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変わる決心をした

2020年11月1日

195: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 03:41:17.33 ID:BzVorpZr0
二人でトートバッグを持って歩いていると、
彼女、終始クスクス笑うんだ
「どしたの?」って聞いても
「言ーわない」って笑うだけ

歩いていると、畑にいた知らないおばさんに話しかけられた

「あー、〇〇ちゃん、仲良しさんねー」
と、やや遠巻きに声をかけられた
彼女は笑って「あ、どーもーw」
と言ってたけど、俺も恥ずかしかった

196: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 03:49:48.80 ID:BzVorpZr0
「ちょっと持ってて」と言って彼女は走りだした
何やら、おばさんと談笑してる模様

けっこう遠くだから、もやで霞んで見えたけど、かなり仲良さそうに
俺はそれを見て、彼女は新しい土地でも
彼女なりに頑張って、色んな人に愛されてるんだなぁって悟った

戻ってくるなり、
「もらったーw」
と言って得意げに俺にトマトを見せてきた
「よかった」と笑いつつも、なんだか嬉しくてほっこりした

198: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 03:50:36.59 ID:BzVorpZr0
彼女「けっこう時間かかっちゃったね
一回家帰って、お昼にしよっか?」
俺「それは名案。ちょっと休もうぜー」

そういうと彼女は黙って笑ってうなずいた
登ってきた道を、彼女と二人で下っていく

彼女「せっかくもらったし、冷やしトマトして…」
彼女は一人で料理の構想を言い始めた
俺は笑って、うんうん、とうなずいていた

199: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 03:51:58.55 ID:BzVorpZr0
今でもあの木陰と陽の光が入り混じった下り道が懐かしい
空気を読まずに蝉が鳴いてて、楽しそうに語る彼女

家に着くと、彼女は「ただいまー!」と大きな声を出した
誰もいないのに、彼女のテンションは高かった

野菜を台所に運んで、居間の窓を開ける
窓をあけると、若干風が入ってきて風鈴が音を立てた

彼女「扇風機まわそうぜー」
と言って奥から彼女が扇風機を出してきた

200: 名も無き被検体774号+:2012/11/24(土) 03:54:03.17 ID:l4aLErd00
すげえ情景だ
めっちゃノスタルジーだわ

201: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 03:55:16.82 ID:BzVorpZr0
彼女がガタガタとお昼ごはんを作り始めた
おもむろにテレビもつけて、なんだか家の中が妙に活気で溢れた

俺が「手伝うよー」と言ったけど
「男は座ってろーw」と言われてご飯ができるのを待つことに

なんとなく手持ち無沙汰で、俺が扇風機に向かって「あ”ーっ」
ってやっていると、彼女はこっちを向かず台所から
「何やってんのw」と言って笑った

203: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 04:03:07.18 ID:BzVorpZr0
しばらくすると彼女は、テーブルに
ガラス食器に並々入ったそうめんと氷を持ってきた
それに、冷やしトマトにチーズが乗っかったヤツと、キュウリの浅漬け

彼女「手抜きでごめんねーw」
俺「いやいや、いいじゃない。まさに夏って感じだね。」
事実、暑くてクタクタだったからこの上ないご馳走だった。

彼女に「とうもろこし茹でる?」
と聞かれたけど、「夜にしよう」ってことになった

204: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 04:10:49.09 ID:BzVorpZr0
他にも料理はあった気がするけど、細かくは覚えてない
ガーーっって扇風機が回る音と、遠くから聞こえるようなテレビの音

二人で冷たくてうめーっていいながら夢中でそうめん食べてた
ご飯を食べていると、空が曇ってきていて、一雨きそうな感じだった

彼女「あー…なんかちょっと嫌な天気」
俺「だねー、外に洗濯物なかった?」
彼女「あったね…」
なんて他愛もない会話をしていた

205: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 04:12:01.63 ID:BzVorpZr0
さて、今日はここまでにしたいと思います
また明日の夜か夕方から続きを書きます
見てくれている人ありがとう

207: 名も無き被検体774号+:2012/11/24(土) 04:43:12.92 ID:kkpsvxus0
初めて読んだけど引き込まれるなぁ。
あしたが楽しみです

216: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:03:00.53 ID:BzVorpZr0
こんばんは
今日も続きを書いていきます
ペース遅くて申し訳ない

217: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:04:11.73 ID:BzVorpZr0
そんなこと言ってご飯を食べ終わる頃、
雨が突然降り始めた、
彼女が「まずいまずいー」って言ってサンダルを履いて外へ飛び出た

「〇〇君も早く来て!」
と言われて二人で大慌てで洗濯物を取り込んだが、
途中でなんだかおかしくなって、二人で大笑いしながら洗濯物を中に入れた
それくらい、突然通り雨がやってきた

中に入って一息ついた
彼女「通り雨だし、すぐやむんじゃない?涼しくなっていいねー」
と言って彼女は洗い物をしていた

219: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:06:23.71 ID:BzVorpZr0
彼女の言った通り、しばらくするとまた陽が出てきた
しばらく二人で携帯いじったり、テレビ見て
風鈴の音も心地よく、ぼーっとしていた

