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【長編】ゲーセンで出会った不思議な子の話

359: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 00:37:42.57 ID:x9+/iUde0
当日まで、ドキドキとした。何をどうすりゃいいのか。

彼女にデート初日でやりたいことを聞いた。
彼女「ゲーセンに行って、そのへんフラフラするー」
俺「え、そんなんでいいん?」

彼女「特別にどっか行くより、そっちの方が普通のデートっぽくていいじゃん」
彼女「学校帰りに一緒に帰るくらいの日常さで、いいんだよ」
彼女はにこにこしてそう言う。

彼女が望むのなら、俺もあまり気張りすぎないようにしようと思った。

 
 

360: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 00:39:50.77 ID:cOF2U+4D0
3日ってのがまたなんかな・・・

 
 

364: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 00:58:49.39 ID:x9+/iUde0
その日が迫るごとにあたふたした。
実家に、女の子連れてくよって電話した。病気のことは伏せた。

前日に、意気揚々とCOACHに帽子を買いにいったが、あいにく売っていなかった。
彼女が一番好きなブランドはCOACHだった。COACHで帽子が欲しかったのに…

俺「あの…帽子が欲しいんですが…COACHのニット帽、被ってる人見たことあるんです」
店員「もうしわけございません…それはこちらの店頭では…」

あきらめられなかった。
俺は店内を見ていると、ハートの可愛いネックレスを見つけた。3万くらいした。
帽子を買うつもりでそんなに金は使うつもりではなかった。

でも俺はそのネックレスを買った。
しかし、この選択は正解だった。

 
 

366: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:03:08.02 ID:x9+/iUde0
いよいよその日になる。
俺はリュックにプレゼントを忍ばせて、いつ渡すか決めかねていた。

お父さんとお母さんに挨拶した。
お父さんは優しそうに笑っていた。
「よろしく、頼むね。」
俺「はい、彼女のことは、任せてください。」
彼女「じゃーね、いってくる!」

俺もニヤニヤしていたけど、彼女も始終にこにこしていた。
楽しい、忘れられない三日間が始まる。

 
 

370: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:07:42.40 ID:i05ow9F0i
まだ途中なのに…まだ結末わかんないのに…それなのに涙が…

 
 

371: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:07:50.15 ID:x9+/iUde0
正直不安もいっぱいだった。
突然体調が変わったら?彼女に何かあったら?

でも彼女は俺のこと信頼して、全てを俺に預けてくれたんだろう。
もしもの時のために病院の番号もメモったし、お父さんとお母さんの番号も分かってる。

きっと、どうにかなる。とにかく彼女といられる時間を大事にしようと思った。

 
 

373: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:11:52.62 ID:WdAtM8AuO
このスレに会えて良かった(;ω;`)今を生きられるって素晴らしいことだな

 
 
 

374: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:12:32.33 ID:x9+/iUde0
彼女「電車のろ!電車電車!」
俺「え、タクシーとかでもいいんだよ?」

彼女「そんなんセレブなデートないよw」
俺「まあこの時間なら人も少ないしね。電車に乗ろうか。」

駅に着く。彼女は大声を出す。
彼女「わわ、電車だよ電車!いいなあ懐かしいなあ!」
俺「なんだかいいね、こういうの。すごい不思議な感じ、至って普通なのにw」

ずっと、病室でしか会えなかったものだから、色々と新鮮に映った。
電車に乗っただけで、なんだかとても嬉しかった。

 
 
 

378:
名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:13:53.11 ID:HbZ8ThR6i
生きたいっておもうやつがあっさり死んで
死にたいってやつがしぶとく生きる

世の中理不尽だよね…

 
 

379: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:15:43.68 ID:9WSRwcRW0
>>378
そうだな

 
 

383: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:18:29.16 ID:x9+/iUde0
電車ではしゃぐ彼女はどこかヘンテコだったけど、
どう見ても普通の女の子にしか見えなかった。

この小さい体に、色んなものを抱えてると思うと、悔しかった。
電車内には同じような年齢の女性もたくさんいて、それを見てると複雑な気持ちになった。

俺「どこいこっか?」
彼女「あ、決めてないのー?もうしっかりしてよー」

俺「ええ、ノープランでいいって言ってなかった?」
彼女「嘘でしたー!言ってみたかっただけこういう事w」
彼女は笑いながら言った。

 
 

384: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:20:43.71 ID:x9+/iUde0
あーすまん、書くのちょっとだけ辛くなってきたよ。
少しだけ一服休憩させてください

 
 

