ホーリーランドを読んで格闘家と喧嘩した
暗い過去だが聞いてくれ
俺は高校三年という遅めの中二病に花咲かせ
いろんな漫画を読んでは主人公になりきっていた。
バキに憧れシャドーに明け暮れる日々を送っていたときに
ホーリーランドに出会った。
喧嘩は小学生の時に4~5回経験した俺でも
この独特の言い回しで語られてる技術をマスターすれば
喧嘩に勝てるんじゃないか?
中でも一番衝撃を受けたのが「対角線の腕つかみ」だ。
これを友人にやってもらったところマジに攻撃がしづらし
攻撃を受けまくる。
俺は思った。「これさえマスターすれば
どんな奴にも勝てる!」
必死につかむ練習を始めた。
ホント頭がおかしかったせいもあるが
夜中の12時に初めて気づいたらズームインが始まってた日もあった。
そのうち電気のヒモには飽き
「人間の力はこんなに甘いはずはない」という結論から
公園で、なんていう遊具の名前か忘れたが
ジャングルジムの円形版でぐるぐるまわすやつ?
あれを回転させて掴んで止める練習も導入した。
初練習で目測を誤り腕が穴を通過し
腕からぐるっと回され地面に叩きつけられ
手首を捻挫した。
この練習は危険!という判断に至り
傷を癒し、今度ははじめの一歩で見た木から落ちてくる
葉っぱを掴む練習を導入した。
一枚も掴めない日々が続いたが
1週間、飽きもせずに通い続け
どうにかこうにか2枚ぐらいはうまくつかめるようになった。
俺は確信した。
たぶん俺はもう既にマサトレベルに達したと。
その日から今まで高校では存在感が皆無で
いじめられる対象からもはずされ
陰で悪いあだ名をつけられることもなく
ほぼいないものとされていた俺が
腰パンに茶髪、チェーンを装備して通うようになる。
いくらエアーな存在だったとはいえ
いきなり茶髪にチェーンを装着し現れた俺を
クラスの連中は唖然とした目で見てきた。
今、冷静に考えれば「高3の冬にデビューして
今更何がしたいんだろう?」と思われていたと思う。
しかし、いきなりそんな恰好をしてきたら
頭の悪い奴に目をつけられるのも当然の流れ。
ここで戦うことになるDについて紹介しよう。
身長 185くらい
体重 80キロくらい
モロDQN
高校二年の時は柔道部で県大会で3位に入ってた。
しかし高3に入りタバコがバレて退部になり
就職を希望してたらしいが
どこもかしこも受けては落とされ
相当この時期にイラだっていた。
そんな時期に俺が調子ぶっこいた格好をして
現れたもんだからちょっかいを出してきた。
D「おいおい・・・お前・・・
どうしたんだ?いきなりそんな恰好してきて」
俺「やんのか?」
思い出しても会話になってねぇなこれ・・・
うん・・今、冷静に考えてみると
こいつが就職落ちまくってイラついてたのは関係なく
ただ普通に急に変わった俺に話しかけただけに思う・・・
D「は?いきなりなんだお前?」
俺「だからやんのか?って言ってんだよ?
その気で声掛けてきたんだろ?」
D「いや、そんな気ねぇ~よ。どうしたお前?おかしいのか?」
俺「ヤンのかヤンね~のかはっきりしろ」
いきなりデビューの俺は
啖呵の切り方がわからなくて
全て「ヤンのか?」って返した・・・これはよく覚えてる・・・
D「お前、あんま調子乗ってるとマジでやるぞ?ああん?」
やばい・・・ちょっと怒ってる・・・
正直、目つきがいきなり怖くなり
物凄い睨みを効かされた俺はビビった。
しかし同時に頭の中では
毎日毎日飽きもせずつかみ続けた電気のヒモが頭に浮かぶ・・
生まれて初めて努力したのは絶対無駄じゃないはず・・・
そんな思いから俺は「やってみろよ。
今日学校終わったらまっとけよ」と言ってしまった・・・
もちろんクラス全員が聞いていた。
「おいおい!マジか!あいつこの時期に喧嘩ってバカか!」とか
「Dとヤッて勝てるわけねえだろ!あいつバカじゃね?」
とかヤジが聞こえた。
俺は心臓バクバクでこの後、頭の中で
イメージトレーニングを必死に繰り返していると
なんかクラス総出で観戦ということに話が決まり
喧嘩の場所も学校から15分ぐらい離れた公園に決定され
どうやら俺とD、どっちが勝つか賭けも始まったようだが
俺に張るギャンブラーが一人もいなく
賭けの話はなかったことになったようだ。
もうこの日は必死にイメージトレーニングの繰り返し。
授業を受けてても上の空でイメージトレーニング。
イメージトレーニングはジャブで牽制して
顔をガードしたDの左腕を俺の左手がつかみ
回り込んでこめかみに右ストレート。
これを延々と朝9時~夕方4時まで繰り返していた。
