あの映画を夢見て部活作ったら色々と青春だった
今は自宅警備員だし…
戻りたい…
前に書いたように、記憶を辿って書いてるから、所々矛盾や創作が入るのは勘弁していただきたい。
俺がここに書いてるのは、この経験が俺の財産である、と思ってるから書いてるわけで、
さらにいうと当時の仲間とか関係者への感謝の念をこっそり書いていて、
決して誰かを咎めるためとか、おもしろおかしく茶化して書いたりしているわけではない、ということをわかっていただきたい。
で、なるべくなら黙っててねwww
こんど顔出したらなんかおごります。ごめんね。
夏休みに野球部の応援で楽器吹いたり、俺が応援団に入って大変だったり、路上ライブをもくろんでカホンを手作りしようとして失敗したりする話は、割愛。
なぜかって?恥ずかしいからだよ!
ということで早速選曲会議をすることとなった。
とはいえ、まだまだ素人に毛が生えただけの俺たち。
ジャズのスタンダードなんてさっぱり知らなかった。
あーだこーだ言いながら、会議は難航した。
「うん?」
「ピンクパンサーって可愛くないですか」
そう言ったのはクロくんだった。
「ああ、いいよねあれ」
「あれやりましょうよ。たしかこないだ借りたCDに入ってたし」
「あー、あれ有名だし、いいね。でもあれソロじゃない?」
「俺が吹きます。吹かせてください。」
あ、アツい…
アツい男だ。クロ。
人をまとめる能力なんだなっておもた
結局やることになったのは以下の曲。
「ピンクパンサーのテーマ」(クロくんソロ)
「CARAVAN」(このへんあやふや。もしかしたら、文化祭でやってたかも)
「24 hours to ska」(使い回し。)
うーん、記憶が曖昧だ。
ちなみにホロが「これやりたいです」って出してくれた
「くちばしにチェリー」
は、断念した。結局この後もやることはないんだが….やりたかったなあ。
これ読み返してみたら問題点ばっかりだな。
文化祭はいわゆる「アンプラグド」なイベントで、
つまり、電気を使う楽器が使えない。
=アンプを使うエレキギター、ベースはアウト
え?これ無理ゲーじゃね?
バンド組みたくなった
しかし友達がいない
これつまり、普通のジャズで使うような「ウッドベース」を使わなきゃならんというわけだ。
当然俺は未経験。つか、楽器持ってないし。
さてどうしようかな
当時そんなこと知らなかったし、まあ素人のやることだと思って目をつぶっていただきたい。
とりあえず、ベースはオケから使っていないものを借りることができた。
しかしこのウッドベースというもの、色々と取り扱いがめんどくさい。
特に、寝かせ方を間違えると内部の「コンチュウ」が倒れてしまって、だめになるらしい。
最初聞いた時
「なんでこの人らは楽器の中で虫なんか飼ってるんだろう」
と思った。本気で思った。
よく考えたら
「指がクソ痛かった」
ぐらいしか書く事が無いので割愛。
問題はクロくんである。
彼はピンクパンサーのテーマをソロでやりきるつもりだった。
聞いた事ある人はわかると思うけど、あれかっこいいけど意外とむつかしい。
そんでもってクロくんは楽器歴良くて四ヶ月の、完璧なまでのビギナーである。
そんな彼が全校生徒の前で一曲ソロ。
はっきりいって無茶だ。
今始めたらけいおんの影響を受けて始めたと思われそうでイヤだ
わかる、だから始めるのに抵抗あるよな
あれが若さというものか、と今になってもちょっと感心する。
彼は、ほんとにびっくりするぐらい、毎日練習した。
来る日も来る日も、同じフレーズを毎日毎日….
