かつて俺が荒らしだったころの話をしようと思う

書き留めないから遅いぞ、勝手にしゃべってるからひまな奴はみてけ

今からだともう10年近く前の話 
俺の住んでたド田舎に、やっと個人向けのパソコンが普及しはじめて、俺の親父も村中掲示板を手書きからプリントにしようとパソコンを購入、仙台に住んでいた姉からのすすめでネット環境も導入した

当時中学生だった俺は、昼休みに学校のパソコン室でしか見られないネットをいつでもみられるようになることが堪らなくうれしかった。 
母親も父親も重いヒステリー持ちで親に構ってもらえない身としては、本とゲームとネットが親代わりだった

少々話は反れるが俺の家族というのは当時もう崩壊しかかっていた 
父親も母親も互いのやることなすこと全てが気にくわず、些細なことで大声で怒鳴りあった 
新聞の受け渡しかたが気にくわないと言って親父が母親を殴り、なぜお前はお母さんを庇わないんだと俺が母親から殴られる、そんなこともあった

そんな両親だけど俺にはとても厳しく勉強をしろと言うところだけはピッタリ一致していた 
両親ともたいして出来もよくないくせに、俺がテストで70点を下回ると１週間飯抜きだった 
朝夜がたべられないので給食の時の俺はまさしく飢えた豚のようになんでも食べ、残飯処理のあだ名がついた 
教師は心配していたらしいが、俺の親には関わってはいけないと保護者会で念を押されていて何もできなかったのだと同窓会で聞いた

話をもとに戻そうと思う 
そんな時にはじめてフィルタリング無しのネットに触れた俺は、１週間もしないうちに●●動画サイトを発掘し、ネット掲示板に書き込むことをおぼえ、 
夕飯前にタダでアニメを見る習慣を身に付けていった

当時、ハルヒシリーズにアニメから入った俺は2ちゃんねるのスレに入り浸っていた 
宿題をしないと親に殴られるので、睡眠時間を削ってハルヒに夢中になっていた。 
掲示板では時おり、無意味な文章の連投でスレを埋め立てたり、暴言を吐いてケンカを始めたりする人間がいた、それを荒らしと言うのだとネットを検索して知った。 
そして、俺にとって荒らし行為はなんだか楽しそうに見えた。

今でもそうだが俺は和気あいあいとか、家族団らんとか、円満カップルみたいな雰囲気が嫌いだ 
俺がそういうところで育たなかったからかもしれない、とにかくそういうのを見るとそこにいる人間をめちゃめちゃに殴り付けたり、ありもしない噂を吹き込んで仲を悪くさせたくなるし、実際にやったこともある。

そんな俺にとって、荒らしを始めるのは、普通の人が健康のために運動するような、そんな感覚だった 

始めて俺はネット上で暴言を吐き、好きな筈のハルヒと、ハルヒファンを叩きまくった。 
文字を打つ手が震えて、何度も誤字のまま投稿した。足の先が冷たくなって、そのくせに顔はカーッと熱くなって心臓がバクバクした。 
俺はとても興奮していた。掲示板を荒らすことがとてつもない快感だと知った。

次の日から俺は毎日のようにネットで荒らし行為をした。 
当然のごとくアク禁されたが、されたらされたで他の掲示板に出向いて暇潰しに荒らした。 
他人からしたら信じられないかもしれないが、荒らしとして他人を不愉快にさせる生活はとても充実していて、幸せだった。

だが、幸せは長くは続かなかった。 
ネット掲示板のユーザーのスルースキルが高まって来たからだった。 
荒らしても荒らしてもそれに反応する人間は減っていった。 
同じように俺も荒らし行為がすこしずつ楽しくなくなっていった。

しかし、俺の荒らし行為は終わらなかった。 
高校に上がった俺は、自転車で隣町まで行ってネットカフェに行き、俺自身の荒らし書き込みに対して反応し、暴言を書きつらねた。 
早朝に自宅から荒らし行為をして、学校終わりにネットカフェで自演荒らしを行う 
それが俺の新しい習慣になった。

ネットカフェ代で金がなくなると俺は他人のものを盗んで売ったり、同級生の財布から金を抜きとるようになった 

そこまでしても俺は幸せな時間を手離したくなかった。

ある日、とうとう俺の盗みがばれた 
俺は周囲から吊し上げられ、口実を得たとばかりに俺の悪口を言っていた奴らの自転車をめちゃくちゃに壊した。 
家に来た警察の前で、俺はなぜ自分だけがこんな目にあうのかと子供のようにギャンギャン泣いた 
本当はなぜそうなるのかなんて分かりきっていたが、困惑する警察官の顔はなかなか面白かった

親にも歯が欠けるほど殴られ、流石に俺の荒らし行為は止まった。 
俺にとっての幸せはなくなったが、リスクがそれを上回ったというのが正直なところかもしれない。 

荒らしとして活動していた時代から10年になるが、当時ほどの情熱も持たずにこうやって掲示板上でだべっている俺は、たぶんあの頃の俺が一番嫌いな人間なんじゃないかと思う 

肺がんで余命宣告されたのはそうやって人に迷惑をかけ続けた報いなのかもしれない

最後になるが、荒らしの対処法として「無視が一番」というのがあるが、あれは半分正解で半分間違いだと思う 
俺個人の話だからすべての荒らしには当てはまらないと思うが、俺にとっては無視されることも荒らしに対する反応の一つで、俺が自演荒らしを続ける立派な原動力になっていた。無視されるということは、俺の書き込みが不快だったと証明されたようなものだから。 

だから多分、ネットから荒らしがいなくなることはないと思う。だから荒らしに対する最高の対処法とは、「そもそもネットをみないこと」くらいしかないんだと思う。

最後とは言ったんだがどうしても言いたいことがあるのですこしだけ 
>>38 
>>44 
たぶんそうだし、一番の問題は「自分のリアルが良くない状況にある」ことを実感できないまま書き込みを続けていることじゃないだろうか 

実際荒らし時代の俺は奇妙な自信というか自己肯定感に満ちあふれていて、自分が機能不全家庭にいるなんてことを思いもしなかった