高校のクラス全員で悪霊と戦った話させてくれ
熱心に語る細木に俺と松坂はうんうんと相槌を打ちながら聞いていた。
そこで何か違和感を感じた。
教室には俺たちしかいないけれど、それでも静かすぎないか、
もう少し外の音が聞こえてもいいのではないか。
校舎にはまだたくさんの人がいるのに。
そう思って教室を見渡すと教室の真ん中にいつの間にか知らない女がいた。
あまりのショックに言葉が出なかった。
ただ「ああ、ああ・・・」
と情けない声が漏れていた。
すると松坂と細木も女に気付いたようだが二人とも固まっていた。
その女は白い服に黒いスカートをはいていた。
そして両目が異常に離れていて、腕が異常に長かった。
そしてぼーっとした表情でこっちを見つめていた。
ハッピーターンは誰でも好きなのさ
すぐにでも逃げ出したかったけれど恐怖で体が動かなかった。
細木と松坂も動けないようだった。
すると女が一歩こっちに踏み出した。
その瞬間松坂が大声で「逃げるぞ!!」と叫んだ。
松坂の声で体が動くようになり、俺は全力で窓を開けてベランダに出た。
松坂と細木がどうなったのか、振り向く余裕もなく俺は非常階段を目指して全力で走った。
死ぬほど怖くて何も考えられずにただ走った。
そして非常階段まであと少しの所で左足を掴まれた感覚があった。
このままでは殺されると思った。
かなり錯乱してたと思う。
これは非常階段に間に合わないと思ってそのままベランダの柵を飛び越えた。
ちなみに俺たちがいたのは3階だ。
このとき本当に「ああ、死ぬんだな」って思った。
下を見ると丁度物置として使われているプレハブの屋根が見えた。
そこにうまく着地できれば、と思ったところで俺は気絶した。
全身の激痛で目が覚めると俺は病院のベッドで寝ていた。
起き上がろうとしても痛いのと、なぜか体のあちこちがベッドに固定されていて全く動けなかった。
「だれかいませんか!」と叫んでみるとすぐに看護師さんが来て、医者を連れてきてくれた。
医者は俺のことを見ると体をベッドに固定していた器具を全部取ってくれた。
医者「ここは○○病院だ。君は何でここにいるのかわかるかい?」
俺「学校のベランダから飛び降りたからです。」
医者「自分から飛び降りたのかい?」
俺「はい。」
医者「自分の命を絶つつもりだった?」
俺「いえ、死ぬ気はありませんでした。」
医者「それならよかった。
きみは今首から背中にかけて強い打撲をしている。
それから左手の指の骨が親指以外全部折れている。
でも命に別状はないし、どちらもちゃんと治るよ。」
医者はそんな感じで俺の状態について説明してくれた。
そうしているうちに母親が泣きながら病室に入ってきた。
「よかったよかった」と言いながらボロ泣きだった。
すごく申し訳ない気持ちになっていた。
何と俺はベランダから飛び降りて5日も眠っていた。
母親は俺が飛び降りたことについては触れなかった。
とにかく今はゆっくり休んでね、と言っていた。
状況がいまいちわからず困っていたが、ふと左足に違和感を感じた。
気になってみてみると左足の足首にしっかりと足を握るように手形がついていた。
手形が残っているというよりはリアルタイムで握られていると思った。
これは何とかしないとヤバいなと思っていると松坂がお見舞いに来た。
松坂は明らかにやつれていて顔色も悪かった。
松坂にはこの5日間の話を聞いた。
まず教室で女が出た後の話だ。
松坂はあの後教室を飛び出し、職員室まで全力で走った。
松坂も後ろを振り向く余裕はなかったらしい。
職員室について、とにかく来てくれと先生方を教室まで連れて行った。
すると教室では細木が息をしていない状態で倒れていた。
女はどこにもいなかったらしい。
細木はすぐに救急車で運ばれたが病院で死亡が確認された。
死因は窒息死。自分の腕をありえないくらい口の中に突っ込んでいたらしい。
おれは物置の天井を突き破って物置の中に倒れていたところを部活中の生徒が発見したらしい。
おれはその後救急車で運ばれ、覚えていないが病院で一度目を覚ましたらしい。
その時はかなり錯乱していて自分の手を口の中に入れようとしていたらしいが、
鎮静剤を打たれてからはずっと眠っていたとのことだ。
その後学校は臨時休校となった。
俺が飛び降りたのが金曜日の夕方で、月曜日には市長も参加して保護者説明会がクラスで行われたようだ。
学校ではイジメの事実はなかったこと、今回の事件は事故だったことを話したらしい。
また、今回の件は細木の両親の強い希望もあってあまり事を大きくしないようにするらしい。
細木に関して調査中の一点張り。
俺の飛び降りについても調査中とのことだった。
俺の母親が呪いについて質問したようだったが、学校側としてはオカルトな事情を挟むつもりはないとのことだった。
火曜日にはまた学校が再開されたらしいが俺たちのクラスはほとんどの生徒が休んだとのことだった。
そして火曜日の朝に担任が自宅で亡くなっているのが見つかった。
精神を病んでしまっていたらしい。自殺だそうだ。
そして今日、水曜日の午前、学校に担任の嫁が凸してきた。
教室まで侵入してきて泣きながら「あの人をかえしてよ!」と訴えたそうだ。
これが警察沙汰となって今日も早く家に帰されたとのこと。
聞きたくない情報ばかりで訳が分からなくて号泣した。
続きが気になり眠れない!