そんでもって、仲間の言う事に、すごく素直だった。
あれはこうしたほうがいい、ここはそっちのがいい、
素人のなんとなくふわっとしたアドバイスも、真摯に受け止めていた。
彼の人柄がなせる技だと思う。
クロ君はいつのまにか、みんなの信頼を得る奴になっていた。
クロ君がソロを吹く事に文句を言う奴は、一人もいなかった。
結局バスケ部入って楽しかったんだけど、選択が違ったらどうなってたんだろう
正直あまり関わりたくない部だったな
強かったが
すぱっと書いてくっきり終わるか
今ラーメン食うからちょっと待って
俺も練習しよ
ちなみに俺はピンクパンサーはドラムとして出演した。
ベースはロリ。楽譜が無かったんで全部耳コピしていた。完成度もなかなか。この子、実はすごい。
大ホールで、三年生を除くほぼ全校生徒の前での演奏。
いやはや、俺の妄想もスケールがでかくなったもんだ。
>>858の「妄想」っつーのは、「妄想から始まったバンド」の意味ね。
誤解させてすまん
前も書いたけど、ステージの上って照明がまぶしすぎて、客席がよく見えないのよ。
だから余計に緊張しちゃったり、ってのはよくある話だと思う。
今回、カウントは俺が入れた。ドラムだしね。
重めのシンバルレガートと、ピアノとベースの前奏。
と、ここでクロ君が舞台袖から登場。
彼の頭にはピンクの獣耳。そんでしっぽ。
ええ、彼の希望です
堂々とした演奏だった。
なんでコスプレを希望したかは知らん。
彼はこの後、技術的にも、また人望としても、部を引っ張って行く存在となる。
彼にこの事を話すと、
「いや、俺はなんつーか、リーダーじゃなくてヒーローになりたかったっす」
と言った。面白い男だと思う。
ここまで読んでくれてありがとう。
もはやチラシの裏じゃ足りんね、この量。
最後に書くのは、俺の一番でかい野望の話。
「あの映画」の再現である。
おお!ついにきたか!?
「あの映画みたいに、仲間と一緒に青春がしたい!」
ということである。
あの映画は最後、観客の目の前で渾身のライブをして終わる。
俺の活動の最後も、あんな終わり方にしたかった。
気がついたら、二年生も終わりに近づいていた。
俺は、「自分らで企画して、ライブを作ろう」と目論んだ。
俺は、設立一年目で自主企画ライブという大きな目標に向けて動き出した。
まず、どういった目的でやるか。
少し厚かましいかもしれんが、俺は自分で作ったこの部活に「伝統」を残したかった。
後々まで続く企画にしたい。ということで、ライブの名目は
「グミジャズオーケストラ 第一回定期演奏会」
とすることとした。
俺はやっぱり、設立当初のメンバーにすごく思い入れがあった。
色々あって形は変わってしまったけど、できることならもう一度、同じメンバーで演奏したかった。
特に、みき先輩。
彼女は三年生で、この冬で学校を卒業するわけだ。
やるなら今しかない。
俺はライブを三月末に設定することにした。
いわゆる「卒業ライブ」である。「追いコン」とも言うね。
あれはかっこいい!んで青春だ
俺はどうしても、いわゆる「スゥイングジャズ」がライブでやりたかった。
それこそが俺の原点で、言っちゃえばグミジャズの原点でもあったから。
でも、あれなんですよ。
やっぱりビッグバンドのスウィングをするには、うちのバンドは絶望的に人数が足りなかった。
メンバーをむりやり集めたところで、うまくいく気がしなかったし。
かといって、各パート一人でビッグバンドはさすがに無理がある。
人手….
ヒトデ….
ジャズの心得のある人….
おや そういえば、たしかあの映画って実在のバンドを元にしてるんだよな
つまり、他にもジャズをやってる高校生がいるっつーこと
今まで全然考えてなかったけど、もしかして近くの高校にもビッグバンドってあるんじゃないか?
すると、少なくはあるけどやっぱり高校生のジャズバンドはあった。
で、さらに。
なんと近々、全国の学生ビッグバンドを集めた大会があるらしい。
こりゃいくしかねえ
楽しみにしてるよグミ男!