391: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:24:48.68 ID:qXuEQoPE0
>>384
待ってるお!ゆっくり休んでくれ

が、

続きを明日以降にするなら言ってくれ

 
 
 

392: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:26:58.40 ID:x9+/iUde0
>>391 
やや、もうちょっとだけ書かせてくれ。

 
 
 

393: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:27:15.00 ID:XGGTHlAj0
追いついて花言葉調べて泣いた

読み物で初めて泣いた

 
 

402: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:37:44.19 ID:x9+/iUde0
彼女は電車の中でも突拍子もないことを言い出す。
彼女「ねえねえ、ケンカしよ!」
俺「え、は?」
彼女「もう、ふざけないでよ!」

俺「どゆことwww」
彼女「失礼しましたw」
ケンカをするはずがすぐ漫才みたいになってしまって、二人で笑い転げた。

俺は彼女が何を求めているのか、なんとなく分かっていた。

 
 
 

406: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:42:09.14 ID:x9+/iUde0
花言葉が気になるけど、続けますw

彼女は自由だった。そう、彼女はこういう人だったんだよ。
俺は凄く安心していた。

けっこう電車に乗って、とりあえず新宿で降りた。
彼女「あ、そだ。ゲーセンでも行かない?」
俺「それ最初から決めてたんじゃんww」
彼女「ま、そうなんだけどww」

彼女のワールドになりつつあった。
俺はすごく懐かしい気持ちになった。
会ったばかりの頃を、思い出すようだった。

 
 
 

408: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:46:53.52 ID:x9+/iUde0
ゲーセンに着くやいなや、彼女はテンションだだ上がり。
彼女「大きい!すごい!この雰囲気懐かしい!」
俺「初めてだけど、すごいなー。格ゲーとかも猛者がいそうだ。」

彼女「デッキ組んだんだよデッキ!まずLOVね!」
もう大はしゃぎの彼女を見ていると、こっちも楽しくて仕方がなかった。

 
 
 

410: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:47:23.62 ID:qXuEQoPE0
>>1は完結するまで花言葉を知らん方がベターな気がするが…

しかし、引き込まれちまったなぁこの話

 
 
 

412: 名も無き被検体774号:2012/01/16(月) 01:51:27.49 ID:txRiV3MN0
花言葉は終わるまで見ないと決めた

 
 
 

413: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:51:51.18 ID:x9+/iUde0
俺たちはまあ、アケゲーオタだから、
ここに会話の内容書いてもあれかもしれないけどw

彼女「わだリバデッキ作ったんだー!ゲート閉じちゃうよゲート!」
俺「いや、させない!俺のムーブでそんなものは…」

ま、分かる人だけ分かってくださいw
こんなこと言い合いながら、それは楽しくプレイしていたわけです。

 
 
 

414: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:53:31.33 ID:yO0Vd0vqI
人生って、悲しみと喜び、涙と笑い、表裏一体。
痛みこそ分かり合える人としての価値観を伝えてくれる。

 
 
 

415: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 01:56:22.85 ID:x9+/iUde0
そのあとはひと通り色々まわる。
彼女がポップンやりたいと言えばやり、太鼓叩きたいと言えば、叩き。

そのあと二人で格ゲー武者修業と名づけ、すいていたので
勝てない相手にコンビを組んで挑み続けたりw

友達とやったら盛り上がった試しのないQMAというゲームでも、
二人でハイタッチしながら嘘のように盛り上がったり。

とりあえず、俺達にとってゲーセンというのはこの上なく楽しいスポットだった。

 
 
 

416: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 01:58:00.14 ID:fmtyDkWmi
言ってみたかった

やってみたかった

後悔しないようにわがままでも何でも出来る事はしておきたかったんだな

 
 

418: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:00:08.84 ID:x9+/iUde0
そんなことをしているうちにあっという間にお昼を回っていた。

俺「そろそろ引き上げようかー」
彼女「すごい楽しかったー!」

彼女は本当に満足しているようだったので、俺は安心した。
かくいう俺も本当に楽しかった。

俺「お昼どうしたい?」
彼女「マックがいいなぁー」
俺「え、そんなもんでいいの?」
彼女「わたし携帯のクーポンあるからねー!」

 
 
 
 
 

423: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:02:30.70 ID:Vo5o/khj0
花言葉ヤバい。
涙線がヤバい。

 
 
 

426: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:03:43.15 ID:SEuKli0k0
やばい涙腺が…
まだ途中なのに

 
 

429: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:06:45.07 ID:x9+/iUde0
彼女は本当になんてことない日常の時間を過ごしたいってのはもう分かっていた。

