去年のGWでの一人旅のお話
るり「やばーいw」
きい「遅かったかなw」
俺「ここら辺人少ないからここで待ってようか」
るり「そうしよー」
10分程待つと門が閉まり、20分程待つと開門した
あー義経来るんだーと思ったらまさかの馬が出てきた
るり「馬ww」
きい「え、めっちゃでかいよ!w」
確かに馬ってこんなでかいのかってくらいでかかった
良い位置に陣取っていたので、目の前1mちょいくらいを馬が歩いていく
どんどん続く
まだ来るのかよってくらいめっちゃ続く
数十人が過ぎた頃、入り口の辺りから黄色い声援が聞こえてきた
俺「(あ、祐太きおったわこれ」
一瞬で分かるくらいにきゃーきゃー言ってた
祐太くーん!きゃー!こっち向いてー!祐太くーん!
そればっかりで、行列を普通に見に来ていたと思われる爺さん達は諦めて後ろへ行ったようだ
祐太くんは優しいので、馬に乗りながらニコニコして手を振っていた
目の前に来たとき、2人もきゃーきゃー言って手を振っていた
その時るりはチラッとこっちを見て
るり「やっぱ似てるw」
俺「!!!??」
ここでも周りにイケメンスマイルを振りまきながらずっと手を振っていた
そして俺と目があってニコッとして手を振ってくれた気がした
俺に向かって
気のせいだと思うが、俺が女だったらこれは絶対に惚れてまうやろ
そう思いながら隣を見ると、るり&きいがめっちゃ可愛い顔になって祐太くんを見つめていた
ここで事件が起きた
なんと祐太くんが乗っていた馬がう○こをし出したのだ
そう、我々の目の前で
きい「わー、すごい臭うw」
周りからもうわーとかきゃーとか声がする
しかしながらこれは動物であれば仕方がない
ちょうど止まったところで便意を催したのだろう
祐太くんもそれに気付き、苦笑いをしながら手を振っていた
ここで行列は動き出し、また排便中だったお馬さんはう○こを振りまきながら進んでいった
上ではイケメンが笑顔で手を振り、下ではう○こしながら歩く馬
かつてない程シュールな絵にココロオドってしまった
ちなみにこれに続いていた弁慶さんは華麗にう○こを避けながら怖い顔をして徒歩で進んでいった
車に乗り込み義経堂へ出発すると、どうやらそこ辺りにも義経一行は来るようで、入れないように道路を規制されていた
諦めて先に中尊寺へ向かうことにする
中尊寺へ到着するとここもやはり混んでいた
第3駐車場までたらい回しにされ、やっと停めたところは中尊寺からは結構離れていた
少し歩くことになるが、車に乗りっぱなしで身体が固まっていた俺たちにはちょうどいい運動になった
中尊寺はしっかりと見ることが出来て、本堂にお参り、金色堂を見学、松尾芭蕉の石像の頭を撫でて、奥のレストランに向かった
森の中にあるレストランで雰囲気は結構良かった
ここでは季節限定で葉わさびの蕎麦があったが、先ほども蕎麦を食べた俺たちはちょっと躊躇した
しかし季節限定という言葉に弱い我々は、愚かにも2食連続で蕎麦を食べることにした
やっぱり蕎麦はとってもおいしかった
ごめん、そっち側には行ってないんだ
高速から降りたのは平泉だけで、そこは内陸だからね
そこで言うなら、被害という被害はなにも感じられなかったよ
なんだなんだと思っていると、馬に乗った義経様が光臨なされた
どうやら一行のルートは毛越寺→義経堂→中尊寺になっていた模様
そうとは知らずに暢気に毛越寺から中尊寺まで来た俺たちは、知らぬ間に祐太くんの追っかけみたいな状態になっていた
るり「ここにも来るんだw」
きい「ね、追っかけみたいw」
るり「あーやっぱ似てるw」
きい「笑った顔とかそっくりだよねw」
俺「!!!!??」
るり「俺さんモテますよね?」
俺「は?え?いや全然・・・(童貞です」
きい「うそだよ!絶対モテるw」
俺「いやいやほんとw そもそも似てるとかも初めて言われたよw」
るり「えーすごい似てますよw 髪型もそうですけど、笑った顔が可愛い感じそっくりw」
俺「!!!??」
そこで俺たちは引き返し、中尊寺を後にした
さっきは行けなかった義経堂へ向かい、階段を上った先では平野が広がっていた
そこから向かって右側に石碑があり
『夏草や 兵どもが 夢の跡』
という有名な句が彫ってあった
勝手な解釈だけど、この眼前に広がる青葉で茂った平野を見て、芭蕉はこの句を詠んだのではないかと感慨にふけっていた
