去年のGWでの一人旅のお話
俺「お、早いね」
かすみ「そうですか?俺さん1時間半くらい入ってましたよw」
俺「え、あれ?まじで?ごめん待たせたかな」
どうやらゆっくりしすぎたみたいだった
そこでまたかすみと話して、外を見るとすっかり日が暮れてしまっていたので帰ることにした
外に出ようとすると、1階のレストランが目に入る
俺「・・・・(季節限定がある」
かすみ「・・・・」
俺「ここで食べてく?」
かすみ「同じこと思ってましたw」
後で知ったけど、秋田の名産なんだってね
俺「俺は稲庭うどんにしよっかな」
かすみ「あ、私もです」
俺「おいしそうだよね」
かすみ「はい、て言うか季節限定ってのに弱くて・・・w」
俺「同じ!俺もどっちかっていうとその理由w」
かすみ「いいですよね!旅先だと特に、ご当地で季節限定だと・・・w」
俺「ほんとね、瞬殺されるよね」
冷やしを頼んだので、温泉で暑くなったこともあってかなり気持ちよく食べられた
温泉を出て少し走ると海沿いの道に出る
もう夜も更けてきたので寝床を探しながら走ると、海沿いの駐車場のようなところに公衆トイレがある場所を見つけた
今夜はここで車を停めて泊まることにする
かすみには少しの間外に出てもらい、シートを倒して準備をする
俺「大丈夫かな?ごめんね、こんなとこ連れてきてこんなとこ寝させて」
かすみ「大丈夫ですよ、なんかこういうのも新鮮でいいですね」
俺「毛布は何枚かあるから、寒かったら追加してね」
かすみ「はい、ありがとうございます」
俺「よし、じゃ寝よっか」
やはりこういうところの公衆トイレはとてもキレイとは言えず、電気はついていても暗くて少々恐怖を感じる
海がすぐ近くにあることもあって空気は冷えていて、外灯もほぼないので真っ暗
車を停めているのは俺たちだけで、そんなに広くない駐車場だけど車は出来るだけトイレの近くに停めた
車に戻ると俺は運転席に乗り、少しシートを倒す
俺「これくらい倒しても大丈夫?」
かすみ「あ、はい・・・て言うかそっちで寝るんですか?」
俺「うん、そうそう」
俺「あ、ごめん、毛布取ってくれる?」
かすみ「・・・そこじゃ足伸ばせませんよ?」
俺「後ろもそんなに広くないから、あんまり変わらないよw」
かすみ「・・・・・」
かすみ「・・・こっちで寝てください」
俺「!!!??」
俺「まぁ・・・そうだけど」
かすみ「じゃあ私が助手席いきます」
俺「いや、それはダメだって。ちゃんと横になれないと疲れるよ?」
かすみ「ほら、やっぱり疲れるんじゃないですか!」
俺「・・・・(墓穴掘った」
かすみ「私がいるせいで俺さんがちゃんと寝れないのは申し訳ないので・・・」
かすみ「俺さんが後ろで寝るのは決定です!」
俺「・・・・・」
かすみは思ってたより強引と言うか、引っ張っていくタイプ?
でもしっかり気が利く子で、俺のこと考えて言ってくれてるんだろうなっていうのは伝わってきた
俺「だからそれはダメだって。まだ明日も車で移動するんだし、ずっと座りっぱなしになってしんどいよ?」
かすみ「やっぱり俺さんが我慢しようとしてたんじゃないですか・・・」
俺「・・・・」
俺がバカなのか、かすみが上手いのか
俺は自分が我慢して運転席で寝ようとしてたことを白状させられるように見事に誘導されていた
かすみ「私も後ろでいいんですか?」
俺「いや、男と女だしさ、それはちょっとまずいんじゃないかな」
かすみ「じゃあ私が前?」
俺「それはダメ」
かすみ「もうー!」
俺「・・・・」
俺「やっぱ俺がこっちでいいよ」
かすみ「それはダメです!」
かすみ「どうしますか?」
俺「俺が前で寝r」
かすみ「ダメです」
俺「・・・・・」
かすみ「もし隣で寝るの気にしてるなら、ほんと気にしなくて大丈夫ですよ」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・ね!」
俺「・・・分かったよ、じゃ申し訳ないけど俺も後ろ行かせてもらうね」
かすみ「最初からそう言いましょうw」
お陰さまで俺は以前のように死人になるようなこともなく、ちゃんと寝れそうだ
ただ、横を見るとかすみがいる
めっちゃドキドキする
特にこれといって話したりすることもなく、少しだけ明日の予定を話してお互い眠りについた
優しい人なんだなって素直に思った
かすみ「・・さん、・・・俺さん」
俺「ん?(ムニャムニャ」
時間を見ると夜中の2時半?
