メンヘラの俺が自衛隊に入って持ち直した話
実はこの時点ではまだ自衛官の身分を持っていない。
あくまで〃候補生〃なのである。
階級も存在しない一般人。階級を授与されるにはこの三ヶ月を突破しなければならない。
すなわち、この期間を超えなければ自衛官にはなれないということだ。
結構話が前後するかもだけど許してw
即興だから!
じゃまずは最初に被服を交付された時のお話でも・・・
初めて間近に見る戦闘服や半長靴、制服制帽。
「かっこいい・・・!」
感動しないわけがない。いままで触れる機会など皆無だった代物がいま、目の前にあり自分のものになろうとしている。
採寸が行われ服があてがわれる。
「んん・・・?」
でかくないか?でかいよなこれ・・・
「よし!お前はこれだ!」
よかないでしょ!(; ・`д・´)
曰く、服を体に合わせるのではなく、体を服に合わせるとのこと。
この言葉は教育進むに連れて実感する。体が服にあってくる・・・!体付きが変わるからだ。
まぁ靴なんだけどほんとうに高性能である。こいつをはけばどんな道でも歩ける。
水も通さない。先端には鉄のようなものが埋め込まれているらしく蹴るとヤバイ。
紐の結び方はちょっと特殊。まぁ結び方とかも全部決められている。
そんなこんなの被服の受領。全て官品といって国から支給された国民の血税。
なので無くすことはありえない。
もしなくなったとしたら・・・全員で捜索である。
実際俺も経験した。他の班の人間がワイシャツを亡くしたのである。
すぐさま全員の被覆が点検された。のち、全部屋を一斉に捜索。
運良く見つかったが、このようにして自衛隊では 物品愛護 の精神が叩き込まれる。
国民の血税。その重みを体に染み込ませるわけである。
夜中になっても捜索が続いたこともあった。
最初の教育といえばやはり基本教練であろう。
これは敬礼など自衛官にとって必須の各種動作のこと。
キビキビした自衛官の動きはこの期間で体得する。
どこへ行くのにも隊列を組んで行動する。
一人二人で行動するなど教育期間中はありえない。
「イッチニー!イッチニー!」ザッザッザッザ…
隊列を組んで歩く。ただ歩くだけなのだが歩調がなかなか合わない。難しいのだ。
左右!左右!と号令をかえ、徐々になれていく。
「左向けー止まれ!」「別れて爾後の行動にかかれ!別れ!」「別れます!!」
これでやっと解散である。が、歩くなんてもってのほか。三歩以上は駆け足!当たり前だよね?(´・ω・`)
他にも右、左に行く時の動作、歩調を合わせる動作などいろいろな号令を体に染み込ませていく。考えなくても体が自然と動くまで。
余談だが自衛隊でははじめの一歩は左足からと決められている。とりびあ~( ・´ー・`)どや
これ結構頻繁に耳にするけどやっぱりいろいろ決められている。
グーの状態で体側にピッタリとつけ、胸を張り足の角度は60度。
心臓を止めるつもりで立つ!
教本にはいついかなる号令にも対処できる基本の姿勢と書いてあった。
この姿勢。めちゃくちゃ疲れる。本当によく点検された。
敬礼にいたっては乳首を剥ぎ取るつもりでババっ!とやらなければならない。
これに銃が加わるとまたちがった感じになってくる。
銃をもった状態での各種号令も存在していて、これもしっかりとやっていく。
・・・・・・・・・・・
銃。自衛官のシンボルとも言える代物。
自衛隊にいる以上はこいつとはお友達である。
戦闘訓練では絶対に欠かすことができない。
僕が支給された銃は64式小銃というもの。
64というのは製造が開始された年のことである。すなわち1964年に生まれた大先輩。
他にも89式という現在の主力の銃があるんですけど、あいにく僕の銃は64だった。
重たく部品がべらぼうに多い!
まぁ体力錬成にはもってこいなんですけどね・・・
いろいろな教育が並行して行われていく中、銃を分解して結合する分解結合教育が行われた。
こいつを話そうと思う。
初めてマジマジと自分の銃を見る。
無骨。まさに銃という感じだった。さわさわいじいじ。
「注目!!」
班長たちが銃の分解を展示説明してくれる。
んん…?んんん…!?!?
一丁の銃はみるみるうちに数多の部品へと姿を変えていた。
そして部品が多い!多すぎる!!聞けば全てに名前があるというではないか!!
なんじゃこりゃあああ!!
・・・
とりあえず班長の後を追いながらの分解。
自慢じゃないが俺はかなりの不器用。
あれ?あれ?ん?んん???(´;ω;`)
手間取りまくりである。コミュ障がどうとかいってられない・・・!