彼女「わたしはねー、てりやきかなw懐かしいな~」
カウンターで楽しそうに選ぶ。
俺「じゃあ俺はベーコンレタスでww」
彼女「シェイク飲もうよシェイク!」

はしゃいでる彼女を見るのは楽しかった。
何をしていても、本当に楽しそうにしていた。

 
 
 

436:1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:12:29.06 ID:x9+/iUde0
席に着く。一息つく。

彼女「マックこんなに美味しかったかなあw」
俺「久々に食うと美味いんだよねえ」

彼女「わたしはポテトを欲しているよ」
俺「あるよ?」
彼女「ちがうよ、ほら」

彼女は口を開けて促す。正直、アホである。
そして、俺が口にポテトを入れてあげると、食べながら
「10点~!」
などと意味の分からない事を言い出す。

俺もこれをやらされるハメになって、二人してマックでアホなことをしていたw
でも、楽しかった。

 
 

437: 名も無き被検体774号:2012/01/16(月) 02:14:26.24 ID:txRiV3MN0
普通が一番幸せだって。
これ見てると痛いぐらい分かる

 
 
 

438: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:14:28.55 ID:diXg8QK80
ポッキーするとこだったかw

 
 
 

441: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:15:51.50 ID:x9+/iUde0
今思えば、俺は彼女のこういうところに惹かれていた。
一緒にいると、なんでも面白く思えて、笑いが絶えない。

時々本当にあほらしいことを言っては、笑顔になる。
それがすごく心地良かった。

 
 
 

443: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:18:32.08 ID:t63egpyH0
なぜだか脳内BGMにロード的なものが流れてる

 
 

451: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:23:09.99 ID:x9+/iUde0
>>443 
彼女は10-feetってバンドが好きだったよ
いつもライオンって曲聞いてた

 
 

452: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:24:55.17 ID:x9+/iUde0
もう今日は遅くなったので、そろそろ落ちますね。
みんなこんな時間までありがとう。
明日の夜には完結に持っていけるように頑張りたいです。

 
 
 

454: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:26:14.62 ID:QCtubbcK0
>>452
おやすみー。
楽しみにして、待ってる

 
 

453: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:25:50.57 ID:WvMuqEoB0
冬目景のイラストで脳内再生してしまうな

 
 

457: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 02:28:02.51 ID:x9+/iUde0
>>453
冬目景俺も大好きだ。ってか彼女も好きだった。いいよね、あの人

 
 
 

463: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 02:31:42.89 ID:WvMuqEoB0
>>457
冬目景いいよね、あの独特の雰囲気が大好きだ
明日っつうか今日も楽しみにしてるぜ

 
 
 





530:
名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 14:37:20.94 ID:bhF5YDqE0
追いついたぁ。
「好きだった」ってのがもう・・・

531: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 14:38:11.87 ID:eoGi5sja0
終わって欲しくない物語だ
過去形ってのがまた切なさをそそるな…

559: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 17:43:15.41 ID:DUMxvo6w0
BGMが平井堅の曲が流れてとまらないの・・・

涙腺がヤバイの・・・ヤバイ

563: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 18:16:14.90 ID:cOF2U+4D0
股北。

ポテトの下りは、ポッキーみたいに口にくわえた状態で
待機してればよかったんじゃないかな?www

565: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 18:19:57.14 ID:CCqLDcq10
>>563
多分それだと70点
かみ砕いて口移しで100点だなw

566: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 18:20:07.75 ID:ykns6fMs0
毎日頑張ってる旦那においしいごはん作ったげようと思う

普通が一番幸せなんだな

569: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 18:39:53.82 ID:x9+/iUde0
こんばんは。
お待たせいたしました。みんなありがとう、ほんとうに

ぼちぼち再開していってもいいですかね?

572: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 18:42:00.76 ID:jyrYcl8U0
キター!
モニターの前に正座しました

580: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 18:52:37.56 ID:x9+/iUde0
一服しつつゆっくり書いていきますので、
みなさんもゆったりお付き合い頂ければ。

マックでの俺達は年甲斐もなくはしゃいでいた。
まわりに高校生やら大学生も多くいたと思うけど
その子ら以上に大笑いしていた。

彼女「ねえ、煙草吸ってイイよ」
俺「え、どうして?」
普段、彼女の前では絶対煙草を吸うことはなかった。というか不可能だった。
その時は喫煙席に座っていた。

俺「くさいよ?」
彼女「いいの」
言われるままに一服した。
彼女は黙って眺めていた。

585: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 18:56:42.07 ID:x9+/iUde0
案の定、
彼女「ごほっ、くっせーね。」
俺「だから言ったじゃーんw」