寒いコンクリの道を、みんなではしゃぎながら歩いた記憶がある。
大会は高校生だけじゃなくて、中学生とか、すごいとこは小学生のバンドとかもあった。
で、うまい。もう比べ物にならない。
正に「あの映画」の世界である。いや、実際映画のキャストの演奏より全然上手かったんだけどさ。
「なんか、あれにくらべたら私たちのやってることなんておままごとだね」
とMちゃんは言った。
俺は感動もしたが、やっぱりちょっとへこんだ。
が、しかし感動したのも事実。
あんな演奏ができたら、どんなに楽しいだろう。
そんなことを考えていたら、
俺は思いついてしまった。
俺は、一人東京にいた。
見慣れない道を辿って、冬の寒空の下、歩いて行く。
俺はあれからあの大会に出ていた高校に連絡をとって、練習を見学させてもらうことにしたのだった。
ひとつは、練習のノウハウを学ぶ事。
どんなジャンルの部活にも共通すると思うが、先代から受け継がれてきた練習のノウハウが部を作る、と言っても過言では無いと思う。
うちにはそれがこれっぽっちもなかった。
いや、そりゃそうなんだけど。
おまけに経験者も少ないもんだから、練習は全部手探り。もうなにが正しいのかもさっぱりわからないままに練習していたのだ。
明日まで残ってないよな…困った
とりあえずそろそろ本気でインフル治すことに専念する
仲良くなって、うちのライブに出てもらう事。
つまり、ライブのゲストとして、この人達をまるまるうちの学校に呼んでしまおう!と、つまりはそういうことである。
このグミ、なんたる無謀。
しかしライブに呼ぶとしても楽器を運ぶだけでも手間かかりそうだなあ
俺素人だからそこらへんわからないが
こいつはただのグミじゃない。グミの中のグミだ。
なぜならこの時、俺の考えは前とは少し違う方向にシフトしていた。
おれはずっと、
「ビッグバンド楽しそうだからやりたい!混ざりたい!」
と思っていた。それが何よりの動機だったし、モチベーションだった。
本物の演奏を見てしまって、俺には到底たどり着けない場所がある事を痛感したんだ。
だからこそ思うことがあった。
「ビッグバンドの凄さ、楽しさを、俺の周りの人に伝えたい。」
悩んだ末、俺はこう考えるようになったんだ。
自分の企画したライブでこの人達にゲストライブをしてもらう。
そんでジャズの素晴らしさを、ジャズの感動を、お客さんとか、自分の友達とか、
何よりグミジャズの部員に、感じて欲しかったんだ。
vip的に問題があるようならそっちでやります
が、なるべく早く書き終えたい。すまんね。
http://www.youtube.com/watch?v=j4rgdf45H50&feature=fvw
パー速初めてなもんで勝手が分からん
途中書いちゃったバンドのトラブルのことも、個人的には解決してます。で、仲直りもした…と思ってます。
くどいけど、俺あのバンドも大好きだったし、ケンカした奴のことも、調子に乗りやすいけどほんとはいいやつだと思ってます。
むしろ、辞めた後もちょくちょく顔を出してくれて、ライブの手伝いとかもしてくれて、感謝してます。
個人的には、今も仲間だと思ってる。
だから早く続きを書いてくれ、あのままじゃ生殺しすぎる
そうだそうだ。さんきゅ。
まあ、そういうことで他校をゲストに呼ぶこととなりました。
ぶっちゃけ、超大御所。
でも、あちらの方はみんな良い人で、なーんも知らない俺を暖かく迎えてくれました。であと色々教わりました。
ベイシーを知ったのもその人達の影響だったなー。
これはさすがに考えてなかった。
で、確か林檎とボーンの彼女とピンクを連れて行った気がする。
今思うと本当にお世話になったもんだ、
まず問題だったのがお客さん。
開催日が終業式ちょっと後になってしまったもんで、父兄の方は良いとして、他の生徒やらがちょっと来づらい。
そんでもって地域の方にもアピールしたい。
集客の戦術を考えねばならんかったのです。
全部書いてたらきりがないので。本筋書きます。
とりあえず、客寄せのため「フリードリンク」「音楽ギフト券¥5000分プレゼント抽選」とか、色々催す事に。
で、本題は曲決めになった。
実力的にやれる曲も増えて、なかなか面白い選曲になったと思う。
個人的に印象的なのが、林檎がやりたいと言い出した「Take 5」。
知らない人に軽く説明すると、5拍子のしぶーい曲。
これを、林檎のエレキギターとボン子のトロンボーンをメインに編曲すると。
正直すげーかっこよかった。で、すげードラムむずかった。
むずそう
正直このあたりは、みんな鬱々としてた。
原因は色々だったが、やっぱり「ゲスト」の存在が結構負担になってたところがあると思う。
実は、ゲストの話はほぼ俺が勝手にすすめた話で、みんなにはあんまり相談してなかった。
確かに、超上手い人達の前で、ジャズかどうかもあやしい発表をするのは…
気が進まないというか、ぶっちゃけすごく嫌だったに違いない。
みんなごめん。
すぐ思いつきで行動するし。ワンマン運営そのもの。
しかも、まったく経験の無い素人が手探りで指揮をとってるから質がわるい。
おそらくみんな、俺の方針にはうんざりしていたことだろうと思う。
もっといいリーダーだったら、もっと楽しい部活になっていたんじゃないか?