>>1です。
昨日は寝てしまいました。
今日の夕方にまた来て続きを書いてこうと思います。
あと質問には全部書き終わってから答えようと思います。
ちなみに野球部が二人橋から落ちた件と、細木の件、担任の嫁が凸してきた件は
あまり大きくではありませんが地元のテレビ、新聞で報道されていました。
俺も詳しくは聞かされませんでしたが、途中から市長や警察も介入してきて大事にならないように
いろいろ頑張ってくれたのであまり大きく報道されなかったのかもしれません。
なんだか特定されちゃう流れですかね?
フェイクを入れながら続けていきます。
その後俺は次の土曜日まで三日間入院することになった。
その間いろいろな人がお見舞いに来てくれた。
まずは父親。
俺の顔を見るなり「なぜ飛び降りたりしたんだ!!」と怒鳴られた。
俺は実際にあったことを詳しく話したが父親は信じていないようだった。
どうやら俺がいじめにあっていて、いじめっ子に口止めされていると考えているようだった。
最後には「母さんを泣かせるような真似は二度とするな!」と怒られた。
次に副担任と教頭。
当時の状況について聞かれたので、父親に話した内容と同じ内容を話した。
そのあと教頭が今の学校の状況を教えてくれた。
話の内容は大体松坂に聞いた通りだったが、
保護者説明会では俺の父親が怒鳴り散らしていたことをここで初めて聞いた。
そして警察の人と校長、教育委員会の人たち。
ここではイジメがなかったことの確認と、当時の状況説明が主なものだった。
俺たちが見た女が不審者なら事件だということだったが、
学校の出入り口のカメラには映っていなかったことを教えてくれた。
あと今回の件については大事にしない予定だから、あまり騒がないようにとのことだった。
そして細木の両親と弟。
「あの子の友達でいてくれてありがとう」と言われて号泣。
最後に細木のことをずっと忘れないでいてほしいと約束をした。
他にも友達や親族の人たちも来てくれたけどここでは省く。
その後俺が入院している間に様々な情報が入ってきた。
俺たちのクラスは学級閉鎖になっていて、次の月曜日から再開する予定だということ。
クラスの女子の一人が精神的に崩壊してリスカした画像をメールで一斉送信したこと。
クラス内のメールのやり取りで女の幽霊を見たという情報が多数で回っているということ。
でもどの目撃情報も俺たちの見た女とは違っていたため、
松坂は嘘かそれっぽいものを見て勘違いしたのだろうと言っていた。
でも俺も松坂も実際に見てしまった以上、幻覚だとは言えなかった。
松坂は相手を霊的なものと仮定して、素人なりにできる限りの対策をしてみると言っていた。
そんな中、女子の一人がお祓いをしてもらったという話が入ってきた。
結構な料金を出したらしいが、お祓いが終わると体が軽くなったと聞いた。
俺はまだ左足に手形が残っていて精神的にかなり参っていた。
お金の問題はともかく藁にもすがる思いで、その女子がお祓いをしたという神社に電話をした。
電話はつながったが、今はお祓いできないと言われてた。
女子のお祓いをしたすぐ後に住職がバイクで事故を起こして大けがをして入院中だと言っていた。
命に別状はないが、しばらくは動けないらしかった。
土曜日になって俺は退院した。
まだ背中と首は痛かったし、左手も包帯ぐるぐる巻きだったが、
問題なく歩けるので学校に行っても大丈夫だろうと言われた。
久しぶりに家に帰り、ケータイを開くと最初に「呪いだ!」と言い出していたリア充からクラスメイト全員に
一斉メール送信が来ていた。
内容は儀式の詳しい内容についてだった。
ちなみにこのリア充は俺たちが女を見た日以降、一度も学校に来ていなかった。
儀式の詳しい内容は全部は書かないが、簡単にまとめると
こっくりさんの亜種みたいな儀式。
こっくりさんと違う所は降霊術ではあるが呼び出すのは神様であること。
また、占いではなく、呼び出した神様に願いを叶えてもらう儀式だ。
まず神様を呼ぶ段階で、神様を呼び出す詩を読みながらお酒をふるまう。
そもあと願い事を言って、叶えてもらう代わりにこちらから代償を払う。
代償はなんでもいいらしいが、大切なものであればあるほど願いは叶いやすいとか。
そこで代償として今回出したのがなんと「委員長の魂」。
もともとふざけ半分だったし、上手くいくとは誰も思ってなかったらしい。