彼女はそう言ったものの、にこにこしているだけだった。
俺も、なんだか照れくさくなりながら、一服。

そうしていると、俺の携帯にメールが来た。

591: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:00:54.78 ID:x9+/iUde0
妹からだった。
俺には一つ年下の妹がいる。

内容の趣旨としては、
「兄貴今日女の子連れてくるんだって?期待しとるわw」
みたいな感じだった。

おちょくっていやがる。基本仲悪くもなく、
実家に帰れば一緒にゲームしたりもするし、なにぶん
妹自体も少しオタクなので、気が合う兄妹ではある。

594: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:08:08.03 ID:x9+/iUde0
俺「午後からどうしよっか。電車の時間までは、けっこうあるんだよね。」
彼女「買い物行きたい!本屋さん行こ!」

俺「え?本屋さんでいいの?」
彼女「間違いない」(長井秀和のマネ)
俺「なっつwww」

彼女のこのあたりはもはや言うまでにもあらずだったけど、
彼女はよく芸人のマネをしては笑っていた。

598: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:14:21.73 ID:x9+/iUde0
まあ入院生活も長いわけだし、きっと欲しい本とかもいっぱいあるんだろう。
そして書店に赴く。

彼女「ひれーっ!」
俺「俺も初めて来たけど大きいね…」

彼女はコミックコーナーに駆け出す。
そしてずーっと俺の手を引っ張って、
「これ、〇〇さんの本、すごく好きなんだ~
あ、〇〇さんの漫画、これは作画綺麗で…」
という風に喋り疲れるんじゃないかって思うくらい話す。

俺「大抵本屋とか一人で来るけど、一緒に来ると
好きな本のこととか話せて楽しいね。」

601: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:19:56.77 ID:x9+/iUde0
俺自身、正直にそう思った。
俺も普段から本屋巡りとかが好きで、好きな絵柄の作家さんとか
見つけたりするのが好きだった。
でも一人だどこか寂しい部分もあった。

それを彼女と共有するのは楽しかった。

彼女「でしょーじつはこういうとこに二人で来てみたかったんだよね…」
彼女は照れくさそうに言った。

彼女がどうして普通のデートがよかったのか
なんとなく分かったような気がした。

606: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:28:15.36 ID:x9+/iUde0
俺たちは、笑うときもそうだけど、お互い語りだすと止まらない。
格ゲー談義をするときもそうなんだけど、どのプレイヤーが強いかとか、
そういうことを夢中になって語る。

彼女は、俺のオススメの本を教えて欲しいというので、俺も彼女に負けじと語った。
言っても言っても、「他は?」「全部知りたい」
と言ってきかないのでキリがなかった。

彼女「富澤オススメの本、全部読みたいな…」
俺「よし、今度持って行ってあげるね。」
彼女「そんなー悪いよー」
俺「ほんとは?」
彼女「待ってました…w」
彼女は苦笑いと共に本音を漏らした。

607: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 19:29:19.34 ID:RQOpyNfs0
彼女可愛すぎんだろ・・・

621:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 19:53:33.05 ID:diXg8QK80
告白とか無くてもいい感じ

623: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 19:54:56.68 ID:rsE5PANx0
>>621
だな
磁石が自然に引き合うような感じ

614: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 19:42:39.01 ID:x9+/iUde0
すいませんちょっとだけ休憩します

平井堅ってレスがあったのでyoutube見に行ったら自爆してしまいました
すいませんすぐ復帰します


622: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 19:54:36.70 ID:DUMxvo6w0
平井堅レスしたのオレだわ・・・まさか見てるとは・・・
書き込み止めてしまってなすまぬ・・・

最後まで頑張ってくだされ~。

625: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 19:57:28.86 ID:Ve6J8iFX0
>>622
なんて曲ですか?