女性陣2人は全く興味がないようで、学校の話をしていた
俺は資料館を見て、2人は景色を見ながら話し込んでいた
桜も咲いていたので、なんか雰囲気は良かったな
毛越寺と中尊寺は騒がしかったから、それもあってここはすごくいい雰囲気だった
ここで風呂に入るため、公衆浴場というかスパというか
温泉施設を探していた
近くに平泉温泉なるものがあり、○○の湯(名称はすっかり忘れた)という公衆浴場を見つけたのでそこに向かう
温泉は時間制で、3時間いくら、6時間いくら、という感じだった
値段は100円ほどしか変わらなかったので6時間にして、ゆっくりと過ごすことにした
俺は男湯で久しぶりの一人の時間を堪能し、ゆっくり温泉に入った
超気持ちいい
一人旅に来たのに全然一人じゃないな・・・とか思ったけど、何だかんだ楽しいのでちょっとニヤけた
それを爺さんに見られてニヤけ返された
俺が出ると2人はまだのようで、座敷のくつろぎスペースみたいなとこで2人を待つことにした
そこで横になると、なんか久しぶりに横になった気がして少し眠ってしまった
俺「あぁごめん、寝ちゃってた」
るり「あ、いいですよ、ゆっくりしてください」
きい「そうですよー、ずっと運転してもらってるんですから」
俺「じゃーお言葉に甘えて横になっとくよw」
俺は仰向けに寝て、その横に2人が座っている
何だろう、なんか知らんけどちょっと幸せな気分になった
どうやら俺は30分程寝てしまっていたらしく、温泉を出る頃には2時間が経過してすっかり夜になっていた
3時間コースで良かったじゃないかと思ったけど、時間に追われたくなかったのでこれでいいのだ
車に乗り、とりあえず高速に乗りたかったのでさっさと近くのICから高速に突入する
岩手をある程度進み、9時頃になったところでSAに停車する
そこにもレストランがあったので、夕食を済ませて土産コーナーを3人で回っていた
2人はキーホルダーみたいのを買っていたみたいだけど、俺は旅のお供でもあるブラックブラックを購入した
俺がトイレから帰ると、2人は外に出て何か話してた
俺「寝ないの?」
るり「あ、えっと・・」
きい「あの、今日も運転席で寝るんですか?」
俺「だねー、でも昨日よりちょっとだけ席倒させてw」
るり&きい「(ヒソヒソ」
俺「ん?なに?」
きい「やっぱり座ったまま寝るのって疲れますよね?」
るり「ずっと運転してるのに寝るときも横になれないってやっぱり辛いと思います」
きい「温泉でも寝ちゃってたし・・・」
俺「まぁ・・でもそこで横になったし、ある程度寝たから大丈夫だよ」
るり&きい「(ヒソヒソ」
俺「なによw」
るり「後ろで3人で寝ません?」
俺「!!!!!!????」
きい「えーだってさすがに・・・2日連続は悪いですし・・・」
るり「2人でも余裕あったから大丈夫ですよ!」
俺「いやいや、結構狭いしさ・・・多分ぎゅーぎゅーならない?」
きい「大丈夫!1人分くらい余裕ありました!」
るり「ね、だから今日は普通に寝ましょ!」
俺「・・・いや2人がいいなら助かるけどさ・・・」
るり「よし、決定ー!w」
そう言うとるりは先に乗り込んだ
きい「じゃ、どうぞー」
俺「!!!!??」
俺「いやいやお先にどうぞ・・・」
きい「い・い・か・らっ!早くw」
そう言いながら押し込まれた
きい「お邪魔しまーすw」
俺「・・・・・(なんだこれ」
るり・俺・きいの順で文字通り川の字になった
俺は仰向けに寝てる
というか横向けないし、どっち向けばいいのよこれ状態
しかも狭いし・・・言ってることちゃうし・・・めっちゃくっつくし・・・
きい「大丈夫、結構あったかいしw」
俺「・・・・・(いい匂いする」
2人は仰向けだと肩が車の外側に当たって気になるらしく、更に2人で会話することもあってそれぞれ内側を向いていた
2人は俺越しに会話を続け、ごそごそ動くたびに俺に身体が当たってくる
大変刺激的な状況に童貞の私は成す術がない
相変わらず2人の会話は留まる事を知らず、たまにお互いに手を伸ばして突っ込みのようなことをする
お気付きかもしれないが、俺を超えて手を伸ばして片方に触れようとすると、手を伸ばした側の胸が俺に当たるのだ
そんなことを知ってか知らずか2人はきゃっきゃきゃっきゃと俺を挟んでじゃれ合い続ける