部員を振り回してしまった事は、今でもたまに思い出して、ちょっと後悔する。
元々小心者だったMちゃん。
俺が困っていた時に、いつも救いの手を差し伸べてくれたMちゃん。
なのに俺は、Mちゃんですら振り回してしまったように思う。
本番前のピリピリした練習では、つい怒ってしまったことがあった。
Mちゃんはそれをすごく気にして、次の日、寝ずに練習してきたこともあった。
Mちゃんがいたからできた部活
それを俺はいつの間にか、自分が作った部活だと勘違いしていたのかもしれない。と、今になって思う。
クロくんが、バンドを組んだ。
ドラムにホロ、ギターに林檎、そしてベースに新部員。
新部員は男の子で、これでもかという草食男子だった。
もうすげー穏やか。超優しい。
クロくんは前々からバンドを組む野望を持っていたらしく、
ついにこのたび、グミジャズからのスピンオフとして念願のインストバンドを設立した。
お披露目のデビュー戦は、定期コンサートとなる。
これについてはまた後述。
話はついに定期コンサート前日となります。
前日は会場設営と、ゲストバンドとの合同リハ。
会場は体育科のすげー怖い先生に無理を言って、屋内運動情(卓球場になってた)を使わせてもらうことに。
そこにステージに使う教壇やら、客席代わりの机と椅子(教室にある物)やら、軽音から借りてきた機材やら、野球部から借りてきた照明やらを運び込む。
もうえらい大変。だって女の子ばっかりだし、人数少ないし。
さらに卓球場は三階。で、階段。腕がやばい。
なんだか文化祭を思い出してわくわくした。
みんなもしみチョコ食ったり、卓球したりしながらだらだら設営して、飾り付けして….という感じ。
俺はあいかわらずぷっちょ食べながら写真撮ってた。
写真キライとか言わないでいっぱい撮っときゃよかった・・・
そうそう。やつは野心家です。
そうこうしている間に、ゲスト校さんが到着。
なんと雨の中、楽器ごと運んできてくれた。いやもうほんと申し訳ない。今謝らせてくれ。本当にありがとうございます。
ほんでもってリハして、向こうの団体のPAさんと打ち合わせして….
そうこうしている間に、前日は終わった。
このときも、PA機材借りてきたはいいけど使い方わかんなかったり、後で聞いたら往復の交通費がすごいことになってたり、林檎にしみチョコもらえなかったり色々あったけど、割愛。
クロくんは内に秘めたる野心家って感じか
朝から雨だった。
あー、こりゃお客さん少ないだろうな、と少々がっかりしたことを覚えている。
学校に向かう時、確かMちゃんに会った。
向かう道で何を話したかは覚えていない。
でも、不思議と緊張してなかった。なんでだろう。
他の部員もちらほら来ていた。で、しばし談笑。
黒子(ピアノの一年生ね)はなぜか猫耳をつけていた。
「なんで猫耳かと」
「似合ってませんか…?」
「いや、そういうわけでは」
「ならいいじゃないですか」
いや、いいんだけどさ。
ちなみに、バレンタインに部員から義理チョコをもらった(分けてもらった)時、黒子はオレンジピールのはいったチョコを作ってきていた。
「大人の味です」
すんげー苦かった。でも笑顔で食べた。
ファミコン買ってもらったら誰でもマリオとかロックマンとかから入ってただろw
確かにwwそれ良いたとえだね
その日もやまだは手伝いに来てくれていた。
前日はあまりに人が足りなさすぎて、「ごめんちょっときてマジで」と半ば強引に手伝わせてしまったんだけど。
ライブにもでないのに、わざわざ来てくれるやまだは、やっぱりいいやつである。あと笑顔がかわいい。
ホロとロリ、林檎は相変わらず仲良く騒いでいた。
この三人は軽音でバンドも組んでいて、普段から常に仲良しだったように思う。
ちなみにそのバンド、みんなめっちゃ小さい。ミニモニ。もびっくりぐらい小さい。そして今ミニモニ。が○付きで一発変換されたことに驚いた。
なんだかんだ俺はこの三人を凄く信頼していた。というか、頼りにしていた。
バンドが急がしくても、こっちの練習にもちゃんと参加してくれていたし、なにより上手かった。
「先輩wwwwぷっちょくださいよぷっちょwwww」
「うるせえ しみチョコとこうかんだ」
「うわーwww最悪wwww後輩の女の子に優しくないwwww」
うるせー林檎が
やまだは男です
カカシはくちびるのウォーミングアップをしていた。
こいつはつくづく真面目である。超ストイック。
カカシはトランペットのハイトーン(っていうのかな。高い音)をよく練習していた。それはスカパラとかそういうジャンルをばしばしやらせてたからなんだけど。
でも、なかなか出なくて苦労していた。出るようになると、