646: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:24:17.24 ID:DUMxvo6w0
>>625
オレが聞いたのは「アイシテル」って曲とか「瞳をとじて」かな?
この話だと両方効くけど後者の方がキツイと思う・・・

628: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:02:12.84 ID:x9+/iUde0
電車までひとしきり時間があったので俺はその後
プラネタリウム行く?とかどっか美術館行く?とか聞いた。
けど彼女の答えは違った。

彼女「1時間だけカラオケに行きたい」
俺「ああいいねーそれ。座ってると負担もすくないもんね。」

カラオケに行くと、どんな感じになるんだろうと思ったけど、
彼女のレパートリーは実に豊富だった。
お互い真剣に歌うというよりふざけてばかりだった。

二人してテニミュを空耳で歌ったり、盛り上がる曲で合いの手を
入れあったりして、はしゃぎ倒した。
彼女は疲れちゃうんじゃないかって、心配になるくらいだった。

 

630: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:05:56.65 ID:x9+/iUde0
楽しい時間なんてあっという間なもんで、電車の時間が迫った。
カラオケでクーポンみたいなものをもらった。
マックでもクーポンみたいのをもらった。
そういうものをもらう度、俺は
「次があるのかな…」と一人で思った。


632: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:08:00.51 ID:iBjEHxqbi
これは悲しい

636: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:10:30.84 ID:x9+/iUde0
電車、特急列車。
俺の地元にむかう電車だった。
俺の地元までは特急で2時間くらいだった。

彼女「わーなんか旅って気がしてきました!」
俺「楽しいよねー」
彼女はそそくさと売店に向かった。
そしてじゃがりこを買ってきてドヤ顔で俺に見せつける。

彼女「旅っつったらこれでしょ!」
俺「車内販売もあるんだけどねぇ」
彼女「マジか!」


642:
名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:18:20.68 ID:Za6OG5J70
昨日はロード的な脳内BGMだったが
今はセカチューの主題歌的なのが脳内で止まらない;;

769: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:36:07.59 ID:maqFtoVji
>>642
ロードぴったりだな
http://www.youtube.com/watch?v=mt1BMGlhpuI

645: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:23:21.17 ID:x9+/iUde0
特急に乗る。
最初こそ彼女は特急ってすげえ駅すっとばすよね!
とか言って元気だったんだけど、そのうち疲れちゃったのか、
しばらくするとすっかり眠ってしまった。

俺は、しばらく静かな時間を過ごすことになる。
よこの彼女を見ると、色々と、思うものがあった。

648: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:26:22.58 ID:x9+/iUde0
少し油断すると、こんな日がずっと続くと錯覚してしまう。
この三日間が終わった先にはどんなことが待っているのか…

考えたくなくても、嫌でも脳裏をよぎった。
ここで、俺は本当に泣きそうになる。
そして彼女に分からないように泣いてしまった。

特急の指定席で、一人で号泣した。
どうしてだったか分からないけど、すごく悲しかった。

649: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:27:38.19 ID:WvOioCSV0
寝顔ってずるいよな

651: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:34:25.78 ID:x9+/iUde0
こんなんではいけない。俺は、思いついた。今だ、と。
寝ている彼女の首に、気付かれないように、プレゼントのネックレスを巻こうと思った。
窓によりかかっていたので、すきまがあってた。
起こしてしまうかハラハラしつつも、どうにかこうにか彼女にネックレスを
つけることができた。

ビックリするかな。俺は不安と期待でドキドキした。

652: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:36:16.27 ID:QCtubbcK0
うわ、いいなー
微笑ましい

654: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:37:23.72 ID:x9+/iUde0
駅に着くまで彼女は熟睡していた。
ここまで上手くいくと思わなかったけど、しかしよく寝ていた。疲れたんだろう。

駅に着くアナウンスが流れる。
俺「さ、着いたよ。起きて起きて。」
彼女「え、あ…」

寝ぼけている彼女の手を引いて、俺は彼女を誘導した。

655: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:40:00.21 ID:cOF2U+4D0
これは・・・>>1ナイス!!!

656: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:40:05.66 ID:2apkvwPH0
イケメンだな>>1

662: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:42:26.71 ID:x9+/iUde0
ホームに降りると辺りは暗くなり始めていて、宵の口と言ったところだった。

彼女は降りると、う~んと伸びをして「よく寝た」とつぶやいた。
俺はドキドキだった。

彼女「わ!なにこれ…ネックレス?富澤?」
俺は「魔法だよ、きっと」と言うつもりだった。でも、

俺「誰かのいたずらか…?」
意味が分からないw

664: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:43:55.56 ID:cOF2U+4D0
>>662
おい。そこは魔法だろおぉぉおっぉ

665: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:45:54.81 ID:x9+/iUde0
かっこいいこと言おうとしたのに、彼女にこっちを見られると恥ずかしくなって
ついついおかしなことを言ってしまう。

彼女「えーww富澤でしょーwこれ可愛いなー。」
俺「うん…プレゼントだよ。すっごい似合ってる。」

本当に似合ってた。自分の選んだネックレスをつけている姿が、
とっても、微笑ましかった。

667: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:50:32.37 ID:x9+/iUde0
瞬間、彼女は俺に抱きついてきた。

