娘ができたときの話をする
俺「え?」
先輩「どうしていいか分からん、って。
お前と同じようにうじうじして
お前と同じように諦めたって言ってた。
片想いで終わったって」
最初から知ってたんだ、って思うとなんか冷静になれた。
先輩「このまま終わっていいの? 好きなんだろ?
じゃあ腹もふくれたし帰るわww」
そう言って先輩は会計をしにレジに行ってしまった。
上着着て即行で居酒屋を出て先輩に追いついた。
俺「ちょっと行ってきます!」
先輩「おまww今度飲むときおごれよー!」
ちなみにこの後なぜか3回もおごらされました。
鬼めww
1分1秒が待ち遠しくて、どうしようもなかった。
彩の家の近くまで行き、深呼吸して電話する。
比較的早くに彩は出た。
彩「もしもし…?」
俺「急にごめん、今から出てこれる?」
彩「うん。どこ行けばいい?」
俺「コンビニで」
多分うまく喋れてなかったww
5分もしないうちに彩が来てくれて、たった2週間会わなかっただけなのに
なぜかすごく久しぶりな気がした。
俺「久しぶり、」
彩「うん。てか、お酒くさいww 飲んできたの?」
俺「ちょっとね」
彩「で…どうしたの?」
取りあえず気持ちだけ告げようと思った。
深呼吸を何回かしたけどもう心臓がね、破裂しそうだったよww
やっぱり楓のこと考えたら今がしっかり見えてた方がいいと思うし
ちゃんとしたパパを作ってあげるべきだと思ってた。
でもやっぱだめ、彩のこと好きになってて簡単に割り切れそうにない」
彩「え…」
俺「俺、親の顔とか幸せの家族? とか全然知らないからさ
彩と楓と色んな所行ってすっごい楽しかった。
もしかしたらこれがそうなのかな、って思った。
もし同じ家族を想像してたなら、俺で良かったら付き合って欲しい。
大学生になっても頑張るからさ」
もう自分でもなに言ってるのか分からなくなってたww
今考えたら高校生が、しかも大学生になろうかと言ってるやつが
なに偉そうにモノ言ってんだって話だよねww
良くも悪くも若かったな、って今になって思うよ。
彩「それでいいの? 絶対に負担になる日が来るよ?」
俺「さすがに養うとは言えない。
けど力合わせればやってけるって信じてる」
そう言うと彩は何回も頷いた。
泣いてるのか笑ってるのか分からないような顔で
彩「これからもよろしくね」
それを聞いた途端に居ても立ってもいられなくなって
彩のことを抱きしめてキスした。
彩とした初めてのキスの味は、しょっぱかったですww
彩「おじいちゃん、くちゃいww」
俺「うるせーよww」
ちょっとの間話だけして彩を送って俺も家に帰った。
帰りに飛び跳ねながら帰ったのを覚えてるよww
続きはよ
進学先は県内だったから引っ越しする必要もなく、のほほんと過ごしてた。
ところが周りは驚くような早さで大学生活に馴染もうとしていた。
ちょっとついていけないなー、なんて思っていると
俺にもサークルの勧誘が驚くほど来る。
大学に行ってもバスケはしたかったんだけど
サークルに入れば彩と楓と過ごす時間も限られてくるし
なるべくバイトしたかったから、やんわり断り続けてた。
入学してしばらく経った頃に彩と楓とで花見に行った。
彩「大学はどう?」
俺「なんか雰囲気がすごい」
彩「サークルは? バスケするんでしょ?」
俺「いや、今のところ断ってる」
彩「どうして」
俺「いやー、お前らとの時間なくなるの嫌だし、バイトもしたいし…」
彩「そんなの気にしないでいいよww
私はシュンが好きなことやってるのが1番嬉しいからさ!」
結局その一言でサークルに入ることにした。
と言っても、週に2回くらい活動してるゆるーいバスケのサークルにした。
たまに彩が大学に来て、バスケしてる俺を見に来ることがあって
もうその日はプレイさえまくりww
このサークルでも楓はアイドルでしたww
みんな見てくれてレスくれてほんとにありがとう。
ヌクモリティ、嬉しいよー。
「だむだむのおじちゃんがお父さんになった」
ってスレがたつのか
ワロタwww
まだ脱いでなかったのか?
