カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」
成長しない人なんか人じゃない、それは既に悪魔なんだ!
それに、カオリちゃんとも結婚出来ないじゃないか!ループなんてごめんだよ!」
波平「そうか、残念だ……
お前の後ろにはγ線バーストを発射出来る小型ロボットを準備してある
もしワシらを裏切るのなら、γ線という強力な放射線によって細胞が死ぬことになるだろう
カツオ、お前に選択の余地はない」
カツオ「それはどうかな……」
波平「うん?」
甚六「カツオくん!」
カツオ「甚六さん!」
波平「甚六くんと繋がっておっただと!?
イササカ……裏切ったな!!
γ線バースト、発射!!!」
甚六「手遅れだよ!僕がバイクで直進してカツオくんを抱き抱える方が速い!」
波平「くっ……!」
サザエ「ちょっと!家の中バイクで走らないでよ!」
甚六妙に説明口調でワロタ
カツオ「ありがとう甚六さん!」
ブロロロロロロ
波平「逃すな!追え!」
小型ロボ「きぃー!」
甚六「僕のバイクは特別製だ
そんなロボットじゃ追い付けないよ!」
サザエ「あーあ、逃げられたわね……
それに寝室から玄関までタイヤ痕が付いちゃってまあ……
後で誰が掃除すると思ってるのかしら!」
波平「カツオ……お前は勘当だ…………」
面白いwwww
甚六「危ないところだったね、カツオくん」
カツオ「甚六さんがいなかったら僕は死んでたよ、ありがとう
それより、イササカ先生が裏切ったって言われていたけど……」
甚六「分からない……もしかしたら僕のお父さんも協力者なのかもしれない」
カツオ「これから何処へ行くの?」
甚六「あの時、後で話すって言ったよね?
その事と同じさ
対抗勢力が見つかったんだ」
カツオ「本当?」
甚六「カツオくんも知ってる人だよ」
?「今のバイクに乗ってた人、お兄ちゃん……?
とりあえず今はおじいちゃんの監視を続けないと……」
甚六「こんにちは」
海平「おお、来たか」
ノリスケ「よく来たねーカツオくん」
カツオ「ノリスケおじさんに海平おじさん!何でこんなところに?」
ノリスケ「伯父さん達にはアパートの場所が割れてるからね」
甚六「さっき波平に殺されかけまして……」
海平「それは不味いな
とっととワシらのアジトへ行こう」
カツオ「あ、アジト……?」
ノリスケ「ああ、カツオくんは何も知らないからね
きっと驚くぞー!」
海平「転送!」
波平「くっ……ついに海平と繋がったか……!
ワシの衛星じゃ転送までは追いきれん!」
サザエ「不味いわね……」
波平「……とにかく今はイササカ先生だ
一体何があったのか聞いてみんとな……」
海平「ここはワシらのアジトだよ」
カツオ「アジト?」
ノリスケ「伯父さんの科学力に対抗する為に、ちょっと別の宇宙を作ってそこにアジトを作ったんだよ
宇宙が違えば計画に夢中な伯父さんでは着いてこれないからね
ワームホールという目に見えない通路を通ってここへ来ることを僕らは転送と呼んでるんだ
簡単に言えば瞬間移動だね」
カツオ「は、話が見えてこないよノリスケおじさん」
ノリスケ「ごめんごめん、先走っちゃったね」
海平「ここからはワシが順を追って説明しよう」
海平「話はループが始まる前まで遡ることになる……」
海平『アレフ2プロジェクト?』
波平『ああ……』
海平『何だそれは』
波平『海平兄さんも薄々感じていたんだろう?人間の限界を』
海平『何の話だ?確かにワシは研究していく中で人知を越えた存在を感じざるを得なかったが……』
波平『その限界を“突破”する方法をワシは発見した
それが“アレフ2プロジェクト”だよ』
海平『……?』
1、2、3、……から成る自然数と0.5652などのややこしい数も含んだ実数を考えよう
自然数と実数、どちらが大きいだろう?』
海平『どちらも無限で同じじゃないのか?』
波平『それが違うんだよ
例えば2、4、6、……と続く偶数も無限にある
偶数の一つ一つに1、2、3、……と番号を振ったとしよう
この番号はもちろん自然数だ
この時、どちらも無限に続くが、どんな偶数を取ってきても必ず自然数の番号を振ることが出来るだろう?』
海平『うむ、自然数も偶数も余ることがないな』
波平『ところが実数は、対角線論法というのを使うと必ず番号が振れない数があることが分かるんだ
すなわち、自然数より実数の方が大きいということになる』
海平『なるほど』
波平『そこで、自然数の大きさをアレフ0、実数の大きさをアレフ1と呼ぶことにしたんだ』
海平『つまりアレフ2というのは……』
波平『そう、実数よりも大きい無限のことだ』
海平『それと一体何の関係があるんだ?』
海平『ああ、それはワシの研究対象とも関連があるからな
3つを考えれば良いからこの世界は3次元空間だと言われている』
波平『ところでこの宇宙、ずっと高い所へ進んで行くとどこに辿り着く?』
海平『元いた場所だろう
この世界はトーラス構造だ
ドーナツ型の世界があったとして、その表面に二次元の存在がいたとしよう
その存在がある方向へ進むと必ず元の場所に戻ってしまう
ドラクエで言えば地図の右上へ進んでいたら左下から出てきてまた元の場所に戻るようなものだ
こんな性質を持つトーラス構造は、我々が住む世界にも当てはまると言われている』