周りの同期や班長に聞きながらなんとかすべてを分解。
はへ~・・・と行き着く間もなく、次は結合へ。
「分解した順序、覚えてるよな?あとはそれを逆にやっていけばいいだけだから。」
・・・(●^o^●)
この時点で俺は武器科にだけは絶対に行きたくないと思った。
もちろん、最初見ただけではできるわけなんてなく。教えを乞い乞いやっとこさ完成までこぎつける。
終わった頃には手に血豆が出来、痙攣していた。
詳しいことは言えないけど、バネがあって、こいつがなかなかの曲者。銃にまだ認められてないな!なんて厨ニな事を考えてた。
この教育、結構繰り返した。なんといっても銃を使ったあとは整備なのだから、これを覚えなければ自衛官としてはNGなのである。
ちなみに修了検定ではこいつを時間内に分解結合し、かつ部品の名前をテストされるあばばばば(●^o^●)
でも!しっかり修了したよ(^^)v
そんな非日常を繰り返すと同時にいよいよ始まってくる戦闘訓練。
戦闘服、てっぱち(ヘルメット)、半長靴とかよくみるフル装備に身を包み舎前に集合する。
「控えー!!つつ!!」
銃を胸の前に持ち、次の号令を待つ。
「まええー!進めえぇー!!」
「イッチ!イッチ!イッチニー!」「そぉーれぇ!」
歩調を数えながら駆け足。俗に言うハイポートというやつである。
戦闘訓練場までは常にこれで移動する。
1区隊でだいたい50人ぐらいだから結構壮観である。
ほちょー!かぞえ! イッチ!(そーれ!)二!(そーれ!)サン!(そーれ!)シ!(そーれ!)
イッチ!(ハイ!)二!(ハイ!)サン!(ハイ!)シ!(ハイ!)イッチニーサンシーニーニーサンシー!
これがまーつらい。銃も重たいし言葉も出なくなってくる。
すかさず隣で走ってる班長が
「オラァ!声出せコラあああ!!!班長一人に声負けてんぞオラァ!」
これである。
息も絶え絶えザッザッザッザ。
一応言っておくがまだメインの戦闘訓練は始まってない。もぉー!
今日は!?(今日は!?)楽しい!(楽しい!)戦訓!(戦訓!)戦訓!(戦訓!)
だけど!(だけど!)だけど!(だけど!)声が!(声が!)声が!(声が!)小さい!(小さい…!)小さい!!(大きい!)小さい!?(大きい!!!!)ザッザッザッザ
半ばやけくそである。
ちなみにこの呼称はレンジャー呼称といって、かの有名なレンジャー教育で多用されているものである。
体力が限界で意識が朦朧としている状態でも、言葉を紡ぎ意識をもたせる訓練だとか。
使う道具はブラックテープと針金。ますますわかりませんよね?w
実はこれ脱落防止。
この64小銃。ブラックテープや針金で各部を補強しないと部品が訓練中落っこちてしまうのである。
ええー!そんなんでやってけんのかよ!最もであるがこれが現実である。
グールグルまきにして針金を通す。
これもまた結構時間を取られる。班長たちも急かすもんだから焦りでなかなかうまくできない。
ちなみに半長靴にもまいて靴ヒモが出ないようにしたりする。
戦訓中靴ヒモでちゃったら危ないからね
・・・
やっと訓練場に到着。
なんかもう終わりでいいんじゃない?みたいなムードが漂う中、下達された内容は・・・
匍匐前進。僕、前に書き込みましたけどちょうどいい機会なんでもっと詳しくいっちゃいます!
敵から見えづらくし銃弾も避けやすくする。
この訓練にはさすがに興奮した。
おおー!匍匐!!陸自じゃん!←陸自である。
例にもれず班長がとりあえず匍匐の姿勢で芝生の上で展示説明。姿勢を維持しどれぐらいの隠蔽効果があるかを示す。
…!?
見えない。これは比喩でも何でもなく本当に草と一体化している。
すごい。この一言だった。これはまず航空からじゃ発見できない。
航空じゃなくても結構近づかないと視認できないレベルである。
そしていよいよ動き出すわけだが、前にもいったとおりこの匍匐、第一から第五形態まであり数字が進むに連れて姿勢が低くなる。
第五なんてもう地面に這いつくばって
ズリ…ズリ…みたいな感じである。
おつかれ
ベトナム戦争映画の訓練シーンではよく見かける匍匐前進
実際、装備を抱えて進むのって大変なんだろうな
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