書いてきます。
夏になってうだるような暑い日が続いていた。
その日は仕事が休みだった彩が楓を連れて家に来ていた。
妙に家に来てからそわそわしている楓。
というかここ最近ずっとそわそわしてて不思議だった。
彩「楓? どうしたの?」
楓「なんでもない」
彩「ほんとに?」
楓「うん」
こんな押し問答がずっと続いてて
挙げ句の果てに俺の近くを行ったり来たりしだした。
俺「どうした? 遊びに行きたい?」
楓「違う」
俺「お腹が空いたの?」
楓「違うもん!」
なぜか怒られたww
まさか初潮か!? とかバカみたいなことを考えていると
今度は俺を叩きだす楓。
楓「パ…」
俺「ん?」
楓「パ……パ」
俺&彩「あ…!」
2人で顔を見合わせたよねww
もうこの時は本当に驚いた。
彩と付き合うってなったときにパパって呼ばすのは
俺が大学を卒業してからにしようって決めてたから
まさか楓の方からパパと呼んでくれるとは思ってなかった。
そわそわしてたのはそのせいかと納得した。
俺「楓…パパって言ってくれた?」
楓「パーパー(´∀`)」
もうそこからはパパの連呼ww
多分ずっと言いたくて言えなかったんだろうなって思うと
気付いてやれなくて申し訳ない気持ちにもなった。
でもそれ以上にパパって呼ばれたことが嬉しくて
これからもっと頑張らなきゃって背筋が伸びる思いがした。
お義父さん‼
楓さんを僕にください‼
だが断る
お盆のまっただ中だった。
彩から着信があったので普通に出た。
電話越しから聞こえるのは男の声…why?
?「おいこら」
なにこれ怖い。
俺「すいません、どちら様でしょうか」
?「お前の女の父親じゃー!」
俺「え? え?」
彩父「世間は盆だぞ。
挨拶くらいにこんのか」
俺「はぁ…」
彩父「じゃあ待ってるからな! 絶対来いよ!」
なんだよこれ…。
でも1度も挨拶に行ってなかったのは確かだったし
すぐに準備して家を出た。
ピンポーン…
鳴らした途端に家の中からすさまじい足音がするww
彩父「電話のやつか?」
俺「そうです。挨拶が遅れてすみませんでした」
彩父「取りあえずあがれよ。
あ、首は洗ってきただろうな?ww」
ほんとなんだよこの人…。
家に上がると階段の所から彩妹が俺のことにやにやして見てた。
彩妹と会うのは3度目だったので軽くあしらってリビングへ。
彩父「まぁ、ここ座れ」
俺「はい。あ、これつまらないものですけど…」
一応菓子折持って行ってたからそれを彩父に渡す。
彩父「なんだ酒じゃねーのかww」
くそwwww
ただ第一印象は楽しそうな人だなーと。
多分気遣って同じような目線で話してくれてた。
挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」
彩父「堅苦しいのはなしにしようやww」
そう言って彩父は冷えた麦茶を入れてくれた。
相変わらず彩妹はリビングのドアの向こう側からこっちを覗いてるww
俺「そう言えば彩は…」
彩父「あー、あいつ買い物行ったよww
急に呼んですまんな。
どうしても顔が見てみたかったんだww」
俺「いや、俺もいずれは行かなきゃとか思ってたんで」
どうやら俺は彩父の独断で呼ばれた模様。
俺「はい」
彩父「まぁ、気負わず付き合ってくれたら俺は嬉しいよ。
ただ中途半端なことはすんなよ」
俺「はい」
そんなこんなで話していると彩と楓が帰ってきた。
彩「ただいまー…ってなんでシュンがいるの?!」
俺「いや、お父さんに呼ばれた…」
彩父「お前にお父さんと呼ばれる筋合いはないww」
楓「じいじ、パパいじめちゃだめ!」
なんのこっちゃww
この日は晩飯もよばれて、彩父の晩酌に付き合うことになり
結局泊めてもらうことになった。
彩父の好意で俺はリビングのソファーで寝かせてもらった。
彩父曰く、彩の喘ぎ声は聞きたくない、だそうだ。
楓は大きな病気をすることもなく成長していってくれて
どうやら俺とじいじと結婚するらしいwwww
早くも小悪魔wwww
彩はずっと働いていた職場でバイトから正社員になれて喜んでいた。
俺も単位を落とすことなく、彩の支えもあり大学生活を楽しんでいた。
ほんとに2回生、3回生とは特に大きな事もなかったから端折るね。
そして俺が4回生の春、楓の小学校の入学式である。
ランドセルは彩父がにやにやしながら買ってくれましたww
彩父「やばいなー、緊張するww」
俺「真似しないでくださいよ」