俺はビックリして心臓飛び出るかと思った。
俺「ぅお…!」ビックリして、変な言葉が出る。

彼女「ありがとう。絶対絶対、大事にするよ。」

勇気を絞って、俺も抱きしめた。
思えば、人生で始めて女の子を抱きしめた瞬間だったと思う。
とっても暖かくて、大事なものだって気がした。

673: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:56:02.63 ID:x9+/iUde0
高校時代毎日使っていた見慣れた駅のホームの真ん中で、
俺は確かに人の温かみを感じた。

人なんてほとんどいなくて、駅のホームには俺と彼女だけだった。
向いのホームに高校生がいたが。

しばらくその状態で、彼女がいきなり
「充電完了だー!」
と大声をあげるものだから、ぱっと手を離した。

675:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:56:30.31 ID:cHxXWezS0
花言葉は永遠の◯◯◯

677: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 20:57:23.09 ID:cOF2U+4D0
>>675
おっとそれ以上はやめてもらおうか。


678: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 20:59:56.61 ID:x9+/iUde0
改札をくぐる、なんだか照れくさくなっちゃって俺はぎこちない。
でも彼女はそんなのおかまいなしで、

「ほらら~らら~らら~♪」(聖剣LOMのドミナの曲)などと鼻歌を歌う始末。
ご機嫌だったんだろう。彼女は普段からよく歌う子だった。
それ、聖剣だね!なんていつものように俺もつっこめず、

駅を抜けるとそこには迎えが待っていた。

680: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:01:14.81 ID:x9+/iUde0
ちょいと失礼。
晩飯を作ってきますゆえ、しばし離れます。
30~40分で復帰しますね。

682: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 21:02:09.77 ID:N8PdPWCf0
終わりが気になるけどゆっくり見ていたい。

696: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 :2012/01/16(月) 21:42:00.44 ID:6WQpxTh+0
そろそろか

697: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:43:36.77 ID:x9+/iUde0
ごめんなさい。お待たせいたしました。

また一服しつつゆったりと再開したいと思います。

701: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 21:54:02.83 ID:x9+/iUde0
迎えに来ていたのは、妹だった。
車で迎えにきてくれた。
「なんでアイツなんだよ…」
と思ったが、結果母親が来てもあまり変わらないので同じだった。

俺は彼女の荷物をずっと代わりに持っていたので、積みこむ。
俺「ごくろーさん」
妹「いえいえ」
彼女「こんにちは、わざわざありがとうございます。」
妹「こんにちはー」

妹は明らかにニヤニヤしていた。

705: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:00:44.01 ID:x9+/iUde0
妹「可愛いなー。同級生ー?」
俺「お前よりずっと年上だから」

彼女「いえ、全然気にせず接してくださいねw」
妹「こんな兄だけどよろしくお願いしますねー」

車内は女社会と化していたが、非常に和やかなムードで、
妹と彼女も気が合いそうな感じで俺は安心した。

709: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:08:33.88 ID:x9+/iUde0
車で坂をのぼる。
俺の実家はちょっと坂の上にある。
店がまったくないわけでもなく、いい感じの田舎だ。

家につくと、待ち構えていたように母さんが出てくる。
「いらっしゃい!遠くからお疲れ様」
彼女「いえいえ、よろしくお願いします。」
彼女は、こういうところで礼儀正しくて、当然のことながら少し驚いた。

気のせいか、母さんも妹も、よそよそしくて、落ち着かない感じだった。
無理もない。ダメ息子が急にこんな女の子を連れてきたら、
面食らうってもんだろう。

711: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:10:31.76 ID:c7UXEoRe0
なんかこんなほのぼのした話を聞いてたら
すごくエンディングを聞くのが怖くなった。

713: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:15:03.82 ID:x9+/iUde0
母さんと妹はまだ晩飯の準備中だったらしく、
彼女は手伝いたい、と言った。
俺は疲れてるんだから無理しないで、と言ったが、
どうしてもと言ってきかなかった。

俺「母さんエプロンあったっけ?」
母「あれがあったわよアンタのが」

彼女は俺が高校の家庭科で使っていたエプロンを身にまとった。
「どうかな?w」
恥ずかしそうにエプロンを着て彼女は言う。
俺「いいねー最高だよ。」

720: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:21:34.63 ID:x9+/iUde0
その様子を見て母さんと妹が俺の方を見て不自然にニヤニヤする。
俺は「ほっとけ!!」と心の中で連呼した。

