カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」
?「なに……これ……?体が消えていく……!
どうして……!?」
カツオ(未来)「まさか、父さん……!
時空の乱れを観測していたとはいえ、ここまで強い影響を及ぼすなんて……!」
ワカメ(未来)「当然だわ、お父さんは時間軸の一部を切り取ったのよ!
切り取られなかった時間軸が、修正でその世界に大幅な変化を与えることは想像に固くないもの!」
?「お兄ちゃん……!」
カツオ「今お前を救う方法は一つしかない
虚数時間軸を利用して、切り取られた実数時間軸の世界……即ちループ世界へお前を送る
ループ世界で、お前は父さんを止めてくれ
僕たちの世界は父さん達が切り取ったことで存在し得ない未来になってしまった
今後どのような世界になるか想像出来ないが、お前が消えかかってる以上お前が存在しない世界になる事は明らかだ
そんな世界に僕はしたくない!」
ワカメ「お願い、私達の未来を守って……!」
?「うん、行ってくる……
お兄ちゃん、お姉ちゃん、待っててね」
イクラ「Baboo!Hi!」
タイコ「ちょっとイクラ!今時間の特異体を調査中って言ったでしょ!手が話せないの!」
海平「この汎関数を解けば……」
カツオ「何だかついていけないね」
甚六「しょうがないよ、僕達は詳しいことを何も知らないんだから」
カツオ「一体いつになったら僕は小学6年生になれるのかな」
ノリスケ「僕はもう社会人だし、転勤もあったからあまり実感はないけれど、カツオくんや甚六くんからすれば大事なことだね」
甚六「本当ですよ
僕なんかいつになったら大学に入れるのか……」
海平「何事だ!?」
マスオ「やあ皆さん」
カツオ「マスオ兄さん!
海平「次元を上げることに夢中でワームホールの技術は未発達だったはずだ……」
マスオ「だから更にワームホールの研究も始めてもらっただけですよ
邪魔されては困りますからね」
マスオ「あと、この宇宙はビッグクランチを起こしてますから、早く脱出した方がいいですよ」
海平「なに!?」
カツオ「ビッグクランチ!?」
ノリスケ「宇宙がビッグバンという爆発でおっきくなったように、小さくなっていくことをビッグクランチと言うのさ!」
海平「とにかく脱出するぞ!転送だ!」
海平「こ、ここは……」
波平「久しぶりだな、兄さん」
海平「波平……!」
イササカ先生「ちょっとワームホールの出口をこちらに繋げておきましたよ
これくらいなら私にも出来ました」
カツオ「イササカ先生!」
甚六「お父さん……」
波平「既に小型ロボを配置してある
何か怪しい動きをすれば細胞が死ぬぞ」
海平「くっ……」
波平「安心しろ、ループの始めになれば復活する
その頃には記憶を失っているだろうがな」
ワシはお前達に協力してもらいたいんだよ、ワシの研究の為にな
生憎、こちらには技術担当がイササカ先生しかいない
優秀とはいえイササカ先生の技術ではワームホールと言えども若者一人しか通せない」
マスオ「だから僕が行ったんですよね」
波平「そこで、ワームホール他の技術に関して長けているお前達の力を貸してほしいんだ」
海平「断る!」
波平「やはりな……あれ持ってこい」
フネ「はい」
ワカメ「お兄ちゃん!」タラ「出してくだサーイ!」
なあに、ループ世界の始めになれば復活するさ」
ノリスケ「自分の息子を……!」
イクラ「Chaaaan!」
カツオ「いつからそこまで落ちぶれたのさ、父さん」
波平「何だと?」
カツオ「僕が知ってる父さんは、厳しくとも自分の子を大事にする人情のある人だった
それが今じゃ自分の子と孫を人質にする始末だ」
波平「……ワシはもう退けないんだ!
カツオ、お前みたいなガキにはわからんだろう?ワシの遂行な計画が、何回も何回もループして進めている至高の計画が!」
波平「この世界がどうなってるか知っているか?カツオ」
難しいけど面白い
この宇宙は真っ直ぐ進んでも必ず元の場所に戻ってしまうトーラス構造だって」
波平「やはりその程度か……それでは空間の話しか出来ていないな
教えてやろう、この世界の姿をな」
波平「“無境界仮説”を知っているか?」
カツオ「無境界仮説?」
海平「ワシも聞いたことがない……」
波平「とある学者の出した仮説だよ
宇宙がビッグバンから始まったのは常識だろう
しかし、このビッグバンの逆を辿ればどうなる?」
カツオ「ビッグクランチでしょ?ある一点に収束するに決まってるよ」
波平「甘いな
ビッグクランチによってある一点に収束した場合、その一点は特異点となる」
カツオ「特異点?」
ブラックホールの真ん中も特異点と言われているね
僕達がループを回避する為に利用しているあの世界も、時間の法則を受けないからそれをモジって“時間の特異体”と呼んでるんだよ」
波平「しかし特異点は不可思議だ、あってはならない
そこで生まれたのが“無境界仮説”」
波平「“無境界仮説”によれば、宇宙は一点には収束しないことになる」
波平「そしてその無境界仮説に必要なのが……“虚数時間”」
カツオ「虚数時間……!?」
世界と
は
何か
カツオ「……?」
タイコ「カツオちゃんはあまり知らないかもしれないけど、比例とかで使ったグラフには横軸と縦軸があるでしょ?
