男「スーパーの『お客様の声』を利用して女店員さんとお近づきになってやる」

＜スーパーマーケット＞

女店員「いらっしゃいませー！」

男「……」

男（夕方頃行くとたまにいる、あの店員さん可愛いな……）

男（なんとかお近づきになりたいけど、俺は口下手だし、うまく話しかけれる自信がない）

男（なにかいい方法はないかなぁ……）

男「……ん？」

男（なんだ、この掲示板……『お客様の声』……こんなのあったんだ）

≪お客様の声≫

・サッカー台をもう少しキレイにして頂けるとありがたいです

・レジの店員さんの態度が悪かったから改善して欲しい

・24時間営業にしろ！

・ここの店員はいつも私にだけ挨拶しない、これは不当な差別だ


男「ふーん……」

男（頷けるものから、単なる言いがかりみたいなのまでいっぱいあるな）

男（で、これに店側から回答するシステムってわけだ）

男「……」

男「そうだ！」

あれたまに読むとめっちゃ面白い

>>4
まともな意見要望から基地外の戯言まで幅広いよな
接客業ってマジで大変だなと思う

見てるぞ

（袋詰めスペースのことをサッカー台って呼ぶの初めて知った）

男（これに女店員さんに向けてメッセージを書けば、もしかしたら返事してもらえるかも！）

男（よし、さっそく書いてみよう）ｶｷｶｷ…


【お客様の声】

いつもこの店に来ている常連です
夕方頃働いている若い女性店員さんのことが気になっているのですが、簡単にプロフィールを教えて下さい


男「これでよし」

数日後――

男（どうなってるかな……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

男「お！　俺のやつが貼られてる！」


【お客様の声】

いつもこの店に来ている常連です
夕方頃働いている若い女性店員さんのことが気になっているのですが、簡単にプロフィールを教えて下さい

【店の回答】

いつもご来店下さりありがとうございます
私は大学生で、年齢は20歳です


男（返事きたー！）

男「よーし、だったら今度はいついるのか聞いてみよう！」


【お客様の声】

いつ働いてるのか、シフトを教えて頂けますか？


男「……答えてくれるかな」

数日後――

男「あ、返事が来てる！」


【店の回答】

主に火木土の夕方5時から9時まで働いています


男（答えてもらえた！）

男（だいたい週三くらいで働いてるんだな）

返事くれるのかw

男「じゃあ、いよいよ……」


【お客様の声】

今度話しかけてもいいですか？


男「さあ、どうだ……？」

数日後――

男「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

男（貼られてる！）


【店の回答】

どうぞ


男「やったーっ！！！」

女店員「……」ｶﾞｻｺﾞｿ

男（あ、品出ししてる……）

男「あの……」

女店員「いらっしゃいませ」

男「俺、いつも≪お客様の声≫であなたに質問してる者です！」

女店員「あっ、あなただったんですか！」

男「は、はい……」

女店員「いつも見る顔なのに、なんだか不思議な気分……」ｸｽｯ

男「俺もですよ」



ﾋｿﾋｿ…

「あれってもしかしていつも≪お客様の声≫でやり取りしてる二人じゃないか？」

「ホントだ！」

「二人とも顔赤くして、微笑ましいな」

微笑ましいジャマイカ

ある日――

男「……ん」


≪お客様の声≫

・デート誘え！

・きっと向こうも気があるぞ！

・デート！デート！デート！


男（他のお客さんが俺のことを応援してくれてるんだ……）

男「よーし……」

なんかワロタ

男「あ、あのっ！」

女店員「はい？」

男「今度の日曜……デートでもしませんか？」

女店員「……」

男（ダメ、か……？）

女店員「かまいませんよ」

男（やった！）

男「どこか希望の場所とかあります？」

女店員「どこでも結構です」

男「そうですか……じゃあ俺が決めます」



ﾋｿﾋｿ…

「あいつついにデートに誘ったぞ！」

「おお、やった！」

「でも、まだ油断はできないわよ……」

男（お客様の声には……）


≪お客様の声≫

・映画行け！一番無難だから！

・公園がいいと思う

・観光名所巡りなんてどうだろう？


男（みんながアドバイスしてくれてる……ありがとう！）

デート――

男「映画、面白かったねー！」

女店員「うん、最高だった！」

男「この先に公園があるから、そこでランチでもどう？」

女店員「うん」

男「そしたら、近くの観光名所を……」

≪お客様の声≫

・デートは大成功でした！皆さんありがとうございます！

・よかったね、おめでとう！

・いよいよ告白だ！

・コクれ！コクっちまえ！

・いつもスーパーに来るたびここを見ています。応援してます。



男（……いよいよだな）

しかし――

男「こないだのデート、楽しかったね」

女店員「うん、楽しかった」

男「……」

女店員「……」

男「じゃ、お総菜買って帰るよ」

女店員「ありがとうございます」

男（うう、今日も告白できなかった……）

≪お客様の声≫

・自分を信じろ！

・恐れるな

・骨は拾ってやるぞー！

・頑張れ



男（みんな応援してくれている……今日こそいくぞ！）

ｻﾞﾜｻﾞﾜ…　ﾋｿﾋｿ…

「来た！　来たぞ！」　「今日こそ告白するのか？」　「どうなる！？」



男「……あのっ！」

女店員「なんでしょう？」

男「俺と付き合って下さい！」

女店員「……」


ｼｰﾝ…

女店員「……はい」

男「ホントかい！」


ﾜｧｧｧｧｧ…　ﾜｧｧｧｧｧ…

「やったな！」　「おめでとう！」　「お似合いだよ！」



こうして二人の男女は恋人同士となった――

マスオ「ホントかい！」

この話に瞬く間にマスコミは飛び付き――

記者「『お客様の声』でやり取りしてたって本当？」

男「はい、本当です」

記者「どうしてそんなことを思いついたの？」

男「俺って口下手なもので……なのでああいう方法しかないなと思ったんです」

記者「今もそのやり取りの紙って残ってるかな？」

店長「残ってます残ってます！　うちの店をよろしく！」

男「店長さん！？」

どっから出てきた店長

＜広告会社＞

社員「ほぉ～、昔あった“電車男”みたいな話だな」

若手社員「電車男？」

社員「ある男の恋を、ネットのみんなが応援する……みたいな話があったんだよ」

若手社員「だとしたら、こいつは“スーパー男”ですか？」

社員「よーし、“スーパー男”を盛り上げてみるか！」



スーパー男は書籍化され、ドラマ化され、ブームを巻き起こした。

やがて――

監督「ヘロー！」

男「あなたは……アメリカのナントーカ・ナンタラバーグ監督！」

監督「あなたがこのエピソードの主人公の人デースね？」

男「はい、そうですが」

監督「ぜひ映画化させて下サーイ！」

男「光栄です！」

男「俺たちの物語が映画になるんだってさ！」

女店員「嬉しい！」

こうして一連のエピソードはハリウッドで映画化され、全米でも大ヒットした。

タイトルはもちろん――

『スーパーマン』……！







― おわり ―

消費者男のが良い

電車男みたいだなって言おうと思ったら言われてた

ワロタ

絶対男が訴えられる話だろと思ってたから想像もしなかったオチにワロタ