一方、俺は死人のように両手を組んで腹の上へ置き、ぴくりとも動けずにえも言われぬ恐怖に似た何かに包まれていた
ぴくりと動くのは俺の息子さんだけだった
それに挟まれている最早死人同然の俺は耐え切れずに言ってしまった
俺「場所・・・変わろっか?」
きい「あ、すいません、うるさいですよね・・・」
俺「いや、て言うか2人隣同士の方がいいんじゃないかなーって」
るり「疲れてるのにすいません・・・」
俺「あ、そう言うことじゃなくt」
きい「よし、寝ましょ!」
るり「明日で着いちゃうんだねーw」
きい「だねー、おやすみ!」
るり「おやすみなさーい」
俺「・・・・・(聞いちゃいない」
いつか寝れるだろうと思っていた俺に更なる恐怖が押し寄せる
2人は車の外壁にぶつかるのが嫌なのか、それともそちら側が寒いのか分からないが、中心に身体を寄せてくる
俺の頭の少し下、肩の辺りに2人の頭がくるので、さっき入った温泉でのシャンプーの香りが俺の眠りを妨げる
ほぼ完全に2人とも横向きに俺に身を寄せる形となって落ち着いた
恐らく既に寝ていて、寝相でそのような状態になったと思われるが、こちらとしては大変困った状態
起こすと悪いので動けず、死人スタイルで俺の形は固定された
ひたすら目を瞑って寝れるのを待っていると、どうやら俺も眠りにつけた模様
ふと目が覚めると、外は少し明るくなっていた
俺の体勢は全く変わっていない
2人もほぼ変わらず、変わっているとすれば2人して俺の二の腕を掴んでいたことだけ
いや、眠れているのかもしれないけど、目を覚ますときは決まって「・・スーッ」とゆっくりと目を開けるだけ
パッと目が覚めたり、ウーンムニャムニャみたいに伸びをしながら起きるなんてことはないんだ
寝ていた体勢のまま、「・・スーッ」と目が覚めた
そのお陰で2人を起こすことはなかったが、この状態は俺も起きれない
スマホは助手席にあるので時間を確認することも出来ず、とりあえず2人を起こしてしまうのを覚悟で身体を起こす
うまいこと起こさずにスマホゲットで時間を確認すると、朝の5時半
なかなかいい時間に起きることが出来てちょっとだけ嬉しい
外に出て身体を伸ばしたかったので、新たなミッションに挑戦することになる
起こしてしまっても問題なさそうだけど、なんとなく気持ち良さそうに寝てるのを起こすのは忍びない
俺はきいを跨いで外に出ようとするのだが、狭いので立つことが出来ない
そこで両手両足をついた状態、つまり四つん這いで跨いでいこうとする
するとどうでしょう、俺が四つん這いになっている下にスヤスヤ寝ている女子大生
これは今起きられると非常にまずい気がする
第三者が見たら完全に女の子を襲おうとしているおっさんの図
だがしかしこの状況に俺の身体が少し硬直してしまった
なぜならちょっとドキドキしたから!
車のドアを締めた後、カーテンの隙間から中を見ると、どうやら起こさずに脱出することに成功したらしい
一晩振りに開放されて、背伸びをすると朝の冷え込んだ空気と相まってとっても清清しい
そのままトイレからのコーヒータイムといういつものパターンで15分程過ごし、車に戻る
さすがにあの中に戻るのは辛いものがあるので、運転席で時間を潰すことにする
こっちで寝た方がすっきり寝れたかもしれないな・・・なんてことを思っていると、るりが起きた
るり「あれ?あ、おはようございます」
俺「おはよー」
るり「もしかしてそっちで寝ました?」
俺「いや、さっき起きて外に出てたんだよね。起こすと悪いからこっちに戻っただけだよ」
るり「そうですか、なら良かったw ちゃんと寝れましたか?」
俺「あー・・お陰さまでぐっすりです(嘘」
るり「良かったw ちょっとトイレ行ってきます」
まだ車の中は片付けず、そのままにしてちょっとゆっくりすることにした
きい「今日で着いちゃいますねー」
るり「ねー、すごい楽しかったw」
きい「ほんとねw お祭りもあったし、川もキレイだったし、温泉入れたし!」
るり「それ!温泉入れるとかすごい嬉しかったーw」
俺「寄り道はしたけど楽しんでくれたんなら良かったよw」
るり&きい「「楽しかったですよー!」」
きい「俺さんもすごいいい人だったんで、めっちゃ楽しかったです」
俺「いやいや、乗せただけだからねw」
るり「だけじゃないですよ、ほんと!」
きい「ほんとそれw」
お礼とヨイショタイムに俺氏照れっぱなし