俺「どしたの?」
かすみ「あの・・・」
俺「ん?」
かすみ「すいません、トイレついて来てもらっていいですか・・・?」
俺「え?あぁ・・・いいよ、そっか暗いもんね」
かすみ「すいません・・・」
外に出てトイレに行くと、かすみは女子トイレに入る前に一言
かすみ「絶対そこにいてくださいね?絶対ですよ?」
俺は入り口のすぐ前、男子トイレと女子トイレが分かれているところで立って待っていた
まだ車は俺の車だけで、他の車は全く停まっていなかった
かすみ「俺さーん?」
俺「どしたのー?」
かすみ「ちゃんといるかなってw」
怖いのか、入って戸を閉める音が聞こえてすぐに声をかけてきた
かすみ「俺さーん?」
俺「大丈夫、いるからw」
かすみ「俺さーん?」
俺「はいはいw」
かわいい
かわいい
とか、書いてないにはかすみには書いてる。
水族館やらいろいろお金もだしてる。
これは。。。w
俺「ううん、大丈夫、真っ暗だもんねー」
かすみ「こういうとこのトイレちょっと怖いですw」
俺「夜だとね、確かに一人だと不安かもね」
かすみ「ありがとうございました」
そう言ってまた2人で横になる
お互いにすぐに寝てしまったようだ
翌朝もまた、俺は「・・スーッ」と目が覚め、ピクリとも動かずに目が覚めた
お互いに内側を向いて寝ていたようで、目を開けた先にかすみの寝顔が見えた
かわいい
ここには自販機がないので、恒例のコーヒータイムがないのが少し寂しい
すっかり明るくなっていて、夜には見えなかった海が見える
位置的に朝日を見ることは出来なかったけど、日の光が海に反射してキラキラしてる
バタンッ
かすみ「あ、おはようございます・・・わーきれいですね!」
海を眺めているとかすみが起きて出てきた
かすみ「うわー、こういうの、車中泊でもないと見れないですよね」
俺「そうだね、それも醍醐味みたいなもんかなぁ」
かすみ「なんかありがとうございます」
かすみ「ううん、来てよかったです、誘ってくれてありがとうございます」
俺「なんかそう言ってもらえると嬉しいよ」
俺「寝るとこなんか車だし、正直迷惑だったかなーって思ってたから」
かすみ「ううん、ほんとに。楽しいです」
俺「それなら良かった、そろそろ行こっか?」
かすみ「あ、もうちょっと見ていっていいですか?」
俺「もちろん、ゆっくりしてこー」
俺は一旦車の中を整理して、海側に車の後ろがくるように動かした
そしてトランクを開けっぱなしにして、車に座るようにして2人で海を眺めた
少し肌寒かったので、お互いに毛布に包まりながら20分近く海を眺めて話していたと思う
俺もかすみもおにぎり2つとお茶を買った
車で走りながら食べることにして、とりあえずおにぎりを開封しようと試みる
かすみ「開けましょうか?」
俺「え?あ、ごめん、お願いしていいかな」
かすみ「・・・(ゴソゴソ)はい!どうぞ」
俺「ありがとー」
俺「(お茶お茶・・と」
かすみ「はい!」
かすみがお茶の蓋を開けて持っててくれた
俺「なんかずっと思ってたけど、すごい気が利くよね」
俺がお茶を置こうとすると、当たり前のようにお茶を受け取ってドリンクホルダーに置くかすみ
かすみ「いえ、なんか・・・お世話になってばっかりなのでこれくらいしないとw」
このことだけで気が利くと言った訳じゃないけど、自然に相手のこと考えて動ける人なんだなって思った
道中、秋田の大森山動物園という所がある
ちょうど開園してすぐくらいの9時頃に到着
ゴールデンウィークとはいえ、まだ朝早いのでお客さんは疎ら
入り口の横に立て看板があり、工事のお知らせと書かれていた
どうやら今年の夏くらいに正面ゲートが新しくなるらしい
たぶんまた来る
面白かったのが、遊具と動物観察が一緒に出来るようになっている場所があったこと
これは他の動物園ではあまり見たことがなかったので新鮮だった
いつもなら一人で来る動物園や水族館だけど、もし一人で来てたらこの遊具には入り込まなかったと思う
かすみと一緒になんかデート気分でめっちゃ楽しめた
人も少ないから人目も気にすることなくはしゃぎまわった
はしゃぎまわった記憶しかなくて、それ以外はほとんど覚えてない