そして学校が終わった瞬間
俺はクラスの男4人に両腕を捕まれる。
俺「な!な!なんだよ?」
「逃げんなよ~。楽しみなんだからさ~。
俺らがセコンドについてやるから
軽くDをぶっ飛ばしちゃおうぜ」
そう笑いながら話しかけてくる雑魚4匹。
明らかに俺を小馬鹿にした目だ。
絡んできたこの雑魚4匹も
俺の頭の中の処刑リストに追加した。
その後俺は腕を掴まれたまま公園へといざなわれていく・・・
公園に着くとどういうわけか俺とDの対戦カードは
あちこちのクラスにも広まったようで
男が40人ぐらいいて
女も7~8人ぐらいいて盛り上がっていた。
その中に俺は恐る恐る行くと
「うおおおお!マジできたぞあいつ!」
「あいつだれ?」
「あんな奴見たことないんだけど?」
「あいつ誰なの?いやマジで?」
「あいつおまえらのクラスに本当にいた?」
「あいついつ転校してきたの?」
俺の話題は「あいつ誰?」で埋め尽くされていた。
そんな中、DがDQN仲間を連れてやってきた。
俺は最初「Dが来たぞ~!」という声を聞き
ビビり顔を上げられなかった・・・・
いや、いざ喧嘩となると本当に怖いんだよ・・・
まして俺も身長は180あるし体重も75キロあるが
ただの贅肉男。
かたやDは柔道で鍛えた筋肉を持ってる上に
身長が185くらい。
どう考えても勝てるわけがない・・・
もう頭の中がぐちゃぐちゃだったが
とりあえず!とりあえず左腕を掴めばいい!
そうすりゃ勝てる!
そう!気をつけるのは左腕を掴む時は
肘のあたりの服を掴むこと!
そこ以外を掴むとはずされるとホーリーランドに
書いてあったのを思い出し
何度も反復しながら顔を上げた。
Dはブレザーを脱ぎ棄て
半袖のTシャツだった・・・・
どこ掴もう・・・俺・・・
俺「・・・・なぁ・・・
お前・・・上着着ないの?」
D「ああ?別に関係ね~だろ~が!」
俺「・・・・・関係ないけど・・寒くねえのか・・着たら?」
D「うるせえな!どうだっていいだろうが!」
俺「・・・・・一応言っておくけど
その状態で倒れたら肘とかすりむくぞ?
俺、お前に怪我はさせたくないんだけど?」
D「いいっつってんだろうが!黙れコラ!」
交渉を受け入れる準備はDには無いようだ・・・
もうこうなったらしょうがない!
やるしかねえ!
別に袖じゃなくて手首を掴んでも
離される前に殴っちまえばいいんだろ!
俺は腹を決めていざ戦いに挑む!
D「んじゃいくぞ!」と
余裕しゃくしゃくで言うと
ゆっくりゆっくり近づいてきた。
一歩、また一歩と近づいてくるD・・・
こ・・・こええ・・・・・
怖いけど・・・・やるしかない・・・・
俺の目測であと3歩って所までDが近づいてきた瞬間
一気に飛びかかる!
イメージトレーニングではジャブを打つはずだったが
もう怖くて怖くてジャブどころじゃねえ!
とりあえず安心したくてDの手首を掴みにかかる!
いきなり飛び込んできた俺にDは身構えた所に
俺の腕が伸びていく・・・
ガシッ!!!
よし!掴んだ!手首ゲット!
イケる!絶対イケるぞ!!!
俺はそのまま右ストレートんp動きに入った!
あれ・・・・・?
なんか俺、動いてねえか・・・?
あ・・・?あ・・・れ?
目の前・・・・回ってる?
Dは俺が掴んだ手首をそのまま後方に流して
体勢が崩れかけてつんのめりそうな所に
俺の膝あたりを横から払って思い切り回転させられてた。
たぶん膝車って技の変形応用的な感じ?
とにかく回転させられて地面に腕から衝突した・・・・
ホリランほんとに読んだのかお前
公園で土とはいえやっぱ硬いのな。地面って。
腕から落ちたけど逆の横腹まで衝撃が突き抜ける感じで
「ぶるお!!」って声が出たのを覚えてる。
痛いというよりすっげえ苦しんだよ。
横から落ちたはずなのに胸が苦しくって
咳が止まらなくなる感じ?
とにかく柔道家に転がされたら終わり!って頭があった。
なんせ俺は電気ヒモシャドーしかやっていない。
寝技なんぞ何も知らん。
衝撃でゲホゲホしながらも
必死に寝技の追撃を回避すべく
横に転がりまくって逃げた俺をDはゲラゲラ笑っていた・・・
素早く立ち上がるもとにかく胸が苦しい・・・
俺の逃げ方がよほどおかしかったのか
周りの連中もDも大爆笑!
これはチャンスだ・・・・
今なら回復時間を稼げる!
なんせ立ったはいいが苦しくて動けんのだ・・
D「お~い。1分休んでいいぞ~♪」
俺はお言葉に甘えることにした。
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