波平『その通りだよ海平兄さん
言い換えればこの世界は無限に縦、横、高さへと行くことが出来るんだ』
海平『いい加減結論に入らんか、弟よ』
自然数は3つや4つ集まっても実数の大きさには届かない
しかし、自然数が無限に集まればその時は大きさが実数と並ぶことが分かっている
つまり、アレフ0が無限に集まればアレフ1になるんだ
この世界は縦、横、高さを実数、つまりアレフ1で表せる』
海平『ま、まさか……!』
波平『そう、今はアレフ1が3つでこの世界全体もアレフ1でしかない
そこでワシは縦、横、高さといったものを無限に増やす……すなわち、この世界を無限次元へ拡張させてアレフ2へと昇華させる!』
海平『バ……バカな……そんなこと……』
波平『出来るんだよ、ワシの理論ではな』
波平『ワシらは今まで三次元空間の存在であるが故に遠い次元のことを抽象的にしか理解出来なかった
しかしこれが成功すれば、遠い次元の概念もぐっと分かりやすくなり、科学はより上のヒエラルキーへとステップアップ出来るんだ
素晴らしいと思わんか?』
波平『ほう?』
海平『外積は“n元数”という考え方を用いれば7次元までしか適用出来ないことが分かっている
そして“磁”の付くもののほとんどがその外積で表せることもな
この世界を高次元にすれば外積が成り立たない、即ち“磁”の付くものが崩壊する
これは粒子のスピンという性質にまで影響を与え、ワシら人間どころか物質が存在出来なくなるぞ!』
波平『数式は言葉でしかない
言葉が失われた所で事実は消えんよ』
海平『話にならん!
ワシは大事な家族を失いたくはない
全力で止めさせてもらうぞ』
波平『……』
海平「波平と話し合った当時、ワシは時空間について研究しとった
そして、波平に、アレフ2プロジェクトとやらに先を越されまいと必死にやった結果、ワシは何とか“時間の特異体”というものを発見した」
カツオ「時間の特異体?」
海平「この世界は当たり前のように時間が勝手に流れていく
しかし、ワシはそのルールに反する空間を見つけたんだ
そこは時間が流れない場所だった
ただし未来のワシが物質Aを入れたとして今のワシが物質Aを取り出す、といったことは出来ないみたいだがな
その穴へとワームホールを繋ぐのは中々大変だったが、何とか繋いだワシは、そこに籠りその空間の研究をしとった
そして、気付いたら外の世界がループしていたというわけだよ」
カツオ「よく分からないよ
そもそも時間が流れない世界にいるのなら、ループする前からループする後という時間の流れを受けないじゃないか」
しかし、通常の時間が流れる世界ならワシはループに巻き込まれているはずだ
どういうわけか、皆ループが始まると記憶を無くしてしまう
しかし、そこに籠っていたワシだけは無くさなかった
これは時間の流れを受けなかったに他ならない」
カツオ「よく分からないや」
海平「例えばSPF50やPA++という言葉があるだろう?この意味が分かる人はほぼいない
しかし、50や+という数、記号によって何となく理解ができる
このように深く考えようとせずに浅く理解しておけばよい」
カツオ「分かったよ海平おじさん
それで海平おじさんは今何をしてるの?」
海平「今は時期が来ては時間の特異体に入りループを回避しながら、波平の計画を止めるための研究をしているよ」
ノリスケ「そこで、東大生の僕をスカウトしたんですよね!」
しかし今はイクラちゃんの才能を認めざるを得ないよ
彼はノリスケが名古屋に転勤となった時に独自のプログラミング言語“Baboo”を開発してパソコンで高度なシミュレーションを行うことを可能にしたんだ
そのせいか名古屋で簡単な日本語を覚えたにも関わらず、東京に戻った後研究のしすぎで“Baboo”に言語能力を支配され、今では“Baboo”で使う言葉しか使えなくなってしまったが……」
カツオ「ええ!?ノリスケおじさん名古屋に転勤になったの!?」
ノリスケ「ハハハ、そうだよ
ループしてるとはいえ、僕達や伯父さん達の行動が違うせいか全く同じ世界にはならないからね
例えばカツオくんの隣に住んでる今のイササカ先生はループの途中からやってきたのさ
僕も名古屋に転勤になる前は今のアパートには住んでいなかったしね」
カツオ「(イササカ先生とお父さんは繋がりがあったみたいだった……ループの途中から来たのには何かわけがあるのか?)」
波平「どういうことですかな?イササカ先生」
イササカ「わ、私にもさっぱり……
バレないようにやっていたはずです
自分で気付いたとしか……」
波平「……イササカ先生にはわざわざ近くまで来てもらい協力してもらっている身です
しかし、これでは出した金と釣り合いませんぞ」
イササカ先生「もちろん、私が責任を持って甚六の所まで行けるようにします」
波平「頼みましたぞ」
イササカ先生「はい」
波平「では」
イササカ先生「私の息子がやったことなんだ
仕様がないじゃないか」
お軽「でも、もう一つの方が……」
イササカ先生「もちろんそちらも続ける
むしろそちらを止めたら磯野さんに何をされるか……
私の貸した小型ロボや衛星もすっかり我が物顔だ」
お軽「そうですね……(おフネちゃん……あなたはこれでいいの?)」
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