彩父「真似しないでくださいよww」
彩「2人ともなにしてんのww」
彩父にからかわれながら、小学校の門を4人でくぐった。
ふと楓を見ると初めて会った頃と比べて、ずいぶん大きくなっていて
なんか色んな思い出が蘇ってきたww
彩父「お前、今楓を見てやらしいこと考えただろ」
俺「いい加減にしてくださいww」
彩父「ほんと子供が大きくなるのは早いよなー。
お前も3年で大きくなったよ」
俺「え?」
ちょっと消化不良で終わった会話だった。
そして体育館の中に入って式が始まるのを待った。
俺「早くないですか?」
彩父「お、美女はっけーん!wwズームインww」
俺「なにやってんすかww」
彩父「なにやってるもなにも、どうしてお前にはもったいないくらい
美人の彩が居て、このイケメンの俺に嫁どころか彼女が居ないんだ。
だから目の保養も必要になるだろ?」
俺「ちょっと言ってる意味が分からないです」
彩父「いやー、最近は若妻が増えたなあww」
彩「いい加減にして!」
一気に縮まり込む彩父ww
そんなこんなしているとやっと式が始まって
楓の姿を目に焼き付けていた。
6年生?のお姉さんに手を引かれながらも
胸張って歩く姿にたくましさすらおぼえたよww
で、やっぱり隣で彩は涙ぐんでいましたww
湘南乃風の若旦那みたいな風貌をした彩父がキッチンに立って
包丁を扱っているのは正直似合わなかったww
普通に上手かったけどねww
俺「そう言えば体育館入る前のあれ、なんですか?」
彩父「なんのことだ?」
俺「大きくなったとかどうとか…」
彩父「ああ、あれか。別になんでもないよ。
ただ端から見てもお前が父親らしくなったってこと」
あれ? これ俺褒められてんのか?
って思うと急ににやけてきたww
彩父「気持ち悪い顔してんじゃねえよww」
俺「いや、だってお義父さんから褒められたww」
彩父「だからお前に義父さんって(ry」
俺「ちょww包丁はだめですってww」
結局どれも具がビックサイズのカレーを作った。
味はいまいちだったけど、彩も楓も美味しいって言って食べてくれた。
さくっと終わらせるつもりが結構時間かかるもんだねww
じゃあ行ってきます。
結構バタバタしてたけど、秋には職場も決まって大学生活にも終わりが見えてきた。
たまに大学に行く程度になったので彩と楓と過ごす時間が増えた。
もちろんその分喧嘩も増えたけど、最後は不思議と笑って追われた。
ふとある時彩が呟いた。
彩「そう言えば旅行とか行ったことないよね」
俺「あー、確かに」
彩「お正月あたりに行かない?」
俺「そうだなー! どこ行きたい?」
彩「温泉とかでゆっくりしたいかも」
俺「温泉なら別府温泉行きたい」
単純に別府温泉の血の池地獄が見てみたかったんだww
秋頃からじゃ厳しいかな、とも思ったけど比較的すんなり旅館の予約も出来た。
はよおおおおお
朝から晩まで彩父の酒の相手でもう胃がきりきりした。
100年の孤独が美味しかったですww
んで2日の深夜から大分に向けていざ出発。
夜通し走って明け方、ちょっとだけ仮眠取ってからは観光地巡りww
楓が初めて匂う硫黄の匂いと血の池地獄に驚いてたww
それと個人的に興味があった府内城に行けて良かった。
旅館についてからは、ゆっくり風呂入って
懐石料理食べたりし、時間がゆっくり進むっていうのは
こういうことなんだと思った。
楓は疲れからか風呂入って飯食ったあとにすぐに寝てしまった。
つまり・・・ゴクリ・・・
女将さんに日本酒を持ってきてもらった。
2人でちびちび飲みながら今日のことを話した。
彩「ほんとに真っ赤だったねー!」
俺「ねww硫黄の匂いも半端じゃなかった」
彩「あとは府内城?は興味あったの?」
俺「いや、大友氏に興味があって…って分かんねえかww」
彩「うん、さっぱりww」
夫婦水入らずってこういう事か?ww
とか思いながら、いつも以上に酒が美味しく感じた。
俺「そんなことないよ」
彩「子供が寝てる隣ではしないよww」
俺「ばか、そんな気分じゃねーよww」
浴衣の袖ポケットを確かめた。
彩「じゃあなによww」
俺「これ」
袖ポケットからだしたそれを彩に渡した。
ここでお決まり、彩ちゃん涙目ですww
ほんとに涙もろいww
彩「え?」
俺「春になったら籍入れて3人で暮らそう。
俺と結婚してください」
なんかその顔がおもしろくて思わず笑ってしまったww
俺「なんか言えよwwおいwwww」