車の中では相変わらず賑やかに話が盛り上がっていた
俺の仕事のこととか、これから行くところ
2人の過去の話や、今回の思い出話
色々話してるうちに八戸到着
実家の近くだと言うコンビニで2人を降ろし、外でまた話をするが、話すのはやはりお礼のことばかり
ひたすらお礼を言われてヨイショされ、俺は車に乗り込む
手を振りまくる2人をミラー越しに眺め、車を出す
コンビニから出ても2人はずっとこっちに手を振ってる
俺も走りながら窓から手を出し、パタパタと手を振る
少なくとも2人は見えなくなるまで手を振っていたと思う
ここから俺の旅はまた一人旅に戻ることになる
もうこのまま帰ろうかとさえ思うほどだった
なんだかんだでやっぱり楽しかったなーと思いながら大間へ向かう
道中、コンビニに寄って、助手席に置いてあった荷物を後部座席で移動させようとしたら何かを発見した
書き置きだった
2人が1枚の紙にお礼の言葉を書いていた
『ありがとう、ほんとに楽しかった。東京に遊びに来ることがあったら連絡ください』
みたいな内容だった
下の方に2人のLINE IDとメールアドレス
もう会えないと思っていたのでちょっと嬉しかったけど、俺は当時LINEを登録してなかったのでとりあえず置いておいた
家に帰ったら連絡だけはしようと思って財布の中に畳んでしまっておいた
なんか寂しい気分で大間に向かっていたけど、これがまた遠い
青森に入ってしまえばすぐだろうと思っていたけどとんでもなかった
地図ちゃんと見れば良かった
いや、遠いと感じただけかもしれない
一人でずっと運転していると長く感じるのかもしれないね
これまではそれが普通で当たり前だったけど、今回の出来事でやっぱり数人で旅行するのもいいのかななんて思ったりした
そんなこんなで大間に到着
近くには店が多くあり、海産物をこれでもかと堪能出来る
これはどこの海際の観光地でも似たようなものだけど、石像の周りにはカモメが大量発生している
少し離れた場所にマグロ丼が食べられる有名店があったので、そこで昼飯を食べることにする
店の外には大漁旗が掲げられ、漁師の店をアピールしまくっていた
昼時の少し前なのでそれほど混雑もしておらず、さっと入れた
その直後くらいに人が押し寄せ、どうやら外に行列が出来ているみたいだ
運が良かった
ちなみに三色マグロ丼(大トロ、中トロ、赤身)の値段は確か3500円くらい
いや全くとんでもない
だから実際に本場のお高い大トロを食べても特別美味いとは思わなかった
回転寿司のマグロと何が違うのかさっぱり分からん
でも不味いわけではない
その店の名誉の為に言っておくが、ただ単に俺が味覚オンチなだけだと思われる
店を出ると数十人にも及ぶ行列が完成していて、ほんと運が良かったと改めて思わされる
目的を達成した俺は大間を後にする
ここに来る道中で「仏ヶ浦 ○○km」という看板をいくつも見たので、たぶん名所だということでそこに向かう
何があるのかはさっぱり分からないけど、とりあえず行ってみる
これがいつもの一人旅
正直本当に一人だけの一人旅を文章にすると、とんでもなくつまらないと改めて思い知らされる
今朝までの出来事が異常とも呼べる展開だっただけに、ここからしばらくは正直つまらないかもしれない
そのまま海沿いを仏ヶ浦に向かって車を進める
しばらくすると峠のような道に入り、すぐ下は崖という道をくねくねとひたすら進む
ちょっと怖かった
そんな感じの道がずっと続き、こんなとこに何があんだよ・・・って思い始めた頃に仏ヶ浦に到着
到着したところはどうやら駐車場のようで、そこから徒歩で約15分、山道を下ると仏ヶ浦に辿り着ける
ほぼ登山に近いくらいの山道で、帰り道、つまり登りのことを考えると行きたくなかったけどせっかくだから頑張る
少し湿った地面を進むと横向きの丸太を埋め込んだ階段が現れる
そのまま進むと板で足場を作った道が出てきて、その先には階段があった
その階段に差し掛かったところで、仏ヶ浦の全貌が見えてきた
それが仏ヶ浦
ただし普通の岩ではなく、岩石が長い時間海蝕されて出来たようだ
これはちょっと俺の言葉のレパートリーからは説明することが出来ないので、興味があったらググッちゃってください
足元が苔でぬるんぬるんして滑りそうだったことははっきりと覚えている
来た道を引き返し、プチ登山のようなものを乗り越えて車で出発