「ちょっと高い音でるようになったんですよ」
と、嬉しそうに報告してくる。
カカシには今日、とっておきの見せ場があった。
それに関してはまた後述。
こいつは生粋のいじられ役というか、いじられるとすごく輝く。
でもどんなにいじられようと決して期限を崩さず、一緒に笑っていた。
「音が細い」
とずっと言われ続けて来たピンク。
比較対象がクロくんだったので、いささか不運というか、ちょっとかわいそうではあったのだが、
丁寧に吹くピンクの繊細な音は、俺は嫌いじゃなかった。
トロ子はいやに落ち着いた子だった。大人びている、というのが正しい表現なのかはちょっとわからない。
というか、トロ子は本当にいつ休んでいたのだろう。
俺が覚えてる限りでも、相当色んな事をやっていた。
常に予定が埋まっていた印象がある。でも、しっかりグミジャズにも顔を出していた。
うーん。不思議。
そんでその日は卒業ライブということで、ひさびさにみき先輩が来た。
みき先輩は、たしか卒業旅行とかで当日ぎりぎりに参加することになっていた…はず。その前に練習はちょろっとしてたんだけどね。
会場に来たみき先輩の手には、大量に刷られた紙が。
なんとプログラムを作って来てくれたらしい。
何でも、卒業旅行から帰って来たその日の晩に作って、印刷して来たらしい。すごい。
そんなこんなでついに役者は揃い、いよいよ俺たちの集大成となる
「グミジャズ 定期コンサート」
が始まろうとしていた。
思えば遠くへ来たもんだ。
草食くんはMちゃんと一緒に、みき先輩のプログラムを畳んで、本にする作業をしていた。ずーっと。
草食くんはその代のグミジャズメンバーとしては、ほんとに最後の方に入ってきた。しかもほぼ素人で。
でも、ほわーんとしているくせにセンスは抜群だった。
そんで努力家だった。
「一応、グミさんが俺のベースの師匠ですから」
と後に言われた気がする。「一応」が気になるがまあいいとしよう
少し残念だが仕方が無い。
照明が落とされる。
俺たちは、ステージ裏で静かに円陣を組んだ。
このメンバーでの演奏は、正真正銘これが最後。
俺はMCマイクの前に立って、
いよいよ定期コンサートが始まった。
「ふぅーじこちゃーん!」
クロくんが叫ぶ。
会場の失笑を裂くように、イントロが流れる。
「ルパン三世のテーマ」だ。
奴らはこの日のため、「ルパン三世のテーマ」を
なんとオリジナルで爆音ジャズにアレンジしていた。
クロくんは頭を振り乱しながら、つんざくようなアルトサックスソロを熱演した。
そりゃそうだ。まさかビッグバンドジャズのライブに来て、一発目の曲がコレだとは。
ぶっちゃけた話、第一部としてこの後に続くのは少人数で編成されたバンドでのしっとりした演奏がメインだったので、完全に空気は読めてなかった。
が、クロくんのやりとげた表情をみたら、どうでもよくなった。
第一部が少人数でのバンド。
第二部がゲストバンド。
そして第三部が、グミジャズオリジナルメンバーでの演奏である。
一部では各バンドで衣装を決めたり、曲と曲の間に小芝居を入れてストーリー性を持たせたりと、色んな工夫をしてみた。
怪盗ピンクパンサーを追う黒スーツのトロ子。曲はTake 5。
片足をアタッシュケースにかけながら演奏するボーンソロは、さすがの渋さ。林檎のギターも心地よい歪みだった。
フーバスタンク,B’z,リンキンより楽しかったww
ピンクの「When you wish upon the ster」
「over the rainbow」
等々、それぞれ思い思いの曲を演奏する。
たまにスカパラが入るのは仕様だった。
今思えば、みんな「お客さんを楽しませよう」という意識があって、立派だったと思う。
一部が終わり、二部へ。
ゲストバンドの演奏が始まった。
変な言い方をすれば、お客さんは俺たちのへたくそな演奏を見に来てくれているわけだし。
でも、本格的なビッグバンドを自分が企画したライブで聞けた、というのは、やはりなんだか嬉しかった。
うちの部員が混ざって演奏している姿を見て、ニヤけてしまったのもまた事実。
俺の現役生活で、最大のわがままを叶えてもらった瞬間だった。
ついにライブは残すところ最後の第三部のみとなった。
第三部、俺の目論みは二つあった。
「やっぱりジャズは正装!」
ということで。
はい。またネクタイです。三たびダイソー。
みんなでネクタイを持ち寄って、つける。
なんかこう、ある種儀式みたいになってた。
これたしか今でもやってるらしい。
もっといいコスチュームあると思うよ、俺。
みき先輩を泣かせること。
みき先輩は文化祭が終わって引退するときも、笑っていた。
みき先輩らしいといえばらしい。
でも面白くないじゃない!