その横軸を実数時間軸とすれば、縦軸が虚数時間軸なんじゃないかしら」
波平「その通りだ
そして、ご存知の通りワシはイササカ先生の手を借りてループ世界を作ることに成功した
これは実数時間軸から一部を切り取り、端と端を繋げて円にしたものだ
そしてこの実数時間軸の円と虚数時間軸を繋げる理論が“wheel theory”だよ」
波平「wheel theoryは元々0÷0を解決するために生まれたんだがね、これはこの世界を実によく表している
Wheel theoryによれば実数の世界は円となっている
1、10、100……と進んで行けば、いずれ-100、-10、-1と戻ってくる
所謂トーラス構造だ
そしてそのwheel theoryにおいて0÷0はどこを表すか……それは円の中心だ
Wheel theoryでも0÷0は定義不可能ではないが実数軸で表すことは出来ない
それは円の中心で無限の穴を作っているんだ」
円の中心を通る軸があるとすれば、それは円のどことも直交するんだ」
波平「つまり、このループ世界は実数時間軸が円を成し、虚数時間軸がその中心を通る世界なんだよ!」
波平「簡単に考えれば、円錐の底を二つ繋げたようなものだ
ワシらは普段繋げた円錐の底の部分である実数時間軸上にしか存在出来ない
しかし、兄さんが言うような時間の特異体は円錐が上下に作る山の部分だ
この部分は当然実数時間軸にも合わせて進んでいるが、記憶を失うような修正を受けない
それを利用してワシらは文書を書き残したり海平兄さん達は記憶を引き継いだりしている」
もう一度聞こう、ワシらに着いてこんか?」
海平「断ったら……」
波平「もちろんこの二人は殺す」
ノリスケ「卑怯な……」
カツオ「(ワカメやタラちゃんの命には変えられない……いくらループ世界の始めになれば生き返るからってそんなの……)
僕は……父さんに……」
ノリスケ「カツオくん!」
甚六「カツオくん……」
?「その必要はないよ、お兄ちゃん」
海平「見たことない顔だ……」
甚六「僕も知りません……」
ノリスケ「僕もです」
イササカ先生「私も……」
サザエ「私もよ」
カツオ「(か、可愛い……)」
?「皆が私を知らないのは当たり前だよ
だって、私は未来から来たんだから」
波平「未来……だと?」
?「おじいちゃんの言う通り、この世界には虚数時間軸がある
実数時間軸から切り取っても、虚数時間軸は切り取れない
それを使って私は未来から来た」
波平「おじいちゃん……?」
フグ田マスオとフグ田サザエのもう一人の子供」
マスオ「えぇ!?君が僕達の子供だって言うのかい!?」
サザエ「あなたが私達の子供!?」
ヒトデ「私はおじいちゃんを止めに来たの」
波平「だ、騙されるか!行け!」
ヒトデ「小型ロボは壊しておいたよ
いくらループしているからって、数人で回してるだけじゃ未来の技術には届かないもん」
たらおの妹
サザエとマスオの娘
サンクス
まじキャラか
いる
マジか
サンクス
ヒトデ「おじいちゃんが時間軸を切り取ったことで、未来は大変なことになってるの
そのせいで、私の存在も消えかかった
おじいちゃん、こんな事はもうやめて!私のお兄ちゃんとお姉ちゃんもそれを望んでる!」
カツオ「お兄ちゃんとお姉ちゃんって……」
ヒトデ「うん、君とワカメお姉ちゃんのこと
おじさんおばさんってほどの年じゃないからお兄ちゃん、お姉ちゃんって呼んでるの」
マスオ「お、お義父さん」
サザエ「やっぱりおかしいわよ!自分の家族を人質に取るなんて!
それにヒトデも消えそうになったなんて……」
フネ「私はずっと黙ってお父さんに着いてきました
でも、それも終わりのようですね
やっぱり家族を見捨てるお父さんなんか嫌いです!」
波平「バカモーン!!!裏切ったな!!!
イササカぁ!計画実行だぁ!!」
イササカ先生「は、はい!」
ノリスケ「な、なんだ……?」
波平「イササカの技術がやっとワシの理論に追いついたのでな
今それを実行したのだよ」
サザエ「あ、あれは未完成だって!」
フネ「だからこそ皆さんに協力を頼んだんじゃないですか!」
波平「バカモン!裏切り者は黙っておれ!
ワシはこの世界をアレフ2にし、より真理を追求する!!!」
甚六「な、なんだいこれ!」
タイコ「景色が崩れて行くわ……」
イクラ「chaaaan!」
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