水族館もそうだけど、そういうこと行くとつい夢中になっちゃうんだよね
だからもしかしたらかすみはつまらなかったかもしれないと後で反省はした
動物園には4時間程滞在し、ライオン、トラ、キリン、ゾウ等メジャーな動物たちを眺めたあとにレストランに行く
その頃には人も増えていて、時間も昼時なのでレストランもなかなかの混みっぷりだった
レストランで食事を済ませて、駐車場に戻ったら14時に近くなっていたと思う
いや何もない訳ではないんだ
寄りたかったところは海沿いにはなく、少し内陸に入らなければならなかった
そこに寄ると俺の連休の都合上ちょっと厳しくなりそうなので今回は諦めた
そのまま新潟の海沿いを走ると、正にすぐ横に海を眺めて走る、日本海夕日ラインというルートに入る
ちょうど夕方に差し掛かっていたところだったので、どこか停まれる所を探した
この道沿いには多くの海岸があり、特に苦労することもなく車を停めることができた
時期が時期なので人は全然いなくて、天気も良かったので日本海に沈む夕日を眺めることが出来た
砂浜の入り口にあたる幅の広い階段・・・というか砂浜とほぼ同じ幅くらいの階段に2人で座り、日が沈むのを待った
俺「そうだねー、俺もこうやってちゃんと夕日見たの初めてかも」
かすみ「なんか・・・ほんとにありがとうございます」
俺「いやいやほんとにこちらこそだって。ついて来てくれてありがとう」
お互いを見ることなく、夕日を眺めながら話していたんだけど、ふとかすみを見ると少し泣いていた
俺「え、どうした・・・?」
かすみ「・・・すいません」
俺「・・・・・」
正直どうしたらいいか分からなくて、なんで泣いてるかも全然分からなくて、なんて声をかければいいか分からなくて
少し思考が停止した
一人旅に出たけど、想像以上に寂しくなってしまったこと
帰りに誘ってくれたこと
最初は俺についていくのが不安だったこと
今は本当に楽しくて、来て良かったと思っていること
ゆっくりだけど、色々なことを話してくれた
俺は黙ってそれを聞いているだけだった
少し寒くなってきたので、2人とも無言のまま車に戻った
かすみ「すいませんでした、なんか・・・」
俺「ううん、大丈夫?」
かすみ「はい、もう大丈夫です!」
俺「んー・・・うまく言えないけどさ・・・」
俺「なんか・・・話してくれてありがと」
かすみ「・・・ううん、こちらこそ、ありがとうございます」
俺「じゃ、行きますか!」
ここも海沿いの駐車場は多くありそうだったので、特になにも考えずに車を走らせる
かすみ「・・・今日も車に泊まるんですか?」
俺「そうだね、そろそろ停まろっか」
かすみ「疲れてないですか?ずっと車で・・・」
俺「んー、まぁ・・疲れてないと言えば嘘になる・・・かな」
大丈夫って言ってもかすみには何か見透かされてる気がしたので正直に白状する
かすみ「今日はちゃんとしたとこ泊まりませんか?」
俺「うーん、もう時間も遅いし、見つかるかな?」
かすみ「少し街に行ってみません?」
俺「探すだけ探してみよっか」
今思えば、これはかすみが勇気を出して言った一言だったようだ
本来は俺が言うべき言葉だったのかもしれない
大きな道を走っていると、左側にホテルのようなものが見えてきた
かすみ「あそこは?」
俺「あ、ホテルかも。行ってみようか」
ここまで何も気付かないのは童貞であるが所以であろうか
本当に全く何も考えていなかった
考えていたことと言えば、もしかしてかすみは車で寝るのが嫌だったから宿泊施設を探してるのかなとか
それもあってとにかく泊まれる所をすぐにでも探したい気持ちだったんだ
駐車場に車を停め、入り口から中に入るとようやく気付く
入って左側に大きな明るい部屋の写真?パネルがあり、右側に受付がある
先輩諸君はもうお気付きだろう
かすみ「・・・いいですよ、もう夜遅いし、横になるならどこでも一緒です」
俺「!!?」
俺「いや、でもここって・・・」
ポチッ
かすみ「・・・大丈夫ですよ、俺さんならw」
そう言って先にボタンを押しちゃうかすみ
これはどっちなんだ
どういうことなんだ先輩諸君
俺とならそうなってもいい?俺が手を出すようなことはない?