彼女も台所についてできることを一生懸命手伝っていた。
うちの家族に混ざって、楽しそうだった。

俺はそれを横目に見つつ勝手口の裏口で一服していた。
俺も手伝おうとはしたが、アンタ失敗するから、と妹に阻止された。


723: 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2012/01/16(月) 22:26:22.87 ID:JxN1HClsi
なんてほっこりすんだ!
うらやましー

724: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:28:36.27 ID:x9+/iUde0
その日は、カレーだった。
ウチのカレーはレトルトは使わず、スパイスとかも使って、
無意味に凝っているものだった。

みんなで食卓に着く。
俺は若干の気まずさを隠しきれなかったw

彼女「こんなに本格的なカレー、おうちで作れちゃうんですね~」
母「まーこだわりだすとキリがないのよね」
母さんは鼻高々だった。

725: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:30:35.15 ID:x9+/iUde0
彼女「おいしい!美味ですよこれ!」
彼女が笑ってそういうとみな口々においしいと言い出した。

俺「うん、やっぱりおいしいね。」
妹「たしかに美味、だねw」

ご飯が進みだすと、妹と母さんが動き出す。

728: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:35:55.72 ID:x9+/iUde0
母さんは、「うちの息子の何がよかったの~?」
とか笑いながら聞き出すし、
妹は妹で、彼女がオタ気質であることを知ると、
途端に自分の好きな漫画とかの話を振りだす。

彼女は彼女で、「わたし一発芸とかできるんです」とか
ワケの分からないことを言い出すし、そうするとうちの妹も悪ノリしだすし、

色々とてんやわんやなんだけど、楽しかったよ。
初めて食卓を共にしたのに。

729: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:37:16.93 ID:qqaCxJ9bO
幸せ過ぎて逆にツラい・・・

734: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:42:02.65 ID:x9+/iUde0
そのあとも、妹が「今日は面白いテレビやってないから」と
言い出してアメトークのDVDを見だしたりした。

妹は終始馬鹿笑いしていて、
彼女も「正気ですか!?」とかケンコバのものまねを始めだして、
母さんがなんか果物食べる?と聞けば
彼女は味をしめて「正気ですか!?」と返したり、

いや、楽しかったんだよ。本当に。

737: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:48:51.19 ID:x9+/iUde0
夜も更けて、そろそろ寝る体制に入る。
彼女は、俺のベッドに寝かせてあげた。疲れてるだろうし、明日もあるし、
なにより体調を崩さないかすごく心配だったので、俺たちは早めに寝ることにした。

俺は毛布をしいて、床で寝ることにした。明日も、ある。明後日も。
明後日も、終わったら、その次は…?

夜になると途端に辛くなる。

部屋で二人になると彼女に言われた。
彼女「今日はすごく楽しかった。本当楽しかった。」
かみしめるように言う。

739: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:52:19.64 ID:x9+/iUde0
彼女と日常を共にしていると、あの病室に帰ることが途端におぞましく思えた。

でも、彼女はもっと、ずっと、帰りたくないんだろう。
俺は彼女に「楽しかったよ。今日は疲れたし、早く寝よう。」
とだけ言ってから、ずっと考え込んでいた。

母と妹に、病気のことを言ってないのが辛かった。
正直、俺も誰かに相談したくてしょうがなかった。

740: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:54:20.22 ID:TpERXDKCi
彼女の噛みしめるような言葉…

切なすぎる…

742: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 22:56:02.95 ID:x9+/iUde0
彼女も寝て、妹たちも部屋にいるのを確認してから、俺は勝手口に一服しに行った。
電話をかける決心をした。

親父に電話をかけた。
俺はもう、誰かに話さないとどうしょうもなく辛くなっていた。

750: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:12:40.62 ID:x9+/iUde0
親父「おう、どうしたー?」
俺「遅くにすまん、実は…」

俺は、彼女のこと、彼女の病気のこと、今すごく不安なこと、
すべてを親父に赤裸々に離した。
男同士で、話したかった。聞いて欲しかった。

親父は多くは語らなかった。そして、俺に言った。
「絶対、最後までそばにいてあげろよ。つらいと思う。
でもお前が弱音吐いちゃだめだろ。
いつだってそばにいてあげろ、男と男の約束だ。」

 

752: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:14:09.91 ID:xGHrZAy10
親父…

754: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:15:02.31 ID:x9+/iUde0
親父は古風で、頑固な人間だった。
そんな親父の言葉は、俺の胸に強く響いた。