ここから恐山へ向かう
恐山はちょっと楽しみにしてたとこの一つで、何よりも宿坊に泊まるので久々の布団でゆっくり寝れることが待ち遠しかった
来た道は戻らず、少し遠回りになるけど下北半島をぐるっと回って恐山へ行く予定
道中の峠は崖崩れを起こして片側通行になってるところがあったり、ガードレール無しで隣は崖という道もあった
ちょっと怖かった
ここも観光名所らしく、看板が置いてあった
恐山冷水と呼ばれ、1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返ると言われているらしい
俺はまだ死にたくなかったので、2杯に留めて6歳くらいまで若返っておいた
冷水を過ぎると、窓を閉めた車の中にいても硫黄の匂いが漂ってくる
有名なのかもしれないけど、恐山に温泉があるのは知らなかったことなのでちょっと焦った
山道を走り、林を過ぎると少し広いところに出る
そこには小さな橋があり、橋の傍には「三途の川」と書かれていた
どうやらこの先は地獄らしい
思ってたよりも広い駐車場に大きな食堂と土産売り場、隣にはアイス
結構カジュアルな観光地だった
参拝料500円程度を払い、門をくぐる
真っ直ぐ本堂まで続く参道の両脇には灯篭が並べられている
見た感じ大きいけどわりと普通の寺って感じ
ただその先がさすがの恐山
本堂から左に抜けると、有名な恐山の景色が現れる
小さな石を積み重ねている、あの景色だ
賽の河原とでもいうんでしょうか
その石の山は至るところに存在し、むしろ道以外の所には全て石の山で敷き詰められてると言っても過言ではない
石の山の周りには小さな地蔵、そして定番の風車
中には「○○家」と書かれた石もあった
あちこちの岩場からは温泉の蒸気のようなものが吹き出していた
結構本格的な墓も存在し、気軽な観光地とはあまり呼べない空気が漂っていた
あ、でもとてもいい観光地です
「順路→」みたいな看板もあったが、至るところにありすぎて素直に従っているとよく分からんことになる
砂浜のような場所の手前には、両脇に「希望の鐘」「鎮魂の鐘」と書かれた鐘がある地蔵様があった
これは東日本大震災の際に建てられたもので、追悼の意を表しているとのこと
その先の砂浜は極楽浜と言って、何もない、白い砂浜にキレイな湖だけの景色だ
前方を見れば極楽浜、振り返れば地獄
恐山は天国と地獄が存在する、あの世を表しているかのような場所だった
そのままぐるっと周って参道に帰ってくる
ちなみに参道の両脇には小さな横長の小屋があり、本堂に向かって左に2つ、右に1つ
この小屋は温泉になっていて、参拝者は誰でも入ることが出来る
左の2つの内、1つは男湯、もう1つは女湯、右側は男湯という形で別れている
どうせここで泊まるので、この外湯は後で入ろうということでここはスルー
荷物を持って恐山寺務所横の宿坊へ
宿坊と聞いたら古びた建物を勝手に想像していたけど、恐山の宿坊はとんでもなくキレイ
ホテルかと思うほどにしっかりした内装で、寺の中にある宿泊施設とはとても思えない
部屋に案内されると更に驚く
おそらくここは3~4人くらいがベストな感じの部屋で、とても広い
洗面台もちゃっかり二つ用意されているが、俺は一人だけ
広々としすぎている部屋に一人でいるとなんか色んな意味で切なくなり、夕食までは1時間程時間があったので先に温泉に入ることにする
宿坊の中にも内湯があり、大浴場になっている
2日連続温泉なんていう贅沢を味わいながら、濃い硫黄の温泉に浸かる
浴槽内には湯の花があり、けっこうぬるぬるして座ってるとケツが滑る
何度か後頭部から温泉に沈みそうになるのを堪えながら、たっぷりと温まらせて頂いた
そこで俺は何かを閃き、エアコンに近付く
少し屈むとエアコンの送風口がちょうど俺の頭の位置にくる
そうです、俺はそこで髪を乾かすことにしたのです
ドライヤーと違って腕が疲れないし、熱くないので結構カラカラに乾きそう
何か知らんけど楽しくなって、エアコンに向かって一人で頭をわしゃわしゃしながら髪を乾かしていた
もしかしたら少し「あーー」とか声が出てたかもしれない
すると突然、後ろから女性の声がした
??「何してるんですか?」
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