どっちだ
俺は今の状況に付いていけず、平静を装いつつもパニックになりながら部屋のすっごい隅っこに荷物を置く
かすみ「先にお風呂入っていいですか?」
俺「あ、どうぞどうぞ・・・」
そう言ってかすみは荷物を持って風呂に向かった
一方、俺は古畑任三郎さながらに部屋をうろうろして纏まることのない考えをひたすらに巡らせていた
どういうことだ?
どうすればいい?
何でこうなった?
どういうつもりなんだ?
全く結論は出なかったが、少し落ち着いてベッドに腰掛ける
何故か少し震えてきた
下はスウェットで、上はTシャツという形
かすみ「お風呂、広いですよw」
俺「あ、あぁ・・・え?」
かすみ「え?」
俺「あ、じゃ俺も入ろっかな・・・」
俺氏、落ち着いた頭が完全にパニック
何を言ったのかあまり覚えてない
風呂に入るとまた落ち着いてくる
シャワーを頭から被りながら、修行僧の滝行のようにして頭を冷やす
俺が気にしすぎなだけなんだろうか
かすみは普通にただ寝るだけのつもりでここに来たのだろうか
どれだけ考えても答えは出ず、同じ問答を頭の中で繰返す
でも考えていると少し落ち着く
いくつか考えも出たけど、俺が辿り着いた答えはこれだった
(たぶん寝るだけのつもりだな)
(車の中でも隣で寝たし、場所が変わっただけのことだ)
(いつも通りでいいか)
(よし、そうしよう)
半ば強引にこの答えを出し、俺は完全に落ち着いた
ただ寝る場所が変わっただけのこと
そう考えれば随分と気が楽になった
まぁ、今思えばいつもこうやって逃げるように考えているから童貞のままなんだろうな
俺「明日どこか行きたいとこある?」
かすみ「あ、私はもう・・・何があるのか分からないんで、お任せします」
俺「そっか、俺も特に気になるところはないからそのまま帰ろっか」
かすみ「分かりました、じゃ明日が最後ですねー」
俺「うん、ありがと、ほんとに楽しかったよ」
かすみ「ううん、なんか・・・こちらこそ色々ありがとうございました」
そんな感じで話しながら俺はベッドに腰掛け、かすみもベッドの方に来る
俺「じゃ、そろそろ寝よっか」
かすみ「はい」
電気を消して、お互いにベッドに入る
さっきかすみが言った、明日が最後って言葉
それが少し心に残っていた
明日が最後か・・・
そう思うと急に不安と言うか寂しさと言うか
もうお別れなんだなって思うとなかなか寝れなかった
ずっと上を向いて寝ようとしてたけど、体勢を変えようと横を向く
するとかすみもこちらを向いていた
かすみもまだ寝ていなくて、お互い向かい合わせになった
俺「んー、なんかねw 明日が最後かって思うと色々思い出しちゃって」
かすみ「うん。すごっく楽しかった」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
やっぱり可愛いな
もう頭の中はかすみとの思い出でいっぱいだった
たった数日だけど、ずっと一緒にいた
人生の中で見れば本当に短い間だけど、すごく充実して、幸せな時間を過ごせた
正直、帰りたくない
そう思ったら、つい言ってしまったんだ
俺「・・・好きなんだよなぁ」
つい思ったことが口に出てしまっていた
焦ったね
焦ったよ
俺「あ、いや、うん。え?」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
かすみ「聞こえなかったよ」
俺「あ、じゃいいんだw」
かすみ「もう一回」
俺「え?」
かすみ「聞こえなかったからもう一回言って・・・」
俺「いや・・・」
かすみ「もう一回」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・好き、みたいなんだよね」
かすみ「・・・・・」
俺「かすみちゃんのことが」
かすみ「・・・・・」
俺「会ってから全然経ってないけどさ。何ていうか、帰りたくないって思ったんだ」
俺「だから・・・付き合って欲しい」
かすみは何も言わず、黙って聞いていた
時が止まったかのように沈黙が続く
俺の中では時間が停止していたので正確な時間は分からないが、恐らく数分?いや数十秒?か経った頃
かすみがゆっくりと口を開き始める
かすみ「・・・私も」
かすみ「私も」