彩「はい」
なぜ敬語wwww
彩「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
そう言って彩は深く頭を下げた。
俺もつられて土下座しちゃったよww
俺「給料3ヶ月分とかじゃないけどねww」
彩「知ってるよ、そんくらいww」
俺「夢も期待もないのかよ」
彩「旅行から帰ったらお父さんのとこ行かなきゃねーww」
そうやって楽しそうに笑う彩を見て
やっと全ての緊張の糸がほぐれて、なんでか涙があふれてきた。
これは嫁さん嬉しいだろうなぁ( ;∀;)
俺「彩だって泣いてんだろ」
彩「早く指輪はめてよww」
俺「忘れてたww」
指輪をはめてやったら
なぜか自分の膝をポンポンしだす彩。
これは膝枕してあげるからおいで、というサインらしいww
彩の膝に頭を置いてたら、彩がしきりに頭を撫でてきた。
彩「多分、今私世界で1番幸せだよ」
俺「そう?」
彩「結婚も2回くらいしてみないと分からないもんだねww」
俺「どういう意味だよww」
彩「ほんとに家族になるんだね」
俺「おう」
てな感じに話してたんだけど、次第に眠くなっていて
気付いたら寝てしまってた。
朝起きたら、隣に彩の寝顔があって
昨日のことは夢じゃないんだなって実感した。
夕方以降ならいつでも来いよwwってことなんで
彩の仕事が休みの日に合わせて7日に行くことになった。
さすがに今回は殴られるかなー、とか考えながらも
来たる7日に迎えて散髪行ったり一応気合い入れたww
ついにやってきた当日。
さすがに今回はスーツで行くことにした。
彩宅の家の扉を開く。
確か17時くらいだったと思う。
緊張のしすぎで胃が痛くなってたのはいい思い出ww
ああ、もう分かってるんだろうなって思いながら正面に立って声をかけた。
彩もいれたコーヒーを持ってきて俺の隣に立った。
俺「うっす」
彩父「おう、まぁ座れや」
俺「はい」
彩父「で、話ってなんだ?」
父親の顔ってこういう顔のことを言うんだろうなって思うくらい
彩父の顔は真剣で、俺の顔を睨み付けるようにして見ていた。
俺「春になったら籍を入れて彩と楓でとで暮らそうと思います。
俺を彩と楓の家族に入れさせてください」
彩父「彩はどうなんだ?」
彩「うん、シュンとやっていきたい」
彩父「楓はどう?」
楓「パパとずっと一緒にいたい!」
彩父「そうだよな。うんうん」
1人で頷いていた彩父は、ひとしきり頷いたあとすんごく優しくほほえんだ。
クソガキってww
俺と彩と楓とで顔を見合わせてガッツポーズしたww
俺「お義父さん、ありがとうございます!」
彩父「だからお前の(ry
いや、これからはお前の義父だわなww」
ここからは普段通りの彩父ww
前祝いってことで寿司の出前とってくれてパーッとやった。
いつものお約束で彩父の晩酌に付き合っていると
彩父「ちょっと散歩でも行くか」
俺「ん? はい」
多分話したいことがあるんだろうなって
直感的に分かったから、彩にだけ声をかけて彩父についていった。
の両親は反対とかなかったの?
両親居ないからさww
親戚も全然知らないし。
ただぶらぶら歩いていると彩父が口を開いた。
彩父「これから寂しくなるなー」
俺「はい」
彩父「俺さ、前の結婚の時大反対したんだよ」
俺「はい」
彩父「子供を産むのはいいけど、結婚だけは認めんってな」
俺「はい」
彩父「んで彩は聞き入れずに出て行って、離婚して帰ってきた。
俺からしたら親不孝な娘なわけだ」
俺「はい」
彩父「で、また結婚するとか言い出す始末だろ。
今回はすんなり認めれるような男連れてくるしさ」
俺「はい」
心なしか彩父の声が震えている気がした。
俺「はい」
彩父「だから絶対に幸せにしてやってくれよ。
じゃないと俺と楓が救われない」
俺「はい」
彩父「彩が泣いて帰ってきたら許さねえからな」
俺「はい」
彩父「結婚式はあげてやれよ」
俺「はい」
彩父「まぁ、彩はやらんけどなww」
俺「どっちなんですかww」
彩父はこの後しきりに花粉症なんだ、って弁明してたww
俺も10年ちょっとすれば彩父の気持ちが分かるのかなって
思うとちょっと切なくもなった。
散歩もほどほどに家に帰って
また彩父の晩酌に付き合って、泊めてもらった。
やっぱりこの日も俺の寝床はソファーでしたww
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