。彼はTシャツ一枚で筋骨隆々、一番の体力家に見えたが
頭脳も馬鹿にできないらしい
デ「この中で一番給料が高い。だから奢り役だよ」
ダ「こいつ米軍の特殊作戦群にいたんだよ。だから給料がめちゃくちゃ高い」
デ「卑怯だよな、たったスリーウィークの違いだぜ」
ダ「そうだよな」
スリーウィークとは何か聞いてみた
ダ「うちの社の指揮訓練期間のこと。経験のあるやつほど長く受けられる」
成る程。指揮官の教育もあるのか
俺は納得した
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:23:47.66ID:C5uBl+N30
俺「ソーコムに?」
カ「うん。なんかだるくなって辞めちゃったけどね」
カーク超フランク。アフリカ系特有の英語使いがぴったりとイメージに嵌っていて格好いい
俺「他のみんなはどこに?」
ダ「俺はアメリカ陸軍」
フ「海兵隊の斥候班」
マ「ドイツ連邦軍。分かるかい、記者さん」
訛りがない英語だったから全然分からなかったが、マッシュビルはどうやらドイツ人のようだった
チームは白人が圧倒的に多く、アフリカ系はカークとフォスター、それと南アフリカ出身の男の三人だけだった
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:28:19.32ID:C5uBl+N30
俺「独連邦軍はあまり戦闘意識は高くないと聞きますが、なぜ傭兵に?」
マ「私達だけ静観しているのが嫌だった。私も一人の兵士で、戦える能力を持っている。
私は西出身だ。私の祖父の恩人の危機に対して、私も貢献したかった」
とても義理堅い性格のようだった。紳士的な笑みが素敵なマシュビル
フ「ちなみに俺は給料目当てで。斥候班だったから給料高いんだ」
ダ「記者さん斥候って分かるか?」
俺「偵察とか狙撃とかですか?」
フ「大まかな種類分けするとそんな感じだよ」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:34:36.83ID:C5uBl+N30
デ「あっちに自動車に乗った米兵達がいるだろ? あれは海兵隊の第1偵察大隊っていうんだが
フォスターはそこにいたんだ。運転係としてね」
フ「だから車両の運営は俺なの。つうことはこのカフェの店長も俺ってことで異議ないよな?」
みんな異議なし、と口々に言う
フ「よし、じゃあメニューも決めよう。このふやけたクッキー入りスープが主力だ」
俺にそのカップを差し出すフォスター。飲む俺。うまい
ダ「カフェじゃねえよ、こんなメニュー」
デ「やっぱ姉ちゃんが運搬係やってないとな」
フ「“ハロウ、良い子の皆。アタシミスノヴェンバー”」
フォスターが女声の真似をする。案外高いオクターブまで出ていることに驚いた
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:40:13.92ID:C5uBl+N30
フ「おれはゲイじゃないんだ。だけど高い声が出る」
ダ「フロリダでもそれで納税請求員を玄関先で口説いたんだろ? くだらねえな」
フ「そう。奴らは覗き穴さえ塞いでしまえば盲目のティーネイジャーだ。それは止まらない」
うー、とかあー、とか言いながら腰をふるフォスター
皆笑う
俺「このチームの皆は仲いいんですか?」
デ「いいよ」
カ「こういう業界にいる奴らはみんな温厚だ。だが一部例外もいるが、それはほんのごく一部なんだ」
ダ「みんな大概は同じものを見てきたからな。ハジのケツとお前のケツさ」
カ「そうだな。お前の奥さんもオレのケツを見てるよ」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:43:22.61ID:C5uBl+N30
俺「チーム内で困ったことは?」
デ「誰一人まともに車を整備出来るやつがいないことだね」
カ「タイヤハウスが特等席になるほどシートがガタガタなんだ。誰かがナニを突っ込んだに違いない」
フ「それはダニエルだ。奥さんが恋しいに違いない、“オー、ハニー、ハニー”」
ダ「……懺悔します」
わざとらしい動作で十字をきるダニエル
フ「ほらな」
皆大笑い
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:47:30.74ID:C5uBl+N30
俺「戦闘の過程を教えて下さい」
カ「うーん、まず俺たちは車で走る。砂漠の真ん中でクソトラックを守りながらね」
フ「そこで俺たちは小石に躓く。ハジどもだ。国防軍の制服のやつもいればピクニック姿のやつもいる」
マ「そして、私達はそれを見つけ次第全力で破壊する」
デ「逃げながらね。車両に乗っている限り、停車して対応することは殆どないよ」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:51:46.53ID:C5uBl+N30
俺「そこに被害は発生しますか?」
マ「もちろん。双方に」
デ「こないだも仲が良かった奴が撃たれたんだ
米軍が占拠したバース党のビルの周りを警護していたときだった
うちのヘリ(エアクラフトと言っていたが恐らくヘリ)で病院に搬送したけれど
奴はいってしまったよ(he`s goneという表現)」
カ「とても陽気な奴だった。フレデリンっていうんだ。デズモンドと同期だった」
俺は言葉をなくした。それなのにこんなにも明るいのか
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/03(木) 11:55:16.53ID:C5uBl+N30
俺「おくやみを。悲しみは薄れましたか?」
デ「いちいち悲しんでいられないよ。俺たちに必要なのは常にガッツさ、元気が一番」
マ「彼を忘れたくはないが、私達はそれを仕事上迫られている。仕方のないことなんだ」
ダ「それがここの礼儀だ」
デ「そう。礼儀だな」
みんな表情は明るい。誰もが微笑んでいる
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