俺「・・・・・?」
俺はさっき自分が何を言ったのか忘れていた
かすみ「私も、好き・・・かも」
俺「え、あぁ・・・そっか。・・・え!?」
かすみ「確かに知り合ってそんなに経ってないけど」
かすみ「私もなんか・・・そう思う。好き」
そこからかすみは何かを言っていたが、全く聞こえてこなかった
何を言ってるのか聞こえない
分からない、聞き取れない
ここは本当に分からないんだ、ごめん
ボーっとしていて、何も考えていなかった
後から聞くと、なんでかすみが俺のことを好きだと思ったのかとか
俺のどういうところが好きになったとか
自分もこのまま終わりたくなかったこととか話してくれてたみたい
混乱して聞こえてなかったって言っても残念ながら詳しく内容は教えてはくれなかった
かすみ「ねぇ・・・。ねぇってば!」
俺「・・・え?」
俺「あ、うん、え?」
かすみ「よろしくお願いします」
俺「・・・え?」
かすみ「だから!よろしくお願いしますってばw」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?」
かすみ「もう一回言う?w」
俺「いや・・・え?」
かすみ「もう!w 私も好きだから、よろしくお願いしますw」
俺「あぁ・・・うん、え?俺?」
かすみ「ふふっ」
俺「あ、俺、うん。え?付き・・・合う?」
かすみ「うん、よろしくお願いします」
俺「あ、うん。え?」
俺「彼氏?」
かすみ「うん」
俺「彼女?」
かすみ「うん」
俺「付き合う?」
かすみ「うん」
俺「・・・マジか」
かすみ「うん」
俺「ほんとに!?」
かすみ「ふふっ、うんw」
俺氏、長すぎるパニックを経て、ようやく理解する
かすみ「ふふっ」
俺「何かこんなとこで・・・こんな格好でごめんね」
かすみ「ムードも何もないよねw」
俺「ははっ・・・(苦笑い」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
どちらからともなく、顔を近付ける
ちゅ
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
ちゅ
唇が触れるだけの長めのキス
ここからは正直あまり覚えていない
この後はお互いを抱き寄せ、随分長いことキスをしていたと思う
結果から言えば、俺はこの日から童貞ではなくなった
かすみはこっちを見ていて、先に目が覚めていたようだった
寝起きでいきなり人が現れたので、俺はちょっとびっくりしちゃった
俺「ん、おぉ・・・!」
かすみ「ふふっ、おはよ」
俺「あ、おはよう」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?どしたの?」
かすみ「ううん、寝顔見てたw」
俺「いやもう・・・いいよーw」
やめてくれよー的な感じで俺はガバッと起き上がる
かすみ「あっ」
俺「あ、ごめん」
俺はまた横になり、天井を見つめる
昨日のことが夢じゃなかったんだと改めて思い知る
またお互いに見つめ合い、かすみは俺の肩に頭を乗せるようにしてくっついてくる
俺はそのままかすみの頭を抱き、しばらくその姿勢のままで時間が過ぎていく
この後、かすみとは別々で風呂に入った
何か今思えばここって一緒に入るとこだったんじゃないかなって思うけど、結局俺のヘタレ癖は抜けていなかった
精算を済ませ、車に戻る
俺「よし、行こっか」
かすみ「うん!」
恋人同士になったからといって何が変わったとはうまく言えないけど、やっぱり何か違った
確実に変わっていたのは、かすみが敬語じゃなくなったことかな
かすみ「今日何時くらいに着くかな?」
俺「んー、昼の3時くらい?夕方になる前には着くと思うよ」
かすみ「そっかぁ」
俺「何か予定ある?」
かすみ「ううん、じゃ夕ご飯食べてから帰りたい」
俺「ん、じゃどっかで買い物とかして夕飯食べて帰ろっか」
かすみ「そうしよ!」
気まずくなるようなこともなく、車の中は昨日のように楽しい空気が流れていた
かすみはずっと海を見つめていた
つまり俺の方側を見ていたんだ
なんだか俺が見られているような気がしてそわそわした
朝食はまたコンビニで済ませ、昼食はかすみが見つけた和食屋に入った