絶対に最後まで一緒にいよう。何が待ってるか、分からないけど。
青臭い小僧の俺が一人でずっと抱えていたことが、
親父に話したことで、とても軽くなった気がした。

757: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:19:42.78 ID:1T5A/N4b0
親父でかいな

758: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:20:48.60 ID:x9+/iUde0
俺は親父に話して、すっきりした。
部屋にもどると、さっきまでの不安が嘘のように、スムーズに眠りに落ちた。

気付くと、窓から明かりがさしていた。
実家の俺の部屋は一つの窓にカーテンがなく、朝日は入り放題なのである。
起きると、彼女は俺の机で何かをしているようだった。

俺は寝ぼけていて、状況を読み込めず、目覚めて彼女がいること自体に驚いた。

762: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:26:24.63 ID:x9+/iUde0
朝飯を食べて、いざ出かけよう、となる。
前々から話していたが、彼女はとりあえず俺の育った町や場所を見て回りたいのだという。
俺は本当に楽しいのだろうか、と若干の不安があったが、
彼女がやっぱりどうしても、というのでそうすることにした。

彼女「今日は一日動きまわるねー!」
俺「無理しちゃダメだかんね。」

俺はさっそく車のキーを握って車をだそうとした。

766: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:30:52.43 ID:x9+/iUde0
すると彼女は珍しくぐずった。
俺はよく分からなくて、車乗らないの?と聞く。

彼女「自転車、あるよね…?自転車乗りたい」
俺「あ、そうなんだ。でも2台あったっけなー?」
彼女「そうじゃなくて。二人乗り…しようよ。」

俺「え?」
彼女「ずっとしてみたかったんだ…二人乗り」

767: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:34:02.75 ID:CCqLDcq10
もうダメだ・・・
モニタが見えねえ

768: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:34:49.85 ID:x9+/iUde0
俺「だめだよ、あぶないし、体に負担かかって疲れちゃうよ…」
彼女「わたし一度も二人乗りってしたことないんだよ…」

そう言われると、弱い。
かくいう俺も人生で一度も二人乗りをしたことがなかった。
だから怖い、ということもあったのだが。

俺「分かったよ。じゃあすぐ近くの俺の小学校まで、だけね。」
彼女「やったー!じゃあグローブ持ってこうよ!」

笑顔になってはしゃぎだすのを見ていると、仕方ないかって思えた。

774: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:40:03.70 ID:x9+/iUde0
彼女は「どう座るんだ?」ってつぶやきながら荷台にちょこんと座って笑った。

俺「それでいいんじゃないかなw
よし、じゃあ俺が乗るから一回降りて」
彼女「やったー!」

荷台に乗せて気付いたが、彼女は嘘のように軽かった。
家を出て、ろくに車も通らない農道のような坂道を下っていく。

彼女は、とてもごきげんだった。


781:1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:50:21.01 ID:x9+/iUde0
彼女は歌い出した。
「かーみーさーまー!ひとつきいてくれよー!」
それは彼女が好きだった藍坊主のテールランプだった。

俺も楽しくなって、一緒に歌う。
「かーぜーきるー!あしをーぼくにくれよー!」

はたから見たら馬鹿丸出しなんだけど、
もう、どうでも良かった。

786: 名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:55:40.19 ID:x54nf88mi
想像したらなんか微笑ましいのにすげえ切ない

787: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/16(月) 23:55:54.10 ID:x9+/iUde0
彼女はごきげんだった。色んな歌を俺に歌ってみせてくれた。
彼女は歌い終わると、
彼女「こら、拍手しろ!」
俺「どうやってすんだよww」

このやりとりを数回に渡って繰り返したw

805: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:12:11.95 ID:WJObiXhX0
そんなこんなで、近所の俺の母校の小学校に着いた。
土曜だったので、がらんとしていた。
少年野球のチームが、練習している以外、校庭もほかに人はいない。

俺「懐かしいなあ~。ここでよく、野球したんだー」
彼女「そうなんだー。すごい広いね…」
無駄に校庭だけは広い小学校だった。

807: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/17(火) 00:18:52.97 ID:WJObiXhX0
彼女は少女のごとく駈け出した。
思いっきり走りだしたもんだから、印象的だった。
あまり息上がるのもよくないのにね…。

彼女「こっちに来て!」
彼女「これ、うんていだよ、なつかしーw」

彼女は無邪気に色んな遊具で遊びはじめた。
彼女は滑り台の階段を上がって、俺が登ると滑り降りた。

彼女「無限ループだ!」
俺「そうなの?w」
こんな調子だった。

名作, 感動

Posted by wpmaster