111: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:13:42 ID:X0Nc9eZGV
「もう、どうしたらいいのかわかんないよ……」
知らず知らずのうちにあふれてきた涙は、なかなか止まりそうになかった。
そんな私の手を、後輩は両手で包んでくれた。
「大丈夫ですよ、先輩」
後輩の手は暖かかった。
私は彼を見あげた。
後輩はさわやかに私にむかって笑ってみせると、
「先輩、大丈夫ですよ。俺がついてますよ」
その言葉がどういう意味なのかを聞き返そうとする前に、後輩の手が離れた。
彼は照れくさそうに笑っていた。
「じゃあまた今度会いましょう」
「……うん」
後輩とわかれて帰途につく。
私は彼が握ってくれた手に自分の手を重ねた。
彼の体温が逃げないように。
114: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:18:19 ID:X0Nc9eZGV
家に帰ると、カホがいつもどおりに私をむかえた。
父が死んでからもその笑顔は相変わらずだった。
「おかえり。今日は遅かったんだね」
「うん、まあね」
「なんだか気分よさそうだね。いいことでもあった?」
「べつに」
「この前、結婚について少し触れたけど、まだ細かいことは話してないでしょ」
そういえば、父が死んでからもうすぐ半年、つまり六ヶ月が経過しようとしていた。
「今度、私のその結婚相手の人に家に来てもらおうと思うの」
「そう、どうぞ勝手に」
115: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:18:52 ID:X0Nc9eZGV
この女のことなど、どうでもよかった。
玄関に腰かけブーツを脱ぐ。
足はすっかりむくんでしまっていたが、気分は悪くはなかった。
「それで結婚相手の人なんだけどね」
――って言うの。
「……え?」
私は反射的に背後にいるカホを振り返っていた。
カホの右手の薬指には、指輪が光っていた。
その手は彼女の腹部に置かれていた。
116: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:19:40 ID:X0Nc9eZGV
「今なんて言った?」
「だから、結婚する人の名前なんだけど」
カホがもう一度結婚相手の名前を言う、とても嬉しそうに。
カホが言った結婚相手の名前。
それは、私がさっきまで一緒に飲んでいた後輩のものだった。
125: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:23:02 ID:xib9dsV91
つか旦那亡くして半年で次ってのもなwww
135: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:26:48 ID:ByqsDtMtD
>>125最初からここまでが計画だということちゃうの?
126: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:23:19 ID:X0Nc9eZGV
ここまで付き合ってくれてありがとう。
こうしてキーボードを打つことでだいぶ冷静になってきた。
だけどもうなにも考えたくない。
考えたくないの。
明日も早いしもう寝るね、おやすみ。
129: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:24:33 ID:q8LWO2Yy1
>>126ぞっとした
とにかく乙
133: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:25:00 ID:rBr8STKlD
家が乗っ取られる
138: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:30:43 ID:NEUyYUB9G
あれ?親父は結婚前に前任者をヤッたわけではないのかな?
139: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:31:00 ID:6qp7ObLLi
殺されオチかと思ったら両親両方年下ファミリーエンドかよ
予想外だった
久々にゾッとできたわ
141: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:40:45 ID:4DWZEbg67
つまり家だけ取られたってことか
144: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)03:04:13 ID:i1X9bGMSs
130: 名無しさん@おーぷん 2014/07/30(水)02:24:51 ID:gkiNWZhzM
あれ、後輩に父親の死因言ってたか?
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