部活の引退、卒業、こういう時に泣くのが青春ってもんでしょう!
因みにサワーズの青リンゴは俺もいいとおもふ
そしてそれは、コンサートの最後で明かされることとなる。
コンサートは進み、アンコールを含めていよいよあと二曲となった。
最後の二曲。
俺たちがバンドとして一番最初にやった、スカパラの二曲である。
これは一番最初に文化祭でやる時、みき先輩がスゥイング風にアレンジしてくれた曲である。
演奏している途中、ふと、文化祭練習に使ったスタジオの風景が思い浮かんで、
なんだか不思議な感情がこみ上げて来てあやうく俺が泣くところだった。あぶないあぶない。
ピアノソロはMちゃん。
Mちゃんの目はいつものように泳いではいなかった。唸ってもなかった。
演奏が終わる。拍手。
軽い挨拶をすませて、俺らは鳴り止まない拍手に答える準備を始めた。
泣いても笑っても、あと残り一曲である。
「銀河と迷路」。
名残惜しさも曲の流れを止める事はできず
刻、一刻と終わりは近づいてくる。
残すところあと、みき先輩のソロとMちゃんのソロ、そして大サビだけだ。
みき先輩のクラリネットは、その日も心地よく、力強い音色だった。
流れるようなソロが終わる。
今だ
僕らは計画を実行した。
ソロを担当する人間がいないまま続く伴奏。
みき先輩が一瞬、戸惑いの表情を見せる。その時。
「ここで、今年卒業してしまうみき先輩にプレゼントがありまーす」
裏でスタンバイしていたロリが、MCをする。
それを合図に、裏から黒子が表れる。
手には色紙と、こぢんまりとした花束。
「先輩、今まで本当にありがとうございました」
暗かったし、ベースから遠かったので、涙を流したかはわからなかった。
でも、クラリネットの音が震えていた気がした。
拍手が止んで、帰るお客さんにあらかた挨拶をした後、俺は力が抜けて壁にもたれた。
ひとつのことが終わった気がした。
こういう青春甘酸っぱい系の話聞くたびに檸檬のころって映画思い出す
ゲストの人達もみんなで。良い写真だった。
ゲストの人を見送って、地獄の片付けを済ませた後は、
誰かのおかあさまが差し入れてくれたゼリーをみんなで食べた記憶がある。
みんな疲れきっていたが、表情は明るかった。
と、ずっとライブに付き合ってくれていた顧問の先生が
ぽん
と封筒を俺に渡した。
「がんばったからご褒美。みんなで何か食べて来なさい」
先生、さすがです。
頭の中でブルーハーツのToo much painが流れ続けてる
よぉ、俺
お前となら良い映画が撮れそうだ
正直言って、悩む事やら部員とのすれちがいやら色々あったが、
「まあ、楽しかったしどうでもいいか」と言えるライブだったように思う。
ふと、あの映画を夢見て悶々としていた頃を思い出した。
俺はどうやってここまで来たんだっけか
しばらく考えたが、めんどくさくなったのでやめた。
で、今さらになって考え直した結果、色々と青春だったことを思い出して
ここに書いているわけです。
おしまい。
何か思い出すきっかけみたいなことがあったのかな?
あと当時の部内の恋愛事情kwsk
正直あまりのリア充っぷりに軽く鬱になったけど、それ以上に俺の日常も行動次第でちょっとはマシなものになるんじゃないかって希望持ったよ。
まさかこんな気分になるなんて・・・ グミ男のせいだよ!ありがとよ!!
俺の高校時代の思い出(男子校で吹奏楽)は俺のものだし充分楽しかった(ことばかりじゃないけど)から比べたりはしない。
グミもいい思い出を作れて良かったな。
それを知ることができて俺も少し幸せになれたぜ。
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