それ以外はどこにも寄ることはなく、16時頃に富山に到着した
とあるショッピングモールに立ち寄り、色々と見て回った
何か形になるようなものが欲しくて、お互いに色違いでお揃いのスマホカバーを買うことにしたんだ
安いものだけど、これだけで充分幸せだったなぁ
せっかく旅に行ってたんだから、旅先で何か買う方が良かったかもしれないけど、何しろもう旅は終盤だったからね
かすみはここのてんぷら定食が好きでよく来るようで、俺にも食べてみて欲しいとのことだった
すごくおいしかったよ
漬物も、お茶も、茶碗蒸しも味噌汁も全部おいしかった
なんかね、こういうことだけでもすごい幸せだった
もうここからは話すことはないんだ
この後かすみを家まで送って、俺も家に帰った
一人の時間は少なかったけど、俺の一人旅はここで終了した
あとは普通の恋人として、普通の生活を送ってきたつもりだ
特に変わったこともない
かすみと連絡先を交換する時にLINEを登録して、電話番号とアドレス、LINE IDを交換したんだ
で、家に帰ってからLINEで2人に連絡をすることにした
2人とも登録して、連絡をするとすぐにグループが作られた
ちょっとまだLINEをよく理解してなかったけど、2人と久々に話したよ
普通に会ってる時よりLINEのがテンション高かったけどね
あの後のことを話して、2人も無事東京に帰ったことを知った
俺も恋人が出来たことを話した
ナンパしたのかとか、手が早いとか色々言われたけど、ちゃんと祝福してくれたよ
それ以来、もうほとんど連絡は取ってないし、もちろん会ってない
どういう経緯で同行して、どういう話をして、どこに行って、どう過ごしたか
別に怒るでも引くでもなく、すごい経験だったねと笑っていた
真意は分からないけど、多分そこは気にしてないだろう
LINEのやり取りも見せたし、会うつもりも特にないことを話した
今度私も一緒に平泉行きたいと言ってたので、俺も毛越寺はろくに見れなかったしいつか行くと思う
たまにかすみはあの夜のパニクった俺を少しからかいながら話してくるので、まだ最近のことのように思い出す
たまたま行った東北で、たまたま2人と出会い、たまたま泊まった恐山でたまたまかすみと出会い
たまたま早起きで混浴が被り、たまたま声をかけたらたまたま同行することになった
そして、口を滑らせて出た「好きなんだよなぁ」
色々なことが重なって、今はとても幸せ
あの日からもう一人旅はしていない、と言うか結果的に最後の一人旅になったんだ
今はもう、どこへ行くにも二人旅になっている
またこの連休に二人でどこかへ出かけてくる
小さな偶然が重なって、大きな幸せが転がり込んできたお話
オチがなくてごめんね
おしまい
長くなってしまったけど、見てくれた人ありがとう
運命の人と一緒にいると、心が穏やかに、自然と告白出来ちゃうんだよね
プロポーズもすんなり言えるよ
You結婚しちゃいなよ!
1人旅楽しいけど寂しいよね…
ちょっと恐山行ってくる
俺なんて年末一人旅したってのに普通に一人旅で終わったぞ
いや傷心だったからそれで良かったけど
幸せになれよ!
ありがとう!
俺もいっつもそれだったんだよ
絶対一人で、声をかけることもかけられることもなかったんだ
女の子も歯磨き、洗顔もどうしてたの?
基本的にはトイレの近くで車中泊だったから、洗顔も歯磨きもトイレの洗面台だね
俺はネカフェとかビジネスホテルとか泊まった時に拝借しておいた使い捨て歯ブラシで
女性陣はお泊りセット的なものを持ってきてたみたいだよ
髭剃りは電気シェーバーがある
自分も車中泊前提で三菱のコルト+にしたよ
ちなみに明日、車中泊行ってくるぜ
そうそう、普段人なんて乗せなかったから車中泊専用みたいな状態だったよ
必要なものはほぼ常備してるから突発的な宿泊にも対応してます
車中泊楽しんでくれ!
朝の空気がすごい気持ちいいんだよね
ありがとう
まぁ、今回は5歳の息子とやけどねw
朝の空気、キレイな星空とのコンボはステキすぎるよね
そりゃ恋も生まれるわなw
親父と息子の旅とかいいじゃないか・・・
そういうのも憧れるなぁ
楽しんできてください
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