すると彼女が突然
彼女「携帯なんていつでもいじれるわー」
と言って立ち上がった

俺「どうしたの?」
彼女「早くしないと夕方になっちゃう」
そう言って彼女は俺の背中をパシッとたたいた

220: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:08:20.32 ID:BzVorpZr0
玄関を出て、また陽の中へ
雨が降って、若干空気は澄んでいたものの、暑さはより一層増している気がした

俺「うわあ…あちぃー」
彼女「何言ってんだよ、ひまわり見に行くんでしょ?」

俺も、嫌がる素振りは見せていたものの、実はひまわりを見たくて仕方なかった

俺「うんうん。で、どのくらいかかるの?」
彼女「けっこう歩くけどね、まあ日が沈む前には帰ってこれるでしょw」

221: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:12:13.99 ID:BzVorpZr0
車で来た道を戻り、橋の方へ歩く
その道に日陰はなく、ひたすら日光が突き刺さる。

川の水が若干増えていて、気持ちのいい水の音を立てていた

さすがに俺たちも歩いて暑さと戦ってる時はあまり話さない
とは言え、もう陽が傾きはじめる時間だったので、
暑さもお昼に比べれば和らいではいた、
家から出た瞬間は本当に暑く感じたのだが

222: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:17:34.05 ID:BzVorpZr0
けっこう入り組んだ道を進んだ

俺「おいこれ、大丈夫?帰れるの?」
彼女「さあねーw」
と言って俺を茶化して笑っていた

俺はもう一人になったら絶対に帰れない自信があったw

家から離れて少し経つと、ミーンミーンという蝉の声に混じって
スイッチョスイッチョ、というつくつくぼうしの声も聞こえた

山の小さな、車一台通れるかという不安定なアスファルトの道を進んでいった

223: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:20:36.28 ID:BzVorpZr0
遠くで、ガァーッというトラックが往来する音が聞こえた
蝉の声が止む気配もない
黙って、俺の右少し前を顔を赤くして、麦わら帽子をかぶり歩く彼女を見ていて

ふと色んな想いが巡った
ずっと惹かれていて、中高時代は憧れの的だった彼女が
今、俺の隣を歩いている
それもこんな遠い、俺しか知らない場所で

でもそれは言い替えれば、今が終われば
また隣からいなくなってしまうということだった

224: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:22:32.95 ID:BzVorpZr0
この時、彼女も同じようなことを考えていたんだろうか
こんな距離を隔ててしまった俺達が、これからひっくり返ってもそばにいられない事

黙って、ただひたすらに歩いた
真夏の山道を、無心に歩いた
正直、ひまわり畑に行ったところで何が起こるわけじゃない

俺は歩きながらふと色んな不安が押し寄せてきて
そんな考えにまで至っていた

225: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:28:15.21 ID:BzVorpZr0
そろそろ、陽が傾いて空に橙が帯びていた
日が暮れ始めるところだった

彼女「ねえ」
俺「ん?」
彼女「このまま、ずっとひまわり畑探してたいね」

とっさに意味が分からず黙っていた
少し間があいてから
俺「迷ったの?」
と間抜けな答えをしてしまった

彼女「迷ってないよ、残念ながら」
と彼女は真剣に答えた

226: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 21:36:35.50 ID:BzVorpZr0
それからしばらく歩くと、ひらけた場所が見えた

彼女「あの先、下ってくとあるよ!」
俺「うおお、けっこう歩いたな、やっとか!」
二人共俄然テンション上って少し小走りになる。

もう、すっかり日は傾いていて、あたりは夕焼けに包まれていた
俺は、はしゃいで走っていく彼女を先に行かせた

元気に駆けていくその後ろ姿を追いかけて
俺も斜面をくだっていった
きっとこの先に期待した光景が広がっているとワクワクして。

231: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 22:23:23.51 ID:BzVorpZr0
そこは、決して凄く広いわけではなかったが、
視界一帯、見渡す限りにひまわりが咲いていた
筆舌では表せない、とはこのことかも、
うまく書けないくらいに綺麗だった

綺麗だったってより、ずっと歩いてきたから、見つけた感激の方が大きかった。

すっかり夕方だったので、ひまわりも鮮やかな黄色ではなく、
すこし赤みがかった橙に近い濃い黄色に見えた。

少し離れた所から、
彼女「ね、ちゃんとあったでしょ!」
と言ったが、ひまわりの背が高くて見えなかった

232: 1 ◆4eXsZeRoVc :2012/11/24(土) 22:26:48.30 ID:BzVorpZr0
俺は、面白くなって、
俺「どこにいるんだよーw」
と言ってきょろきょろした

すると彼女は味をしめたのか、ひまわり畑をがさがさと歩き始めた
彼女「どこにいるかなーw」
とは言っても完全には隠れてるわけじゃないから、すぐにわかるw

「そこだ!」と言ってひまわりの間を駆け抜いて彼女とはちあわせした。

彼女「はい、ここですw」
と言われて思わずドキッとしてしまい、俺は黙って笑うしかなかった

233: 名も無き被検体774号+:2012/11/24(土) 22:30:25.10 ID:l4aLErd00
きてたか
頭の中で浮かんだぞ、情景が
なんだこれは…

 

名作, 感動

Posted by wpmaster