そしてこのリア充が懸けた願いは
「退屈しない刺激的な学校生活」
儀式が成功すると点けていたろうそくの火が消えるらしいのだが、
願いを言った瞬間、風もないのに火は消えたとの話だった。
死ぬなよ…
魂は一番かけたらまずい
回収するタイミングは契約によるけど期限を決めないで即とかいるから洒落にならんよ
こういう契約って悪魔がやるものだと思ってました
神の儀式はかなりの代償を伴うから呼び出すだけでも相当危険だし魂かけて安全なわけない、仮にこれが釣りだとしても絶対にやったらダメ
契約自体は誰でもできる その気になれば人間同士でも可能
戻ってきました。
明日は仕事で朝早いので今日は書けるとこまで書きてきます。
メールが来たあとは一斉送信祭状態だった。
リア充を激しく非難する声もあれば養護しようとする声、質問攻めする声、
かなりカオスな状態だった。
リア充の言い訳は、
「退屈しない刺激的な学校生活」というのは、
明るい青春のイベントがいっぱいあって、毎日が楽しい生活を想像していたらしい。
だが実際は最悪の形で刺激的な学校生活となってしまった。
メールの中では
願いを言ったリア充を中心として今回の事件が起きているなら、
このリア充がいなくなれば、みんな助かる。
という話が強くなっていた。
つまりリア充が転校するか消えるかすればみんな助かるみたいな話だった。
中にはリア充を擁護しようとする声もあったが、基本的にみんなリア充を責めていた。
そこである一人のクラスメイトが
「メールで話していても何も解決しない。
一度全員で集まらないか。」
と発言した。
それにはみんなが賛成して、翌日に学校に集まることになった。
メールが落ち着いたころ、俺は松坂に連絡した。
なにか対策はできたかと聞いてみると、
調べれば調べるほど、素人の力ではどうしようもないと思えたため、
やはりその道のプロの誰かに除霊してもらうのが1番だと考えた。
両親とも協力して、手あたり次第除霊をやっていそうなところに電話をしたが、
ほとんどの所で断られてしまったという。
女子が除霊してもらった所の住職が大けがしたという情報が広まっていたためだ。
中には話だけでも聞いてくれるという所もあったが、
リア充の儀式のことを伝えると、ほぼ全滅だったようだ。
中には「任せてください」と言ったところもあったが、
費用があまりにも膨大すぎる上に、サギっぽいところだったからやめたと言う。
ただ、対策がないわけではない、と松坂は言った。
どういうことか聞いてみたが、明日みんなの前で話すとのことだった。
そのあととても不吉な話をされた。
なぜ、たくさんいるクラスメイトのなかで、金曜に俺たちの所に女が現れたのか。
おそらくだが細木が野球部の二人が落ちた時に女を見てしまったから、
細木のいる俺たちの所に現れたんじゃないかと。
もしも女が自分を最後に見た人の所に現れるなら、次は多分、
俺の所かお前の所に現れるんじゃないか。
松坂はそういった。
もちろん女がどんな原理で動いているのか分からない。
ただ金曜日から今日まで女とは関係ないところで、
担任がしんだり、担任の奥さんが学校に着たりと、
リア充にとって刺激的なことが続いていたから女は現れなかったんじゃないか、と。
そう考えると、リア充にとって刺激的な出来事が途絶えると、
俺たちの下に女が出てリア充に刺激を与えるんじゃないか、と。
松坂の話はとても説得力があった。
それなら常にリア充に刺激的な出来事を体験させればいいんじゃないかと思ったが、
人の死レベルの刺激を与え続けるのは無理だろうと言われてしまった。
煮え切らない気持ちのまま松坂との電話を終え、その夜は自分なりに対策を考えてみた。
まず除霊はどこもかしこも断られてしまって、誰かにお願いすることはできない。
リア充に刺激を与え続けるのも現実的ではない。
一番手っ取り早いのはリア充が転校することだろう。
でもリア充はメールで転校はできないと言っていた。
リア充が俺たちのクラスに在籍している限りは女は現れるだろう。
だったらリア充が死ねばいい。
あいつらの悪ふざけのせいで関係のない細木も担任もしんでしまったし、
おれも松坂も散々な目にあっている。
殺されても仕方ないと思った。
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